TETRA'S MATH

数学と数学教育

根を入れ替えると結果が変わる式をあえて作ってみる。

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。m(_ _)m



 3次方程式の場合、ラグランジュ・リゾルベントから、どうやって解の公式にもっていくのか。において、解と係数の関係に少しだけ触れました。2次方程式ax^2+bx+c=0の解をα、βとしたとき、α+β=−b/a、αβ=c/a となる、あの式のことです。この式の左辺をみてみると、αとβの立場は同じであり、お互いを入れ替えても結果は変わらない式になっています。こういう式のことを「対称式」というようです。

 たとえば、x^2−x−6=0 の解は、
 左辺を因数分解すると (x+2)(x−3)=0となることから、
 x=−2,3であり、
 α=−2、β=3とすれば、α+β=−2+3=1、
 α=3、β=−2としても、α+β=3−2=1となるわけで、
 どちらも−b/a=−(−1)/1=1になります。

 αβ=c/aについても同じことが言えます。

 これがもし、α+2βであったなら、
 α=−2、β=3のときには、−2+2×3=4、
 α=3、β=−2のときには、3+2×(−2)=−1となって、
 値が変わってしまいます。

 ちなみに、α−βについても同じことが言えますが、2乗した(α−β)^2 の場合は、(α+β)^2−4αβと変形できることから対称式になれます。

 なお、登場する解が2つ(αとβ)の場合、α+βとαβを基本対称式というようです。基本対称式を組み合わせれば別の対称式が作れるし、別の式が基本対称式の組み合わせで表されるのであれば、それは対称式というわけです。αとβとγの3つだったら、α+β+γ、αβ+αγ+βγ、αβγが基本対称式です。

 さて、そんな対称式ですが、今回はあえて、α+2βのように、αとβを入れ替えてしまうと値が変わってしまう式に焦点をあてたいと思います。ある多項式の根を使って、根の中身を入れ替えると結果が変わってしまう有理式(加減乗除する式)を作ろうというわけです。その有理式は、根を入れ替えると結果が変わるのだから、根の違いの情報を消さない式といえます。

 たとえば、f(x)=x^3−2x という式に対し、根を入れ替えると結果がすべて異なるような有理式として、α+2β+4γを採用することにします。これをVとします。つまり、V=α+2β+4γということです。V=α+2β+3γにすると、同じ結果になってしまう場合があるので、γの係数は4にしました。

 x^3−2x=x(x^2−2)=x(x−√2)(x+√2)より、f(x)の根は0、√2、−√2です。これをα、β、γのどの位置におくかを、これまで使ってきた3次の対称群の書き方で示していき、Vの添え字の番号で区別します。たとえば[123]ならば、0、√2、−√2の順、[213]ならば、√2、0、−√2の順という具合に。そうすると、それぞれのVの結果は次のようになります。

[123] V1=0+2√2−4√2=−2√2
[132] V2=0−2√2+4√2=2√2
[213] V3=√2+0−4√2=−3√2
[231] V4=√2−2√2+0=−√2
[312] V5=−√2+0+4√2=3√2
[321] V6=−√2+2√2+0=√2

 次に、Vのうちのどれか1つを根にもつような有理数体上の最小多項式fV(x)を考えます。たとえばV1=−2√2を根とする最小多項式はx^2−8なので、fV(x)=x^2−8です。これは、fV(x)=(x−V1)(x−V2)と考えて作ったものといえます。すなわち、fV(x)の根はV1とV2である、と。

 さらに、解α、β、γをVで表すことを考えます。

  V1=−2√2と、α=0,β=√2、γ=−√2より、
  α=0、β=−V/2、γ=V/2

 このVから根を出してくる操作を関数ととらえ、φと添え字の数字を使って表すと、

  φ1(x)=0、
  φ2(x)=−x/2、
  φ3(x)=x/2

となります。

 xにV1の値を入れると、当然のことながらもとのα、β、γの値が出てくるわけですが、fv(x)のもうひとつの根であるV2の値を入れると、同じ組み合わせの数値が出てきて、なおかつ、出てくる順番が異なります。

 V1を入れたとき→(0,√2,−√2)

 V2を入れたとき→(0,−√2,√2)

 V1を入れたときは対称群の元のうちの[123]に対応しているし、V2を入れたときは対称群の元のうちの[132]に対応しています。このあたりのことが、どうやら「ガロア群」と関わってくるらしいのです。

 というわけで、すでに「第10章 ガロア理論」に突入しております。まだまだおさえておかなければいけない概念でおさえていないものがたくさんあるのですが、「えいっ」と突入してしまいました。折にふれ必要に応じてさかのぼって確認していきたいと思います。

(つづく)
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その根をもつように式を作る/最小多項式、正規拡大

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。ネタばれ注意でありながら、章立ても超えて我流(文字通り“自分の流れ”)で書いています。m(_ _)m



 さて、1つ前のエントリで、自分で根を指定して、そこから式を作るとわかりやすい、ということを書きました。それについてもう少し考えていきます。

 たとえば、√2を根としてもつ式は、x^2−2 だけではなく、2(x^2−2)でも、(x+1)(x^2−2)でもいくらでも作れてしまいます。そのいくらでも作れる式に何か条件をあたえて、1つだけにしぼりたい。

 その条件は、式をできるだけシンプルにしてくれるものであってほしいです。次数はできるだけ小さいほうがいいし、係数も1を希望。で、そのような条件を満たす多項式を、最小多項式というようです(定義の書き方があいまいですみません、ウィキペディアの最小多項式の下のほうに、「体論における最小多項式」という項目があります)。

 a=√2の場合でいえば、2(x^2−2)=2x^2−4 は、x^2の係数が1ではないから最小多項式ではないし、(x+1)(x^2−2)=x^3+x^2−2x−2 は3次式で、√2を根にもつ多項式として x^2−2 という2次式があるのだから、やはり最小多項式ではない、ということになります。

 で、ある根をもつ式を作ることに慣れるために、もうちょっと複雑な根を考えます。お題は(√2+√3)。せっかくなので、『数学ガール/ガロア理論』とは違う道筋で求めてみます。

   x=√2+√3
   → 両辺を2乗して、x^2=5+2√6
   → x^2−5=2√6
   → 両辺を2乗して、x^4−10x^2+25=24
   → x^4−10x^2+1=0

 よって、√2+√3 を根にもつ多項式 x^4−10x^2+1 ができました。これが最小多項式がどうかはちゃんと証明しなくちゃいけないことのようですが(3次式や2次式では本当に作れないのか)、とにもかくにも、こんなふうにしてある数を根にもつ多項式を作ることができるわけなのでした。

 ちなみに、x^4−10x^2+1=0 を解くと、解は、√2+√3、−√2+√3、√2−√3、−√2−√3 の4つ出てきます。私は x^2=X とおき、もとの方程式を X^2−10X+1=0 として考えました。そうすると、解の公式から、X=5±2√6となり、ここで2つ出てきて、さらに平方根をとるときに2つに分かれるので、合計4個となります。

 根から式を作るときには両辺を2乗するので1通りしか道筋はないけれど、式から根を求めるときには平方根をとるときに道がわかれるので、√2+√3を根としてもつ多項式を作ったら、その多項式は別の根ももっていることになります。

 別の根ではありますが、見た目からもわかるように、これらの根はばっらばらのものではなく、1つの方程式で結ばれた根たちです。こういうときに共役という言葉が役に立ちます。つまり、√2+√3をもとにして、これを根とする式を作ると、その式は、√2+√3 の共役な他の根ももっている、というわけです。

 さて、話は変わって…というか、話はもどって、1つ前のエントリで示した x^3−2 の因数分解について再び考えます。これは、Q(3√2,ω)の世界までいけば、(x−3√2)(x−3√2 ω)(x−3√2 ω^2)というふうに、1次式の積に因数分解できました。ここまでくると、x^3−2 の根がすべて体に含まれていることになります。こういうふうに体を拡大することを、正規拡大というようです。そのひとつ前の、ωのないQ(3√2)の世界では、3√2 ωや3√2 ω^2 が体に含まれていないので、正規拡大とは言えません。

 つまり、Q(3√2,ω)まで拡大すれば、それはQ(3√2,3√2 ω,3√2 ω^2)でもある、というわけです。

(つづく)
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「x^3−2」を因数分解するとき/多項式の既約・可約、既約多項式の性質

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。ネタばれ注意でありながら、章立ても超えて我流(文字通り“自分の流れ”)で書いています。m(_ _)m



 群からいったんはなれて、ここらで多項式のことを考えてみたいと思います。お題は「x^3−2」という式の因数分解。

 x^3−2 は、2の3乗根(このブログの文中では3√2と表すことにします)のない世界では、因数分解することができません。

 しかし、2の3乗根を加えると、x^3−2=(x−3√2)(x^2+3√2x+3√4) というふうに、因数分解できます。

 さらに、1の原始3乗根であるωを加えれば、x^3−2=(x−3√2)(x−3√2 ω)(x−3√2 ω^2)というふうに、もう一段階、因数分解することができます。

 このように、どの世界で考えているかで、因数分解できる場合とできない場合があるわけですが、これ以上因数できないとき、その多項式は既約であるといい、まだ因数分解できるときに可約である、というようです。つまり…

  x^3−2
    ↑Q上の既約多項式
  =(x−3√2)(x^2+3√2x+3√4)
    ↑Q(3√2)上の既約多項式2個の積
  =(x−3√2)(x−3√2 ω)(x−3√2 ω^2)
    ↑Q(3√2,ω)上の既約多項式3個の積

 同様に、「x^2+1」は、有理数体Q上では因数分解できないので既約だけれど、iのある世界では(x+i)(x−i)と因数分解できるので、「x^2+1」は複素数体C上では可約となります。

 ちなみに、体Q(3√2)には有理数体Qが丸ごと入っていることを、Q(3√2)⊃Q と書いたり、Q(3√2)/Q と書いたりするようです。Q(3√2)はQの拡大体で、QQ(3√2)の部分体ということになります。

 さて、既約・可約という言葉の「約」は、なんとなく分数の「約分」を彷彿とさせます。これ以上できる・できないということからも。また、因数分解というとやはり素因数分解を思い出すわけですが、実際、多項式の世界は整数の世界は何かと対応するもよう。

 いってみれば、既約多項式というのは、これ以上分解できないのだから、整数の世界の「素数」のようなものと考えればよさそうです。

 ほんでもって、f(x)とg(x)という2つの式があり、f(x)はある体上の多項式で、g(x)は同じ体上の既約多項式だとすると、f(x)とg(x)が共通の根を持つならば、f(x)はg(x)で割り切れるという性質があるらしいのです。

 たとえば、有理数体上の多項式として f(x)= x^4−1 を使い、既約多項式として g(x)=x^2+1 を使うと、f(x)とg(x)は共通の根iをもっています。そして、f(x)=(x^2+1)(x+1)(x−1)となることから、f(x)はg(x)を丸ごと因子としてもっており、f(x)はg(x)で割り切れる、ということがわかります。

 これは、ある整数Nと素数Pがあって、NとPが共通の素因数をもつならば、NはPで割りきれる(例:整数9と素数3があって、9と3は共通の素因数をもっていて、9は3で割り切れる)ということを、多項式の世界で言っているようなものです。

 なんだかとてもあたりまえのことのように聞こえますが、g(x)がその体上で既約というところがミソなんだろうなぁ、と思いました。そして、f(x)とg(x)が1つ共通の根をもっていたら、f(x)はg(x)のすべての根をもつことになります。先の例でいえば、f(x)とg(x)は共通の根iをもっていて、g(x)は−iも根としてもっているのに、f(x)がiは根としてもつが−iは根としてはもたない、という状況はありえない、と。(と書いていて、何かがかすかに不安なのだけれど…)

 これは、実際に自分で根を指定して、そこからある体上での既約多項式の例を考え、もうひとつ別の可約な多項式を考えてみるとわかりやすいです。たとえば√2を共通の根としてもつ2つの多項式を有理数体上で考えると、g(x)=x^2−2 という例がつくれて、f(x)としては x^4+x^2−6 などの例がつくれます。f(x)=(x^2−2)(x^2+3)と因数分解できるので、やっぱりf(x)はg(x)をまるごと因数としてもっており、したがって、f(x)はg(x)で割り切れるというわけです。

(つづく)
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正規部分群のどのあたりが「やり手」なのか/剰余群(商群)

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。ネタばれ注意でありながら、物語の流れをかなりくずして我流で書いています。もちろん、本のなかで「やり手」などという品を欠く語句は使われておりません、はい。m(_ _;)m



 正規部分群とは何ぞやを見ていたときに、なかなかどうしてやり手と書きました。それはどういうことかというと、正規部分群で“割って”できる剰余類全体の集合は、これまた群になるらしいのです。いや、正規部分群だって、やり手といわれると困ってしまうかもしれず、おのれが定義のような存在であろうとしたら、そういう性質をもってしまった、ということなのかもしれませんが…

 群とはなんであったかというと、演算について閉じていて…というふうに話を始めなくてはならないわけですが、となると剰余類にとっての「演算」とはなんぞや?ということになります。あみだぐじ1つ1つの場合は「2つをつなげる」作業を演算と考えられましたし、カードの並べ替え1回1回では、2回の並べ替えを続けて行うことを演算として考えることができました。では、集合と集合の演算って・・・どゆこと?

 そんなこんなで、これまで要素間で考えてきたことを、剰余類間で考えていきたいのです。その前に、表記方法をちょっとラクにしておきます。これまで★を使って、a★Hと示してきた演算を、今後は★を省略してaHと書いていきます。そして、「積」とよんでしまいます。

 ほんでもって、群の中の要素aとbについて、ab=cだとしたうえで、剰余類aHとbHの積を定義したい。このとき、aHとbHの積(aH)(bH)がcHに等しくなってほしい。つまり、aHのどんな要素と、bHのどんな要素を演算した結果も、cHに属するように定義したい。

 結論から言えば、そんなHが正規部分群だということになります。証明は省略しますが、Hb=bHが成り立つ(hb=bh'となるHの要素h、h'が存在する)ことから、(aH)(bH)⊂(ab)Hが導けて、さらには同様にして(aH)(bH)⊃(ab)Hが導けて、つまりは(aH)(bH)=(ab)Hだということになります。

 そうすると、(aH)(bH)はほとんどabみたいなものとして捉えられるから、剰余類どうしても演算が考えられるし、群の要素として剰余類をとらえることができる。そして、そこに群の構造を入れることができる。そういうことなんだろうと私は理解しました。剰余類の中身ではなく、剰余類どうしの関係性を考えていける、と(どこかできいた話だな^^)。

 このような群のことを、剰余群または商群というようです。

(つづく)
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1つ前のエントリについて、小さな訂正

 正規部分群の連鎖において、ラグランジュの定理のあとで、
 なお、『数学ガール/ガロア理論』では、このあたりについて、ケイリーグラフを使って視覚的に大変わかりやすく話が進んでいきます。
と書きましたが(訂正済)、これだとラグランジュの定理を説明するためにケイリーグラフが使われているような印象をあたえてしまいますね。失礼いたしました(文章を編集していくうちに、この一文がここに落ち着いてしまっていたようです)。ラグランジュの定理を説明しているのは、それこそ包含除的なイメージ図です。

 ケイリーグラフが表しているのは、群の中の要素たちがどのような関係をもち、その群がどのような構造をしているかということであり、この図を使うことで、正規部分群の連鎖の様子がよくわかるのです。

 この図そのものを描き起こしてみたいとは思うのですが、時間がかかりそうなのと、この形のものは結城浩『数学ガール/ガロア理論』のオリジナリティが高いのかもしれない(ということの判断がつかない)ので、とりあえず図なしで話を進めていきます。

 話はズレますが、私は『数学ガール/ガロア理論』p.347の図を見たとき、ハッセ図上での「現在」の移動と、粗視化した時空のことを思い出しました。(^^)
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正規部分群の連鎖

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。m(_ _)m



 さて、3次の対称群S3={[123],[231],[312],[213],[321],[132]}の部分群C3={[123],[231],[312]}による剰余類を考えるとき、S3/C3={C3,[213]★C3}となることがわかりました。このとき、C3の要素数は3個で、[213]★C3の要素数も3個になっています。

 一方、S3/C2aを考えると、C2a={[123],[213]}の要素数は2個で、S3/C2a={C2a,[231]★C2a,[312]★C2a}に属する3つの集合の要素数も、それぞれ2個ずつです。

 これらは偶然ではなく、群Gの部分群Hに対し、剰余類全体の集合G/Hに属する剰余類の要素数は、すべてHの要素数に等しくなるらしいのです。

 それを証明するためには、群Gの要素をgとしたとき、集合Hのどんな要素に対してもg★Hの要素がただひとつ対応し、逆に、集合g★Hのどんな要素に対しても、集合Hの要素がただ一つ対応することをいえばいい、ということになります(実際の証明は省略)。

 これはどういうことかいうと、Hの要素をhとしたとき、Hとg★Hの間には、「f:h→g★h」という全単射が存在するということです。お互いの集合のなかの要素がだぶったりあまったりすることなく、1つずつきれいに対応するということ。となれば、hが3個あればg★hも3個あるでしょうし、hが2個あればg★hも2個あることでしょう。

 そうなると、Gの要素数をHの要素数で割れば、剰余類の個数が得られることになります。C3の例でいえば、C3の要素数は3個だから、S3/C3に属する剰余類の要素数はみんな3個ずつであり、6個の要素を3個ずつに分けることから、剰余類全体の集合としての要素の個数は、6÷3=2(個)という具合に(いってみれば包含除!?^^)。つまり、C3と[213]★C3の2個です。

 C2aの場合も同様に考えると、C2aの要素数は2個だから、剰余類の要素数は2個ずつであり、6÷2=3より、S3/C2aの要素の個数は3個。→C2a,[231]★C2a,[312]★C2a

 すなわち、群Gの要素数を|G|、部分群Hの要素数を|H|、G/Hの要素数を|G/H|と表すと、|G|/|H|=|G/H|が成り立つというわけです。この定理にはあのラグランジュさんの名前がついているようです。→「ラグランジュの定理」

 ほんでもって、次は4次の対称群(「あみだくじ」でいえば縦棒4本の場合)について考えていきたいのですが、ここに本格的に時間をかけるか、ざっとながめて先に進むか迷った末、とりあえず今回は後者を選ぶことにしました(何しろ先が長いので)。

 なお、『数学ガール/ガロア理論』では、正規部分群の意味について、ケイリーグラフを使って視覚的に大変わかりやすく話が展開されていきます。

 ちなみにユーリは4次の対称群の図をたくさん描いて、最後はばっさり単純にしたらしいのですが、この図をどういう発想でまとめたのだろう…と興味津々の私。正規部分群がわからない状態で、あるいは他の知識がない状態でこの図を描こうとすると、かなり大変なのではなかろうか…と、手も足も出なかった私は感じました^^;。このあとみんなで長い時間をかけて正規部分群の連鎖の図を描いたとありますが、確かに長い時間がかかりそう。

 いまは結果だけを使わせてもらうと、4次の対称群S4には、4×3×2×1=24(個)の要素があるわけで、これを要素数12個の正規部分群A4で“割る”と、S4/A4の要素数は、24÷12=2(個)になります。S4を、大きく2つのかたまりにわけたような状態です。…(1)

 A4はA4でひとつの群なのだから、これにも正規部分群H4があり、H4の要素の個数は4個なので、A4/H4の要素数は、12÷4=3(個)となります。(1)でできた大きなかたまりの1つを、さらに3つのかたまりに分けるような感じです。…(2)

 そしてH4にも要素数が2個の正規部分群C2があり、H4/C2の要素数は、4÷2=2(個)となります。(2)でできた3つのかたまりのうちの1つを、さらに2個ずつに分けるような感じです。…(3)

 最後に、C2は単位元だけからなる単位群E4を正規部分群とするので、2÷1=2より、C4/E4の要素数は2個となります。(3)でできた2個のかたまりのうちの1つを、さらに2つに分けるような感じです。…(4)

 (4)まできたとき、かたまりのなかには1つの要素しかありません。

 S4は省略して、A4、H4、C2、E4を書き出すと、次のようになります。

 A4={[1234],[2143],[3412],[4321],
      [1342],[3124],[4213],[2431]
         [1423],[4132],[2314],[3241]}
 H4={[1234],[2143],[3412],[4321]}
 C2={[1234],[2143]}
 E4={[1234]}

(つづく)
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群を部分群で“割る”ことに慣れつつ、正規部分群をおさえる。

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。m(_ _)m



 さて、そんなこんなで、3次の対称群の類別のひとつをみていきました。前回はC3で“割る”ことを考えたのですが、類別に慣れるために、今度はC2aで“割る”とどうなるかをみていきます。

 なお、カードの置き場所という雰囲気を出すつもりで[2][1][3]と書いてきた元を、今後はひとつものだということがわかりやすくするため[213]と書いていきます。

 あ、細かいことですが、『数学ガール/ガロア理論』では、このあたりの話では要素という言葉も使われていますね。元と要素は同じことだと思うけど、ニュアンスが違ってくるかな? そういえば、要素数というのはきいても、元数というのはききませんね。だけど、単位元、逆元は元だよな…。ふむ。まあ、とりあえずあまり気にせずにいきましょうか。きょうは要素でいってみよう。

 もう1度、S3の部分群を確認します。S3の要素の並びをちょっと変えてあります(『数学ガール/ガロア理論』にあわせました)。

S3={[123],[231],[312],[213],[321],[132]}
C3={[123],[231],[312]}
C2a={[123],[213]}
C2b={[123],[321]}
C2c={[123],[132]}
E3={[123]}

 これをC2aで“割る”ために、C2aにS3の各要素を反応させてみます。

ア C2a★[123]={[123],[213]}
イ C2a★[231]={[231],[132]}
ウ C2a★[312]={[312],[321]}
エ C2a★[213]={[213],[123]}
オ C2a★[321]={[321],[312]}
カ C2a★[132]={[132],[231]}

 結果は、アとエが{[123],[213]}、イとカが{[231],[132]}、ウとオが{[312],[321]}となり、C2a\S3の要素は、C2a、C2a★[231]、C2a★[312]となります。

 ところで、部分群にもとの群の要素を「右から」反応させることは、あみだくじでいえば、部分群のあみだくじの下側に、もとの群のあみだくじをつなげる場合になります。では、部分群の「左から」、群の要素を反応させるとどうなるでしょうか。あみだくじでいえば、部分群の上に、群の要素としてのあみだくじをのせる場合です。

 [123]★C2a={[123],[213]}
 [231]★C2a={[231],[321]}
 [312]★C2a={[312],[132]}
 [213]★C2a={[213],[123]}
 [321]★C2a={[321],[231]}
 [132]★C2a={[132],[312]}

 よく眺めてみると、イと、ウと、オと、カとでは結果が違っています。C3についてはちゃんと確かめることをしませんでしたが、C3★(もとの群の要素A)と(もとの群の要素A)★C3の結果はいつも同じになります。しかし、C2aの場合は、もとの群の要素を左から反応させるか右から反応させるかで、要素によっては結果がかわってきます。

 このC3のように、ある部分群の左側からもとの群の要素を反応させても、右側から反応させても、結果が同じであるとき、その部分群をもとの群の正規部分群というようです。

 そして、C3に群の要素を右から反応させてできた剰余類全体の集合をC3\S3と書き、C3に群の要素を左から反応させてできた剰余類全体の集合をS3/C3と書くようです。

 余談ですが、この「反応させる」というのは私の勝手な表現だとはいえ、どちらをどちらに反応させるのかは一概には言えないよなぁ、と思うことであります。『数学ガール/ガロア理論』にはたぶん出てきていないと思うのですが、左剰余類、右剰余類という用語もあるようで、「左なのはだれ?」「右なのはだれ?」と思うわけであります(←群の要素なのですが)。イメージとしては、とある部分群をもとに剰余類を求めようとしているのだから、そのときの主人公は部分群であり、もとの群の要素を反応させると思えば、左剰余類、右剰余類もなるほどとは思います。ただし、文献によっては左右逆の場合もあるとウィキペディアの「剰余類」に書いてありました。正規部分群の定義についても微妙な書き方がしてあります。

 さて、この正規部分群、なかなかどうしてやり手の部分群なのでございます。そしてガロアは、方程式が代数的に解けるための条件を考えるうちに、この正規部分群の重要性に気づいたらしいのです。

(つづく)
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群と群で割り算ができる!?/類別・剰余類

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。(というか物語の流れを完全にくずして我流で書いてます…m(_ _;)m)



 そんなこんなで、1つの群のなかにある群(部分群)についてざっとみていきました。

S3={[1][2][3],[1][3][2],[2][1][3],
          [2][3][1],[3][1][2],[3][2][1]}
C3={[1][2][3],[2][3][1],[3][1][2]}
C2a={[1][2][3],[2][1][3]}
C2b={[1][2][3],[3][2][1]}
C2c={[1][2][3],[1][3][2]}
E3={[1][2][3]}

 このうち、C3={[1][2][3],[2][3][1],[3][1][2]}の元たちは、ぐるぐるまわしてできるような元になっていますが、S3のうちの残りの3つの元からなる集合X3={[1][3][2],[2][1][3],[[3][2][1]}を考えると、こっちはこっちでぐるぐるまわしているような感じがします。別の言い方をすれば、S3のそれぞれの元の決められた2箇所を交換してできる元をあつめるとX3になるというか。ただし、X3には単位元がないので、群にはなりません。

 ほんでもって、C3とX3は、あわせれば全体になるし(C3∪X3=S3)、お互いたぶっているところがないわけで(C3∩X3={}←空集合)。こういうふうに、もれなくだぶりなく分類することを、類別とよぶようです。

 で、先ほど、X3の元は、C3の元の決められた2箇所を交換してできるようなもんだと書きましたが、たとえば左端と中央を交換するような並べかえは[2][1][3]と表せるので、C3のそれぞれに[2][1][3]を施すと、X3ができます。つまり、X3はC3★[2][1][3]と書けるというわけです。ついでに言えば、どれか2枚を交換させてからぐるぐるまわしても同じことなので、X3は[2][1][3]★C3でもあります。

 ずっとイメージだけで書いているのでミルカさんから喝が入りそうですが、引き続きイメージでつっきりまーす。(^^;

 さて、C3のそれぞれの元に、C3のそれぞれの元を反応させることを考えると、カードはぐるぐるまるだけなので、集合としてはC3であることに変わりはありません。すなわち、C3★[1][2][3] も C3★[2][3][1] も C3★[3][1][2] も全部C3

 一方、どれが2枚を入れ替える操作を反応させるとX3になるので、C3★[2][1][3]、C3★[3][2][1]、C3★[1][3][2] は、みんな C3★[2][1][3] と一致します。

 こんなふうに、S3をC3を使って分類した結果(C3とC3★[2][1][3])を、S3をC3で割った剰余類と呼ぶようです。群を群で割って剰余類とは何ぞや!?とも思いますが、個人的にはこの「割る」という表現は意外としっくりきます。

 さらに、S3をC3で割った剰余類全体の集合を、C3\S3と書くようです。ちなみにこれは集合の集合になります。C3\S3={C3,C3★[2][1][3]}ということ。ついでにもうここで書いてしまうと、S3/C3という書き方もあって、これは{C3,[2][1][3]★C3}を示しています。そしてC3の剰余類の場合は、C3\S3=S3/C3となり、これがC3の大きな特徴らしいのです。

(つづく)
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群のなかに群がある

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。m(_ _)m



 というわけで、次は部分群について考えます。A、B、Cの3枚のカードを左から順に並べるときに、全部で6通りの並べ方(ABC、ACB、BAC、BCA、CAB、CBA)があるわけですが、カードを並べる場所に、左から順に[1][2][3]と番号をつけると、左端と中央を入れ替える並べ替えは、[2][1][3]と表せるし、左端から1枚とって右端にもってくるような並べ替えは、[2][3][1]と表せます。

 もし、ABCというカードの並びに、[2][1][3]と[2][3][1]を順に施したとすると、ABC-----[2][1][3]-----→BAC-----[2][3][1]-----→ACB というふうに、カードの並び方は変化します。ACBと並びかわったとき、最初の並び方ABCの中央と右端が入れ替わっているので、結局これは[1][3][2]という並べ替えだったということになります。したがって、並び替えを演算★ととらえれば、[2][1][3]★[2][3][1]=[1][3][2]となります。

 さて、1つ前のエントリで確認したように、{[1][2][3],[1][3][2],[2][1][3],[2][3][1],[3][1][2],[3][2][1]}という集合は群をなすわけですが、これにSymmetryのSを使ってS3という記号をつけ、このS3のなかの6つの元を組み合わせて(すなわち部分集合で)、別の群(すなわち部分群)がつくれないか?ということについて考えてみます。

 部分群も群なのだから、単位元が存在しなくてはいけません。したがって、どの部分群にも[1][2][3]が含まれていることになります。[1][2][3]は自分が自分の逆元だし、もちろん演算について閉じているし、結合法則も成り立つので、これ1つで群になれます。この単位元だけの部分群をE3と表すことにします。単位元はよくeで表されるのですが、ドイツ語のEinheit(単位)の頭文字だという話を別のところで読みました。

 次に、[1][2][3]のほか[2][1][3]を含むような部分群はないかと考えると、[2][1][3]は左端と中央を入れ替える並べ替えなので、もう1度施せばもとにもどるわけであり、やはり自分自身が逆元になっています。したがって、[1][2][3]と[2][1][3]の2つの元で演算を行えば、[1][2][3]か[2][1][3]に落ち着くので、演算について閉じていることになり、部分群{[1][2][3],[2][1][3]}ができます。どこか2枚を入れ替えるようなほかの並べ替えについても同じことが言えるので、同様に、部分群{[1][2][3],[1][3][2]}、{[1][2][3],[3][2][1]}ができます。

 では、集合{[1][2][3],[2][1][3],[1][3][2]}はどうなのかというと、[2][1][3]★[1][3][2]=[2][3][1]となり、これは集合に入っていないので、3つだけでは演算が閉じていません。さらに、[1][3][2]★[2][1][3]=[3][1][2]より、[3][1][2]も仲間に入れる必要があり、[3][1][2]★[1][3][2]=[3][2][1]も必要です。ということはみんな登場するので、これはS3ということになります。もちろん、S3自身もS3の部分群です。

 今度は、[1][2][3]に[2][3][1]を加えたような部分群をつくれないか考えてみると、[2][3][1]の逆元である[3][1][2]は必要で、[2][3][1]★[2][3][1]=[3][1][2]、[3][1][2]★[3][1][2]=[2][3][1]となって演算も閉じるので、部分群{[1][2][3],[2][3][1],[3][1][2]}ができます。この並べ替えは、2枚だけを入れ替えるということをせずに、左端からとって右端にまわしたり、右端をとって左端にまわしたりして、[1][2][3]をぐるぐるまわしていくような並べ替えと思うとイメージしやすいです。

 というわけで、S3でもE3でもない部分集合に、記号Cを使った名前をつけてあげると、対称群S3の部分集合は、次の6こあることがわかります。

S3={[1][2][3],[1][3][2],[2][1][3],
          [2][3][1],[3][1][2],[3][2][1]}
C3={[1][2][3],[2][3][1],[3][1][2]}
C2a={[1][2][3],[2][1][3]}
C2b={[1][2][3],[3][2][1]}
C2c={[1][2][3],[1][3][2]}
E3={[1][2][3]}

(つづく)
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『差異と反復』の第四章をちらっとのぞいたあと、群について考える。

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。m(_ _)m



 次は群について考えたいのですが、こうなるとさすがに“天下り感”の強い展開になってしまうので(!?)、自分がいきつきたい場所を確認するために、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部をのぞいておきたいと思います。財津理さん訳の河出文庫(下)です。

 いま考えたいのは、「第四章 差異の理念的総合」のなかの8節め「<差異的=微分的>と<問題的>」の次の箇所。「理念」には「イデア」のルビがふってあります。また、傍点は下線で示しました。
わたしたちは、解決可能性という外的な指標を、問題(《理念》)の内的な特徴〔真理性〕に基づかせるかわりに、その内的な特徴を、そのたんなる外的な指標〔解決可能性〕に依存させるということだ。さて、そのような循環をまっさきに打ち砕いたのはだれあろう、その人こそかの数学者アーベルであった。彼こそが、解決可能性は問題の形式から生じねばならぬとするみごとな方法を仕上げたのである。ひとつの方程式が一般に解かれうるのかどうかを、言わば行き当たりばったりに探究するというのではなく、むしろ、「与件が解の芽を含む」ように解決可能性のもろもろの場を漸進的に種別化してゆくような<問題の諸条件>を規定することが必要なのである。そこにこそ、<解−問題>の関係における根本的な逆転があり、コペルニクス的転回よりもはるかに重要な転回があるのだ。アーベルは、そのようにして、新『純粋理性批判』を創始し、こうしてまさしくカントの外在主義を超克したと、ひとは言うことができたのである。アーベルに関するそのような評価は、ガロアの業績に対しても当てはまることが確認される。〔ガロアにおいて〕基となる「体」(R)から出発するこの体への継続的な添加〔拡大〕(R,R´´,R´´´・・・)は、可能な置換の漸進的な限定によってひとつの方程式のもろもろの根をしだいに明確に区別する、ということを可能にしている。したがって、「部分分解式」の言わば滝、あるいは「群」の言わば入れ子構造が存在するのであって、これこそが、解を、問題の諸条件そのものから生じさせるのである。たとえば、ひとつの方程式が代数的には解きえないという事態は、もはや経験的な探求や手探りの結果見いだされるのではなく、むしろ問題と問題の諸条件との総合を構成する群と部分分解式の諸特徴に即して見いだされるのである
(p.40〜41)

 あらためて読んでみると、以前読んだときには感じなかった、いい意味での「あたりまえ」感、「普通」感を感じられて、だからこそ先に進むことができそうで、そのことで逆に、ヨーロッパの知的伝統の圧倒的な“厚み”を垣間見たような気がしました。

 ソーカル事件を起こしたソーカルが、アメリカの物理学者ではなく、ヨーロッパのどこかの国の物理学者あるいは数学者ということはあり得ただろうか…と、あらためて考え込んでいます。そういえば『高次の迷信』のグロス&レヴィットもアメリカの人だったのだろうか?と検索してみたけれど意外と見つからず。(検索途中で知ったのですが、金森修さんの『サイエンス・ウォーズ』はAmazonでは評価が低いのですね…私は読んでいないのですが。)

 ほんでもって、このなかの“「部分分解式」の言わば滝”にひっかかっていたのが今回の読み直しのそもそものきっかけであり、その直前にある体への添加〔拡大〕のイメージは少しつかめてきた気がするので、今度はその直後にある“「群」の言わば入れ子構造”について考えていきたいのです。

 群というのは、ある演算に関して閉じていて、任意の元に結合法則が成り立ち、単位元が存在し、任意の元に対する逆元が存在するような集合のことです(「ブール環」ってなんだろう?で他の代数系とあわせてざっくり図示しました)。演算としては、四則計算のようなもののみならず、いろいろなものが考えられます。

 たとえば、3本の縦棒のある「あみだくじ」を考えると、1つ1つのあみだくじが「元」で、このうちの2つをつなげることを「演算」としてとらえることができます。

 あみだくじの場合、棒の上のほうに左から1、2、3と記号をつけると、くじをひいた結果を左から順に表したときに、(1、2、3)(1、3、2)(2、1、3)(2、3、1)(3、1、2)(3、2、1)のどれかになります。もし、どれかの結果を出すあみだくじを2つつなげても、その結果はやっぱり6通りのなかに含まれているので、この演算は閉じています。

 次に結合法則について考えると、3つの元をx、y、z、演算を★で表すとき、(x★y)★z=x★(y★z)が成り立つことですが、あみだくじの場合は、3つつなげて新しいあみだくじをつくるようなものなので、結合法則が成り立つことがわかります。

 そして単位元は、たし算における0、かけ算における1のようなもので、要は、だれと演算を行っても結果をかえない(演算の相手と同じ結果を出すような)元のことです。あみだくじの場合は、たとえば横棒がまったくないような形のもの、結果が1、2、3と出てくるようなあみだくじがあてはまります。

 さらに逆元というのは、演算を行ったときに単位元を出してくるような元のことで、文字通り“逆にする元”あるいは“もとにもどす元”と考えればよいかと思います。たとえば、(1、2、3 → 2、3、1)という結果を出すあみだくじは、左側の番号を右側にもってきて1こずつずらすようなものなので、逆元は、右側の番号を左側にもってきてずらすような、(1、2、3 → 3、1、2)があてはまります。あみだくじの場合、入力や出力を示す番号なのか、「くじの作用」を示す番号なのか、混乱しそうになりますが、そのあたりについても、途中でテトラちゃんが突っ込んでくれています。

 というわけで、「あみだくじ」は群になり、このように並べ替えを考えるような群のことを、「対称群」というようです。『数学ガール/ガロア理論』では、あみだくじのほか、正三角形の回転・裏返しでも対称群を考えており、こちらのほうが“対称”という言葉にはしっくりくるかもしれません。

 で、いま考えたいのは「群の入れ子構造」なのだから、次に理解したいのは部分群です。

(つづく)
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