TETRA'S MATH

数学と数学教育
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結城浩『数学ガール』より、「第10章 分割数」

 結城浩『数学ガール』「第10章 分割数」について少し書いてみたいと思います。出版されてから時間もたっているし、ネタバレを気にせず書いていきま〜す。

 最初に『数学ガール』の章立てを眺めてみると、次のようになっています。

  プロローグ
  第1章 数列とパターン
  第2章 数式という名のラブレター
  第3章 ωのワルツ
  第4章 フィボナッチ数列と母関数
  第5章 相加相乗平均の関係
  第6章 ミルカさんの隣で
  第7章 コンボリューション
  第8章 ハーモニック・ナンバー
  第9章 テイラー展開とバーゼル問題
  第10章 分割数
  エピローグ

 このお話は「僕」とミルカさんとテトラちゃんを中心に進んでいくのですが、3人を数学の森のより奥へいざなう存在として、村木先生という高校の先生が登場します。本人が直接出てくるところはなく、折にふれ3人に渡す数学のカード(問題)という形で登場します。別々のお題が渡されることもあるし、同じカードをみんなで考えることもあります。

 第10章で村木先生がみんなに渡したカードは分割数に関するもので、分割数についての説明がなされたあと、次のような2つの問題が書いてありました。

問題10−1
P9を求めよ。

問題10−2
P15<1000は成り立つか。

 まずは問題10−1を具体的に列挙して考えます。一緒に考えるといっても作業は別々。ほどなく30という答えが出ます。そして次の日、問題10−2についてのそれぞれの考察を伝えあいます。

 「僕」は、分割数の母関数を求め、そこから一般項を導いて P15 を直接出して解こうとします。テトラちゃんはP15をP9と同様にすべて書き出します。そしてミルカさんは、問題10−1を解くときにフィボナッチ数との関係が使えそうだということを察知し、一般項を求めず上界を示してこの問題を解きます。

 「僕」が母関数を求めようとしたのにはこれまでの経緯があるのですが、結局、一般項を導くところまではいけず、ミルカさんの解法を見て、問題10−2が不等式で与えられていることの意味を考えなかったこと、方向を間違ってしまったことに対して落ち込むのでした。

 ちなみに、一般項はエピローグで出てきます。私にとってはびっくりするくらい複雑な式ですが、複雑でびっくりというより、求めてしまった(1937年 Hans Rademacher)のがすごい、と思うべきなのかもしれません。

 なお、P15は176であり、問題2の1000という数値とはかなりかけはなれていますが、フィボナッチ数を上界として求めるにはちょうどいい数値です。なので、村木先生はそれを期待してこのカードを出したのでしょう。

 がしかし、ミルカさんはそこで終わらせなかった。母関数を使うという「僕」のアプローチを出発点として、「よりよい上界」を得ることに成功しました。それは「東の森」と「西の丘」を評価する長い旅です。その旅の中で、バーゼル問題が出てくるのです。

 で、その旅に同行する前に、第4章にもどってみます。

(つづく)
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