論理学の中の群論的構造
論理学の幾何学的表現で示したように、点対称の位置にある要素どうしは互いに否定になっているので、「否定する=180度回転させる」という操作が成り立ちます。そして、2回否定すると自分自身にもどります。この話ですぐに思い浮かぶのは、複素数平面でのi^2=−1です。
さて、点対称の位置関係はわかったとして、では上下や左右に何か関係はないかということを、下のピンクで囲んだ4つの要素間の関係について考えてみます。
上下の関係は論理学の幾何学的表現と双対原理で示したように∪と∩を入れ換えたものになっています。また、左右の関係は、a、bのそれぞれを否定したものになっているし、さらに、斜めの関係はa、bのそれぞれを否定して、かつ、∪と∩を入れ換えたものになっています(ド・モルガンの法則そのもの)。各操作を順に「左右」、「上下」、「斜め」とし、さらになんの変化も起こさない操作を「もと」とすると、この4つの操作は群(*)をなし、次のような乗積表がかけます。
ちなみに、上と同じ変換操作が、下の4つのピンクの枠でも成り立ちます。
もし、ab →  ̄a ̄b →  ̄a∪ ̄b → a∪b と移動できるような1種類の操作があったら、複素数平面上でiをかけていくように順に移動できて面白かったかもしれないけれど、さすがにそれは無理かな。さらに内側の正八角形をなす点どうしに関係があったら・・・・・・と欲望はつきませんが、とにもかくにも、「左右」「上下」「斜め」「もと」にはきれいな関係があることがわかりました。
この「左右」「上下」「斜め」「もと」はいわゆるクラインの4元群になっています。テキストではl、m、n、eというアルファベットで示されているものを日本語で表してみましたが、かえってわかりにくくなったのではないかという懸念がなきにしもあらず・・・…。ま、いっか。
(クラインの4元群といえばあれですね、レヴィ=ストロースのカリエラ型婚姻規則。)
論理学のなかのこのような群論的構造を発見したのが、ピアジェなのだそうです。
え、ほんと!?