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数学と数学教育
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「ジョンは歩く」が (λxet.xet(je))walk’et に翻訳される世界

 いま手にしているテキストは、清水義夫『圏論による論理学 高階論理とトポス』です。自然言語の断片が略式モンターギュ文法で形式化される様子についてみていこうとしています。なお、斜体指定にしたほうがよいと思われるところがたくさんあるのですが、ここでは省略させていただいております。

 "John walks."を構文解析すると、自動詞 walk(s)に固有名 John が作用したことによって生成される文だとみなされること、John と walk にそれぞれ λ-h.o.l.の項を対応させると、John のほうは関数になることについて前回みていきました。実際にはこんな感じです↓

    自動詞 walk → walk´et
    固有名 John → λxet.xet(je

 自動詞 walk に対応している walk´et は、同じ walk という字母だけど、あくまでも λ-h.o.l.の記号なんだよということで ´がつけられています。ちなみに本では walk のフォントも変えてあるようです。小さい et は et タイプというものを示しているようです。

 タイプとは何かというと、内容的には「高階論理にかかわる意味世界の各領域の指標」とのこと。e タイプは個体 entity を要素とする個体領域の指標 e で、t タイプは真理値 truth value を要素とする真理値領域の指標 t です。

 タイプの定義から、α、βが各々タイプであるとき、<α、β>はタイプとなり、これはαβと略記してよいという省略法があるので、et は<e,t>の略記なのだと思います。

 <e,t>タイプの項についてはp.21に補足があり、これは一階の述語論理での述語に相当するものらしいです。 たとえば「人間」という述語は、個体を要素とする集合の部分集合{x|xは人間である}(=Hとする)に対応しているけれど、一方で真、偽を要素とする集合が存在する場合、この部分集合Hには、x∈H のとき h(x)=真、そうじゃないとき(記号が出せないので言葉で…)h(x)=偽であるような関数hであり、つまりは<e,t>タイプの項だ、と。walk には一階の述語論理のいわゆる述語が対応するから、et タイプということになるらしいです。

 次に John ですが、何しろ一個体なので e タイプの領域の項 je が対応しそうなものですが、構文解析でみたように、John は walk(s)に文を対応させる作用としての機能をもっていて、文が t タイプなので、et タイプの項を入力とし、t タイプの項を出力とする関数になる…ということのようです。

 以上のことをふまえて文全体の翻訳を考えると、自然言語がAB(BがAに作用してABとなる)だとしたら、λ-h.o.l. の項結合は対応している項をそのまま写して A´B´とすればいいらしいので、John walks は

     (λxet.xet(je))walk´et

となります。なんだか宇宙語みたいです。ブログのタイトルでは小文字指定ができないのでそのまま示しました。あと、考えてみれば「ジョンは歩く」は日本語なので、もう一段階、別の翻訳があることになるでしょうか。

 こんなふうに λ-h.o.l.の項に翻訳されると、λ-h.o.l.の論理としての諸規則が適用できるので、walk´et(je)と整理されます。

 本を参考にしていますが、自分の理解のもとに書いているので、勘違い等に気づいたときは、その都度、訂正させていただきます。
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