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圏論「随伴関係(三角等式版)」、できあがりはシンプルだけど

 前回、『圏論による論理学』(清水)の略式のほうの「随伴関係」の定義を見たので、今回は『圏論の道案内』(西郷・能美)の「随伴関係」の定義を見ることにする。

 徒歩による三角等式理解の旅をいったんあきらめ、先にタクシーでゴールまで行った。行ってしまえばシンプルなのだ。

 圏Cから圏Dへの関手F、圏Dから圏Cへの関手Gについて、FGからidDへの自然変換ε、idCからGFへの自然変換ηが存在して、これらが三角等式をみたすとき、すなわち

図1


を可換にするとき、四つ組〈F、G、ε、η〉を随伴関係と呼ぶとしている。

 それはいいのだが。

 記事がだいたい書けたので、投稿前に全体的なチェックをしようと思って内容を確認しているとき、大きなことに気づいてしまった。

 『圏論の道案内』に関しては、これまでずっと、Fを積関手、Gを冪関手として考えてきたし、今回もそう考えている。しかし、よくよく考えてみれば、随伴関係に出てくるF、Gは積関手、冪関手とは限らない。それどころか、かたやCからD、かたやDからCへの関手として定義されている。いったいここをどう考えればいいのだ??

 そもそも、随伴関係のオープニングからして、
いよいよ積と冪との間にある関係を抽出して「随伴」を定義しよう。
と書いてある。

 こりゃ、スコップで掘り起こした宝箱からスコップが出てきてもおかしくはないということだったのか!?

 混乱する一方だが、とりあえず、今回考えたことは考えたこととして、まとめておくことにした。

 気をとりなおして図1を見ると、三角形の辺が ⇒ で構成されており、自然変換のつくる三角形になっていることがわかる。そして、一部の辺が Fη や εF になっている。

 実際、これより前の三角等式への旅の続きのところで、関手と自然変換の合成なるものが出てくる。

 関手と自然変換の合成とはなんぞや?

 図1からもわかるように、それらがあわさったものは自然変換になるらしい。関手をH、自然変換をtとして、X成分が (Ht)X = H(tX)、 (tH) X = tH (X) となるものとして定義されているのだけれど、Xは対象だったはずで、「対象が自然変換によってうつされるってどゆこと??」状態から抜け出せずにいる。
(2020年9月10日追記:これより前の「自然変換」のところを読んでいないからこうなるのだとわかった)

 ついでに、いま思い出したので、いつか書こうと思ったことを書いておくと、この本の第1刷から第2刷では、けっこうな数の修正が加わっているらしい。別件でネット上の正誤表をさがしたときに(検索すればすぐ見つかると思います)、そのことがわかった。

 このタイプの本にはあのくらいの数の修正はあたりまえなのだろうか? ざっと数えたところ70か所あまり。図が差し替えになっているところもある。いまはネットの時代だからWeb上で正誤表が出せていいけれど、ネットがない時代だったら、第1刷を買った人は大変だったろうなぁと思ってみたり。

 なお、別件というのは、アルファとエーが混在しているところがあるような気がして、念のために確かめたかったのだけれど、そういうレベルの問題でもなさそうなことがわかった。

 本のミスはできるだけ少ないほうがいいのはもちろんだけれど、自分で図を描いていて思うことは、たとえばどの文字を小さくすればいいのか(添え字っぽくすればいいのか)、気持ちをしっかりしておかないとときどきわからなくなるということ。

 再び話をもとにもどすと、三角等式に向けての旅では、FAGA⇒idC と、その双対である idC⇒GAFA を得るところまでなんとかたどりついた。そのなかで、A×X → A×X の恒等射のカリー化を ηX とするところがあった。

図2


 この図を積関手FA、冪関手GAを使って表すと、次のようになる。

図3

※ たとえば、この図の下の辺の射の「εFA(X)」のFA(X)は本の(8.3)にあわせて添え字として小さく書いているが、このあと自然変換の形になると添え字ではなく大きな文字Fになっている。


 ここからAとXを除いて自然変換の形にもっていけば、図1の左側の三角形になる。図1からはなれてしまったので、もう一度。

(図1をもう一度)



 では、右側の三角形はどう考えればいいのか? タクシーで降りたところから、もとにもどったり先に進んだりうろうろ歩いてみる。たぶん、AとYを加えればいいのだろう。ちなみに以下の図4は本には載っていない。

図4


 さらにそれを対象の関係で表すと、次のようになろうかと思う。

図5


 つまりは以下のことが言えればいいのだと判断した。

図6


 「なってほしい」というか、等しいはずだ、と。そのために、以下の「自明な式」が使われている。

図7


 ということは、図6に関手FAを作用させてεYを合成させたときに、εY になることを確かめればいいのかな。

図8


 点線部分はεの自然性から出る射になる。なお、本では全体がFA、GAを使って表してあるのだが、私はまだ対象で表さないとよくわからないので対象で表した。1A × εY^A については、本ではFAGA(εY)となっていて、これでいいのか不安なのだが、(εY)^Aってこれまで見たことがないから、これでいいのかな?

 で、エの合成部分は図2でXをY^Aとしたものだから、1A×Y^Aとなり、εYと合成して、前回と同じ発想でεYとなって、OKだぞと。

(図2をもう一度)



 なんとなくうっすらわかったような、わかっていないような、全然わかっていないような。

 ちなみに、図6の作業の前に、A×X→B(射f)をカリー化された〜f(fの上に〜がついたもの)で表現する式 εB FA(〜f)の 双対を考えてεYに適用しようという話が書いてあるのだが、その意味がさっぱりわからないまま旅をほぼ終えてしまった感じがする。いいんだろうか。

 っていうか、これは旅とは言わんな。迷子だな。
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