TETRA'S MATH

数学と数学教育
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表面をなぞってみる圏の積と巾

 最初に、前回のエントリの補足です。リンク先:数学はメンタルな「行為」だと主張した人:ブラウワーにおいて、「ブラウワーのある種の"世間の感覚"」について書いたのは、私が本の記述から捉えたことなので、その旨追記しました。また、ラッセルのパラドクスが出されたのは正確には何年なのかいまもってわからないので、だいたいそのあたりということで「?」をつけておきました。それから、ダメットの本を手にしたきっかけは、構成主義や直観主義をもう少し知りたいというのが直接の動機だったようです。>「構成主義」という言葉の多義性



 相対擬補元って、実は思っていたより大事っぽい気がしてきました(自分にとって)。そしてたぶん、そんなに難しい話ではなさそう。なのになんだかよくわからないのです。とりあえず積と巾にもう少し慣れておくことにします。

 ちなみに「巾」は、やっぱり「冪」と書いてもいいのではないか、むしろそう書いたほうがいいのではないか…と思えてきています。が、いまはメインの参考文献が清水義夫『圏論による論理学』なので、そちらにあわせて当分の間は「巾」と書きます。

 わからないといえばこの巾の意味がさっぱりつかめません。定義は読めばわかるし、その後に続く話も字面を追えばわからないことはないのですが、なんのためにこれがあるのかその意味がわからない。意味がわからないので、定義もなんだか不自然に感じられます。そして、なぜ巾というのかもわかりません。

 わからないことだらけですが、とにもかくにも図を描いてみます。そうするちに何かつかめることを期待して。

 なお、以降の画像で「本p.○より」としているのは、清水義夫『圏論による論理学』に載っていた図を自分で描き起こしたものです。場合によっては本文の説明を加えています。その他のものについては「自分の理解」と示しています。

 まず、「積」のおさらいをば。>『圏論の歩き方』いきなり第17章/可換図式の「筆順」

  

 ちなみにhは〈f,g〉と表されるようです。

 次に、「矢(射)の積」について。

  

 上図の右に、

 (i.e. f×g=fπ1,gπ2〉)

と書かれてあります。「i.e.」という書き方を私はこの本で知ったと思うのですが、たぶん、「すなわち」「言い換えれば…」みたいなことなんだろうと認識しています。は合成の記号のつもりです。ちょっと大きいけど。

 図の中にπ1とπ2が2つ出てきていていいんだろうか…?という素朴な疑問がわきますが、ひとまずおいといて「巾」に進みます。は白抜き、B^Aは小さなAがBの右肩につく表記、[g]はgの上に^がついたような記号を表しています(細かいことを言えばgのフォントもちがいます)。なお、斜体は省略しています。

定義(巾)===============================

 において下記の(1),(2)が成立するとき,は「巾」(exponentiation)をもつ,と呼ばれる.
 (1) の任意の二つの対象には,その積が存在する.
 (2) の任意の対象A,Bについて,次の条件[#]をみたす対象B^Aと矢ev:B^A×A→Bが存在する.
 条件[#]:任意の対象Cと矢g:C×A→Bについて,下図を可換とする矢[g]:C→B^Aが一意的に存在する(i.e. ev([g]×idA)=gをみたす[g]が一意的に存在する.

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 下図というのはこんな感じの図です↓

  

 矢evは「値づけ」(evaluation)と呼ばれ、[g]はgの「転置」(transpose)と呼ばれるそうです.

 上の図に射の積の定義を加えた図を描くと、次のようになります。
 

  

 ということは、合体するとこういうことなのでしょうか↓ 

  

 ところで、積と巾には次のような定理が成り立つらしいのです。本文をもとに自分で図に説明を加えてあります。

  

 なるほど、それでgと[g]が出てきているのですか。定義でいきなり[g]が出てきたときには何事かと思いました。証明をとばして先に進むと、この定理の関係は、さらに次のようにも表わされるとのこと。

  

 ふむふむ。そしてこのあと、半順序集合の圏と相対擬補元の話が出てくるのでした。
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