TETRA'S MATH

数学と数学教育
<< cal(カロリー)とはどのような単位なのか | main | 複比例、電気料金の仕組み、電場の強さの単位、電流についての補足 >>

運動や生活活動の強度の単位「METs(メッツ)」とはなんなのか

 calのことを考えたので、この機会にメッツについてみていきたいと思います。生活費からははなれますが、別の意味で生活に直接関わる量といえます。>50代のダイエットを一石三鳥でやる

 メッツというのは、運動や生活活動の強さを示す尺度のことであり、私は石川善樹『最後のダイエット』で知りました。2015年の6月くらいのことです。「掃除機をかける」「調理や食事の準備」といった日常的な家事についてもメッツが示してあり、こういうのってありがたいなぁ…と思ったものでした。

 それまではメッツのことを知らなかったので調べようもなかったのですが、知った今、ネットで検索するとたくさんひっかかってきます。ウィキペディアの「メッツ」のなかにも入っています。

 どうやら2006年に厚生労働省が生活習慣病予防のために示した指標のようですが、さかのぼれた国内のそれらしき文書は確かに2006年がいちばん古いです。世に出てからけっこう時間がたっているのですね。

 メッツは、安静時を1として、それぞれの活動・運動がその何倍になるかで示されます。たとえば、普通の歩行は3メッツ、自転車に乗るのは4メッツ、軽いジョギングは6メッツというふうに。検索すると、けっこう細かくあれこれ示したメッツ表がひっかかってきます。

 また、メッツに時間をかけたものにはエクササイズ(Ex)という単位があてられているようです。つまり、メッツは「強さの単位」、エクササイズは「量の単位」ということになります。

 『最後のダイエット』では消費カロリー算出のための単位として出てきていて、その場合、正確には「メッツ×体重×1.05=1時間あたりに使ったカロリー」という計算式になるようです。計算のしやすさを考えると×1.05は省略しても問題なさそうですが、その1.05がどこからきているのかには興味があります。

 ちなみに、カロリーまでもっていかなくても、エクササイズの量だけでも使えます。週に23Exを心がけましょう、というふうに。カロリーを出すには体重が関わってくるので、必要な身体活動量を個人の体重に関係なく示すためにメッツとエクササイズを用いていることが「健康づくりのための運動指針2006〜生活習慣病予防のために〜」にも書いてありました。

 エクササイズという単位を基準に考えると、たとえば1エクササイズの運動として、20分歩くことと、15分自転車に乗ることと、7〜8分水泳をすることが等価になります。

 そのようなメッツの使い方のページはあれこれひっかかってくるものの、メッツそのものの誕生・普及の経緯や数値の出し方についての詳しいページはまだ見つけられていません。とりあえず2000年のアメリカの論文がありそうだということと、メッツが出てくるかどうかわからないけれど1993年の文献も関わっていそうだというところまでは見当がついたのですが、それ以上のことはわかっていません。

 いまのところ、ウィキペディアの「運動強度」のページと「Metabolic equivalents」のページを参考にしています。ここで出てくるMETがいま考えてるメッツと同じものであるという前提のもと。

 後者ではMETというふうにsなし表記になっており、前者ではsがつくのは複数形と説明しています。1MET、2METs、3METs、…ということでしょうか。なんだか不思議な感じがしますし、考えようによっては興味深い表記の仕方です。どうしようか迷ったのですが、このブログではいっそ「メッツ」のカタカナ表記でいくことにしました。

 後者のページをみてみると、4.184という数値を含む式が示されていて、calのことを勉強したおかげでこの数値にひるまなくてすむのがうれしいなぁと思いました。しかしまじまじと眺めているうち、つくづく不思議な計算式だと感じました。

 『最後のダイエット』でメッツを知ったときには、日常活動のメッツの数値(3.3、2.0、1.8というように、小数点以下第一位まで示されている)がありがたくて気がつかなかったのですが、考えてみれば、体重をかけるだけで1時間のおおよその消費カロリーが出てくるなんて、なんだかすごい話に思えてきました。そうなるとますます1.05の背景を知りたくなってきます。

 先ほどのページにもどると、式の直前に 3.5ml O2・kg^(−1)・min^(−1)という量が見られ、これに該当するであろう話が前者のページに書いてあります。これでいくと、メッツは有酸素運動の強度として、単位時間、体重1kgあたりの酸素摂取量をもとにしているということになるでしょうか。

 calというのはもともと、水の比熱が1となるようにつくられたものだと先日勉強しました。そして、いろいろな定義があるらしいこともわかりました。それがいったいどういうふうに消費カロリーに結びつくのか、やはりメッツの背景の計算式をもう一歩踏み込んで知りたい気分です。

 なお、後者には58.2W/m^2という量も出てきますが、難しそうなので、とりあえずそういうものがあるということだけ頭に入れておきます。

 とにもかくにも、また新しい○/(△□)の形の単位に出会えて面白かったです。

 それにしても思うことは。

 こういう単位はどのように作られ、どのように認められ、どのように普及していくのかということ。

 まさかつくったもの勝ちということはないですよね⁉ でも、つくれたらすごいですよね。単位の名称に人名由来のものがいくつもあることをあらためて思い出しています。単位の名前が「〜に因む」というとき、だれがどのタイミングで名前をつけているのでしょうね。いずれにせよ、その単位があることで何かが便利になるから誕生・普及していくのでしょう。

 国際単位系やcalについて調べているときには、規模が大きかったり、慣れ親しんでいることで、逆にそういうことに思いを馳せるところまでいきませんでしたが、メッツという馴染みのない、新しいといってもいいかもしれない単位と出会ったことで、単位というのは見出されるものであり、つくられるものなのだなぁ…ということをあらためて感じています。
量の単位 | permalink

この記事に対するコメント

コメントする









  

サイト内検索