TETRA'S MATH

数学と数学教育

単振動と微分方程式

 『なるほど量子力学(1)』のAmazonのレビューに、「フックの法則から始まっているのはとても素朴なものを感じました」といったようなことが書いてあります。ということは、量子力学の導入の仕方としてはめずらしいのかな?

 「フックの法則ってきいたことあるけどなんだっけ?」(言葉自体は本には載っていない)と思って調べてみたら、バネなどの復元力の法則でした。『なるほど量子力学(1)』においては、最初の「オイラーの公式」に少し出てきたあと、「第4章 電子の運動−古典力学からのアプローチ」がこの「復元力」の話、バネの単振動の話から始まっています。

 というわけで、単振動の微分方程式について考えてみることにしました。古典力学においては、物体の運度はニュートンの運動方程式 (力)=(質量)×(加速度) に支配されるわけで、記号で書くと

  

となるわけですが、バネにつながれた振り子の単振動においては、バネ定数をkとすると

  

という復元力がはたらくので、

  

という式ができます。変形して、

  

 これは「定係数の2階1次線形微分方程式」というものになっているらしいです。一般的な形は          
     
  

でしょうか。

 微分方程式にはいろいろあり、解き方もいろいろあるんでしょうが、

  ・・・(1)

 この形の微分方程式は

  ・・・(2)

という解を仮定することで解けるらしいのです。e^x は微分しても自分にもどるので便利なんだけど、そのことと関係しているんでしょうか?

  

 (2)の解を(1)に代入すると、
     
  

 けっきょくこれは e^λt の部分をとって、

  

というλについての2次方程式を解くことで解が求まるらしいのです。(こういう方程式を特性方程式というそうです。)

 単振動の微分方程式

  

についても同じように考えると、

  

というλについての2次方程式を解けばよいので、

    

 わからないのはこのあとです。上記のλの値から(1)の微分方程式の一般解は

  

となるらしいのですが、なぜなんだろう?

 意味がわからない前に、指数の見た目が大きくなりすぎてeがおしつぶされそうなので、eの累乗を表す exp という表記の仕方を取り入れることにします。

   

 exp はこれまでもよく見かけていたのですが、新しい記号に対する拒否反応が強い私は「これは便利だ」と思えるまで、なかなか受け入れられずにいたのでした。なるほどこれは便利だ。exp というのは指数関数(exponential function)の略のようです。 

 単振動の微分方程式について、これまでの流れをまとめると、

  

 そしてこれからしたいことは、最後の一般解がなぜ上記のような形になるかよくわからないので、せめて次の5つの解



が、すべてもとの微分方程式の解になっていることを確かめたい、ということです。

 式を簡略化するためにx1と同じ部分を☆、x2と同じ部分★と表すことにします。
(1行目の dt^2 の2が抜けていました↓)

  

 確かに成り立ちました。

 さて、単振動の微分方程式から得られた一般解は指数関数の形をしていますが、オイラーの公式を使うと三角関数の形に表せます。

  

 微分方程式において一般解が複素数のときには、実部と虚部が特殊解になるのだそうです。

  

 そこで、これらも解になっているか調べたいのですが、

  (cosθ)''=(−sinθ)'=−cosθ
  (sinθ)''=(cosθ)'=−sinθ

となることからオッケーの予感です。実際、そうなりました。(ほかにも解の形はあるようです。)

 なぜ三角関数に出てきてもらったかというと、円運動を考えやすくするためなのですが、けっきょく単振動の話から始まったのは電子の円運動を考えるためだったようです(たぶん)。

 原点を中心とする円の円周上を(等速)で動く点について、たとえばy座標だけに注目して時間に沿ってy座標の動きをみていくと、上にいったり下にいったりしてある幅のあいだをいったりきたりする波になるので、円運動は単振動におきかえて考えることができます。

 角速度をωとして、時間をt、円の半径をAとすると、運動している点の座標は(Acosωt、Asinωt)と表せるから、上記の微分方程式の答えと照らし合わせると、

  

が成り立ちそうです。さらに、この平面を複素数平面とみなすと点には1つの複素数z=A(cosωt+isinωt)が対応するから、オイラーの公式により A exp(iωt)となり、これはいちばん最初に求めた単振動の微分方程式の特殊解と同じ形をしています。

 なんだかすごくあたりまえのことを、オイラーの公式をトンネルとしていったりきたりしているだけの気もするのですが、式変形をしているだけなら納得できても、図にもどって具体的に考えようとすると「あれ?」となるのでした。

 そもそもxは変位であり、長さではなかったか。三角関数の形をした解は、点から座標軸にひいた線の長さとして表されるので納得できますが、複素数の形をしている場合は、1つの複素数として表されていてそのままイコール大きさではないので、ちょっと不思議な感じがするのでした。



〔2018年3月24日/複数に分けて書いていた記事をひとつにまとめ、整理しました。〕
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フーリエ級数を複素数へ

 フーリエ級数を一度考えておくことにしました。

 実は「フーリエ級数(解析)」という言葉が、今年の夏からずっと頭の隅っこにあったのです。今年の夏にきいたある対談で、数学が世の中の役に立っている一例として、「(医療の)MRIなどにもフーリエ解析が利用されている」という話をきいたのが妙に印象的だったので。だけどなんだか難しそうで、ずっとあとまわしにしていました。

 フーリエ級数というのは、簡単にいうと、「同じ形で繰り返される波は、複雑なものであっても、単純な波の和になっている(任意の周期関数は三角関数の和で表される)」ということなのだと思います。

 でも、フーリエ級数の例としては、直線だけの方形波(矩形波)が例に出されることが多く、「複雑なものであっても…」ときいたあとに方形波を見るとイメージが違ってしまいます。私は最初、この方形波で逆にわからなくなりました。だけど、だいたいの意味を知るには複雑な波から入ってもらったほうがわかりやすいし、そのあとで方形波を見せられると「こんな直線だけで構成された波もサイン波とコサイン波の組み合わせで表せてしまうのか〜」と感動することができます(ただし収束はかなり遅いらしい)。

 式にはいろんな形があるもよう。とりあえず、「単純な波の和」ということが目に見えて、それ以外についてはあまり深く考えないですませられそうだということで、下の式を採用。(kxのところが微妙だけれど、いまは深く考えないことにして…)

  

 ほどいて書くと、

  

 こんな感じでしょうか。

 これを複素数の世界に広げたいのです。で、オイラーの公式は指数関数を三角関数で表したものだけれど、逆に三角関数を指数関数で表すこともできるので、準備をしておくと、

  

 分母に i があるのはなんとなく気になるので、水色のように変形しておきます。これをフーリエ級数の式のΣよりあとの部分に代入すると、次のようになります。

  

 ピンクのところと黄色のところに分かれてしまっているのを1つの形で表せないかということで、新しくckという複素数を考えることにして、次のようにak、bkを使ってckを定義します。

  

 そうすることによって、フーリエ級数の式は次のように書き換えられるらしいのです。

  

 kの範囲が 0→∞ から −∞→∞ に変わっているのがミソのようです。

 そんなことしていいのかどうか上の式をほどいて考えてみると、負の数まで範囲を広げたことで、ピンクの部分と黄色の部分と、それから緑の部分が確かに現れてくると確認できます。

  

 こんな理解でいいんでしょうか。いけないとしてもいまはこれがせいいっぱい。
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行列力学の誕生

 『なるほど量子力学(1)』の第1章は「オイラーの公式」で、これについては最後の微分方程式をのぞいては読めました(字面を追った)。でも、第2章以降になるとさすがに読みにくく、いつものことながらこういうテキスト本を前から丁寧に読めなくて、いきなり「第7章 行列力学の誕生」を開いてしまうせっかちな体質。ここからもとにもどっていこう。

 行列力学はハイゼンベルクが生んだというより指導教授のボルンがえらかったらしいです。ハイゼンベルクの論文を見せられたボルンが、そのあまりの計算の複雑さに辟易して(だけど量子力学の建設にとって重要な第一歩であることは看破した)、「これは学生のときにならった行列の計算そのものではないか」と気づき、そこから行列力学というものができていったようです。

 で、最初に出てくるのは、ハイゼンベルクが「原子内での電子の運動を解析するために、原子から放出される電磁波のスペクトルをもとにつくった級数和」というものです。

  
 
 いやん、なにこれ。

 ハイゼンベルクは上記の級数和がn軌道にある電子の位置に対応すると提唱したんだとか。

 そして、エネルギーを計算するためには、位置(qn(t))の2乗を求める必要があり、級数の成分が電子軌道間の遷移であることから、そのかけ算は次のようなルールに従うと仮定したんだそうです。

     

 これは n→m の遷移の次に m→k の遷移が続かなければ物理的意味がないという考えに基づいているそうです。

 3才児が適当にキーボードを打った文字列に見えるのは私だけでしょうか……


 前にもどるか。
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量子力学の入門書

 やっぱり量子力学を少し勉強しておこうと思い、参考書を1冊買いました。

なるほど量子力学〈1〉

 行列力学に重きがおかれているということで、購入しました。
 

 残念ながら、量子力学を応用するという立場からは、行列力学よりもシュレーディンガーによって提唱された波動力学の方がはるかに便利かつ簡単であるため、行列力学を取り上げる教科書はほとんど無くなってしまった。あるいは、それを取り扱っていても、非常に簡単な記述で済ましている場合が多い。その理由のひとつは、その後の研究で、行列力学と波動力学が本質的に同じものであることが明らかとなったため、わざわざ難解な行列力学を学習する必要がないと考えられているからである。
 ただし、行列力学で培われた概念なくして、量子力学を深く理解することは困難である。また、行列力学を学習することは、初学者にとってもっとも重要な量子力学がいかにして生まれたかを理解するうえで重要となる。

(p.6〜7)


 で、とりあえず理解できそうな最初の「オイラーの公式」と、最後の補遺のうち「行列の対角化」をのぞいてみたら……

 なんだかえらくわかりやすいんですが。

 「オイラーの公式」の最初の部分のわかりやすさは、いままでに味わったことのない感覚。ある人にとってはわかりにくいのかもしれないわかりやすさといいますか。この本の特徴なのか、物理本の(数学本にない)特徴なのか。

 それから、ここ数日検索しまくってやっとの思いでなんとなく理解した「行列の対角化」も、最初からこの参考書を読めばよかったと思うくらい、具体的な数値を使って簡潔にまとめてあります。インターネットで検索して見つけたどのサイトよりもわかりやすい。なんとなく、専門書よりWebページのほうがわかりやすいものにめぐりあえる(いろんな角度からの解説が読める)というイメージを勝手に抱いていたのですが、やはり少なくとも1冊は参考書を手にすることが大切なのだと実感しました。

 でも、メインのところが理解できるだろうか??

 おそるおそる開いてみます。

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