TETRA'S MATH

数学と数学教育

帰ってきました&二重数直線についての栞

 帰省先からもどってきました。いろいろ書きたいこと&考えたいことがたまっているのですが、とりいそぎ二重数直線についての栞。


山梨大学教育人間科学部・大学院教育学研究科
>中村享史研究室>「乗除法における数直線の教育的役割」
http://www.edu.yamanashi.ac.jp/~ntakashi/cho9901.htm

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基数的目盛と序数的目盛について考え込む(2)

 というわけで、序数的目盛とは何かをふまえたうえで、例のテープ図&二重数直線について考えます。

 テープ図というのは幅のある線分図のようなもので、小学生がはじめてこの図にふれるのは、たし算とひき算のところだと思います。この段階では目盛はなく、なんらかの量が線分の長さに置き換えられます。

〔2014年2月11日追記〕
 ここには以前、「小学校算数2年上/学校図書/平成21年度発行/p.68」の図を掲載していましたが、その後、次のサイトを知りましたので、そちらのリンクにかえさせていただきます。このなかのp.2「加法、減法の線分図」が対応します。


■教育出版>線分図・数直線の指導の系統
https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/ view.rbz?pnp=100&pnp=109&pnp=237&nd=237&ik=1&cd=1934

 では、序数的目盛がついた線分図が登場するのはいつなのか・・・?についてはまだ調べていないのでなんともいえませんが、4年生あたりから、今後につなげることを意識して使うようになるんじゃなかろうかと推測しています(なお、数直線自体は数の系列などのところで出てきますし、長さを学ぶときにはもろに序数的目盛を学んでいるようなものですし、分数の学習などでも線分図は使っていると思います)。

 さて、序数的目盛がついた線分図を使って「倍」の問題を考えると、どういうことが起こるかというと、こういうことが起こります。(新潟大学教育人間科学部数学科数量の関係を比例的に推論する活動の構成−4年「倍の計算」の授業実践を通して−の3ページ目に示されている、生徒たちの発言)
 
C1:この数直線はおかしい。出発が0だから,0から矢印が出ると思います。
C2:1から矢印を出すと,39こ分しかなくなる。だから,やっぱり0から出発した方がいい。
C3:でも,0に40をかけると0になってしまう。やっぱり1を出発にした方がいい。
C4:カエルの大きさがあるから,1から出発すると思います。
C5:1から矢印を出せば,1倍でもとに戻ると考えればいい。

 C2の発言をした生徒は、40−1=39の長さに「×40」と書くことが気持ちわるいでしょうね。わかる、その気持ち。私も1から矢印出てるのってなんか気持ちわるいよ。だって、ついこのあいだまで、1の目盛から40の目盛に向かう弧が示す量は「長さ39」だったものね。せめて境い目から境い目に向かう矢印ではなく、1という数値から40という数値に向かう矢印にしてもらえないだろうか・・・?って、問題はそういう些細なところにあるわけではないのかもしれません。

 C1やC2の発言をした生徒は、次のような線分図だったら納得したでしょうか。(200cmを20cmに変えてあります。)

     

 さて。

 この授業実践の研究レポートは、「倍の計算」についての学習のものです。なので、少なくともこの実践例に関しては、二重数直線の活用の意味が数教協の(>訂正)遠山啓の「量の理論」とはまったく関係ないことがよくわかります。

 最初のカエルの問題は準備段階のものとして出されたようですが、数直線の下の数値に単位がありません。なぜかというと、「倍」なので。そして、途中で帰一法と倍比例の2通りの解き方が出てきますが、分析者は前者を「1を基にする」、後者を「4を基にする」と表現しています。ということは、ここでいう「1あたり」は、倍比例の発想にもとづいた「1あたり」です。つまり、1m^2や1Lなどを「単位」と考えるのではなく、その場面でひとまとまりとして考えられるものを「単位」とよんでいます。

 生徒たちが帰一法と倍比例の2通りの解き方を出してきた問題は、4mの値段が72円のリボンを20m買ったときの代金を求めるものでした。これを線分図をかいて求めようとした生徒が、数値をうまく対応させられない場面があり、これを分析者は「1あたり量が見えないことによる混乱」と書いています。しかし私は、混乱しているのは教師側の「1あたり量」の概念、あるいはその提示の仕方なのではないかという気がするのですが・・・

 もしこれが小5の「単位量あたりの大きさ」の勉強だったら、1以外の数値から矢印を出させることはまずないと思います。どんな数値の組み合わせが与えられても、いったんは「1」にもどると思う。それが「単位量あたりの大きさ」の学習だと思うので。ここでの単位は、1m^2や1Lなどのことです。

 しかし、ここは「倍の計算」の学習なのだから、何を単位とみなすかはとりあえずよしとしましょう。気になるのは、最初の問題でカエルの体長とカエルの跳んだ距離を二量としてとりあげていることです。このカエルは成長のどの段階でも体長の40倍の距離をとぶのでしょうか? あるいは、体長の40倍の距離を跳ぶカエルの種類を想定しているのでしょうか? 二量の関係ってなんだろう、比例的推論ってなんだろう、比例ってなんだろう・・・

 さらに、以下のような記述も見られます。
 このことから,1あたり量を累加的に測りとる活動が、二量の関係を比例的に推論する基になることがわかる。

 せっかく連続量を意識した序数的目盛のある線分図を使っているのに、何ゆえ最終段階でみかんの個数をもってくるのか、何ゆえここにきて累加的に測りとる活動をするのか。疑問符がとびまくっています。

 もし、比例的推論を、二重数直線を使って、“系統立てて”「倍の計算」から学習するのだとしたら、いったいどういう問題設定にすればよかったのだろう・・・と考え込んでいるところです。


〔その後の展開〕
「比的率」は外延量という考え方(12)/様々な「1」が混在してしまうこと
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「二重数直線」に言及している論文とwebページのリスト

 「二重数直線」は数教協の「量の理論」を源泉としているものではないようです(ちなみに、おもな研究発表の場は日本数学教育学会みたい)。「複線図」とか「対応数直線」とよばれているのもこれかな? あと、もしかしたら「関係図」「矢印図」とよばれることもあるのかもしれません。


数量の関係を比例的に推論する活動の構成−4年「倍の計算」の授業実践を通して−
(吉田 亨/新潟大学教育人間科学部附属新潟小学校)


単位量あたりの大きさの概念形成における記号論的連鎖に関する研究
(稲田 直人/上越教育大学大学院修士課程2 年)


勝雄の割合の知識の形成過程における表象の変容と関係性
(高橋等/上越教育大学)


演算決定における数直線図の活用について
(川又由香/新潟市立東山の下小学校)


那覇市立大道小学校「校内研だより」(平成22年度 No.3)


小中高連携による学力向上の取り組み(長野県飯山北高等学校)


 二重数直線上がうまく扱えないと、問題の数量関係を正しくとらえていないとみなされがちのようですが、本当にそうなのかな??というのが私の疑問です。

 これってむしろ、問題を解くための道具としての図ではなく、問題を解き終わった人が2量の関係を確かめる図にしたほうがまだいいんじゃなかろうか?と現段階では感じています。これから考えがかわるかもしれませんが。
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テープ図&二重数直線についてとりあえず見つけたページ

 教科書で、数教協の「量の理論」の色合いがここにきて強まっている!? に付随する話として、とりあえず次のページを見つけました。あの太めの平行な2直線は二重数直線というのね・・・ 2006年か。参考文献には1997年のものも含まれているので、だいぶ前ですね。

新潟大学教育人間科学部数学科
数量の関係を比例的に推論する活動の構成−4年「倍の計算」の授業実践を通して−

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