TETRA’s MATH

<< 圏論「三角等式」へ向けて、もはや旅 | main | 圏論「随伴関係(三角等式版)」、できあがりはシンプルだけど >>

圏論「随伴関係(略式)」、つまりは巴

 三角等式に向けての旅を続けたかったのだけれど、そのあとの展開がよくわからず、とにかく頭がごちゃごちゃしすぎなので、先に『圏論による論理学』(清水)の「多少略式な仕方での定義」のほうをのぞくことにした。

 以前ざっとのぞいたときには、「やっぱり略式のほうがわかりやすいな」と思ったのだけれど、三角等式に向けての旅を少しやってみたあと読むと、わかりやすいのはわかりやすいのだが、「うっそー」的な展開になってしまった部分があるので、あとでそのことについて書こうと思う。

 では、略式の定義をみていく。BCを各々圏とし、BからCへの関手をF、CからBへの関手をGとすると、Bの任意の対象AとCの任意の対象Bについて、以下のことが言えるとき、FとGの間には「随伴関係」(adjunction)が成立していると呼ばれる。

図1

   ※ 式に説明書きをつけた。

 記号はTを右に90度回転させたようなものが使われるらしい。FはGの「左‐随伴」(left-adjoint)、GはFの「右‐随伴」(right-adjoint)であるとも呼ばれることが書いてある。

 また、f∈C(F(A),B)、g∈B(A,G(B))として、可換な下図のように表されることもあるとのこと。

図2


 イメージ的にはFとGとが互いに巴をなしているともいえる、という注意書きもある。確かに。せっかくなので、自分の感覚で巴の図形を点線で重ねてみる。

図3


 上の定義では、随伴関係はあくまでも関手間の関係として定義されているけれども、F(A)→B⇔A→G(B)も便利だよ、ということも書いてある。

 それはそうとして、随伴関係って結局、どういうものなの?という疑問があるわけだが、このあと具体例が示されており、ありがたい。

 が。

 以前だったら、「なるほどねぇ!」と喜ぶだけだったかもしれないけれどいまとなってはビミョーな気持ちになることが書いてあった。

図4

※ 式に説明書きを加えた。例2に対しては「随伴関係(広い意味での)が成立している」と書いてある。

 え……。

 確か三角等式に向かう旅で積と冪の関係を根拠として使いまくってきたはず……。

 落ち着いて考えれば、使ったのは冪の定義であり、上記の定理を使ったわけではない。というか、そもそも随伴関係は定理ではなく、これこれこういうものだと定義するものだから、三角等式に向けての旅は、いまの段階では基本は証明の旅ではないのだと思う。これから先、証明が必要な部分はあるみたいだけど。

 だから、循環論法としてのもやもやではないとしても、なんというのか、土に埋まっている宝箱を掘り出すためにスコップで一生懸命掘ってみたら、宝箱からスコップが出てきたみたいな。

 とにかくわかったことは、三角等式に向けての旅で、やっぱり私は何もわかっていなかったということ。

 というような心のもやもやをおいておけば、例1のFは積関手に見えるし、Gは冪関手に見えるし、なんかつながりそうな感じはある。

 ちなみに、『圏論の道案内』(西郷・能美)の随伴関係は、図形的イメージとしては、2つの直角三角形を互い違いに(左下と右上に直角が来て、斜辺が平行になるように)組み合わせたものと言える(そう置いてあるということだけれど)。

 それはそれで、巴っぽいのだ。
圏論 | permalink
  
  

サイト内検索