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数学と数学教育
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『圏論の歩き方』第3章/図形的で楽しいタングルの圏

 あいだがあいてしまいました。『圏論の歩き方』「第3章 タングルの圏」に進みます。図形的で楽しいです。

 まずは絡み目について。絡み目とは「いくつかの(向きづけられた)円周S^1を3次元ユークリッド空間R^3にうめこんだ像」のことなんだそうです(←右肩につく小さな数字を「^」で表しています)。1つのS^1からなる絡み目は結び目と呼ばれることもあるとのこと。

 図を見ていると模型がつくりたくなってしまいます。

 というわけで、自宅にあったモールで作ってみました↓

 

 かわいいけど、へたくそ〜〜(^_^;

 右端の絡み目は面白くて、緑・ピンク・水色のどの2つも絡んでいないのに、ばらばらにならないのです(緑はピンクの上にあり、ピンクは水色の上にあり、水色は緑の上にある)。この絡み目をボロミアン絡み目というのだそう。

 ちなみに、どの nー1 成分も絡んでいない n成分の絡み目を、ブルミアン絡み目というそうで、ボロミアン絡み目は3成分のブルニアン絡み目ということになります。

 って、先にオプショナル・ツアーの話題に触れてしまいましたが、タングルの圏に入る前に、まずはイソトピック(isotopic)と不変量をおさえておかなければならないのです。

 「ひもが自己交差しないように連続的に変形して移りあう絡み目」を「互いにイソトピックである」といい、不変量というのは、絡み目全体からなる集合からある集合への写像
    f:{絡み目}→I
で、互いにイソトピックな絡み目LL´に対してfL)=fL´)となるようなもののことだそうです。

 一応、上記画像の赤い絡み目とイソトピックな絡み目の模型を作ることは作ったのですが、へたくそすぎて撮影・掲載に耐えない(そして先は長い)ので、割愛して先に進みたいと思います。

 不変量の例としては、まず、連結成分の数(S^1の数)が示されています。たとえば、上記画像の右端と左端をあわせた絡み目は成分の数が4で、右端だけなら3なので、不変量の値が違うため、これらの絡み目はイソトピックではないと言える、と。

 つまり、不変量というのは、絡み目を連続的に変形しても「不変」な「量」というわけです。

 このほかジョーンズ多項式という不変量も出てくるのですが、「なにそれー!」と思うのと同時に、なんだかとっても便利そうですよ。たとえば、上記画像の黄色い絡み目の場合は1、中央の赤い絡み目の場合は tt^3−t^4 となり、一致しないことから、赤い絡み目はどう頑張ってもほどけない(黄色とイソトピックではない)ことが示せる、と。

 黄色と赤の絡み目は違うものだから、その違いを表す式はありそうだ、あっても不思議はないとは思うものの、実際にあるときくと、「よく見つけたな〜!」と思うことであります。ジョーンズさんはこのお仕事でフィールズ賞を受賞したとか。

 そしていよいよタングルです。タングルというのは、いくつかの円周^1といくつかの区間[0,1]を立方体[0,1]^3にうめこんだ像で、[0,1]の端点が立方体の上下の線分[0,1]×{1/2}×{0,1}上に移されるようなもののことだそうです。って文章で書くとなんのことやらですが、つまりはこういうものです(いまは上下の黒い矢印は無視してくださいませ)↓

   

 もちろん本ではモノクロなのですがせっかくなので色をつけてみました。タングルの圏においては、このタングルが射になります。対象は何かというと、上図の黒い矢印で表したような端点の向き。上図の場合、((↑,↓,↑),(↓,↑,↑)−タングルということになります。ちなみにイソトピックなタングルは同一視します。

 なお、絡み目の場合は端点がないので、0に/を重ねた空集合を示すような記号を使って(ここではファイΦで代用)、(Φ,Φ)−タングルと表すようです。

 2つのタングルの下の端点と上の端点が同じ↑と↓の列だったら、つなげることができるので(そして1つの立方体へ押し込むことができるので)、これが合成になります。恒等射は、↑と↓をまっすぐなひもでつなげた自明なタングル。逆に、1つのタングルは横に切断して、別のタングルたちの合成として表すこともできます。

 というわけで、タングルの圏ができました。雰囲気としてはアミダの圏に似ているでしょうか。檜山正幸さんもアミダの話を組みひも(ブレイド)の話につなげておられるし…↓
http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama/20060905/1157419884

 ほんでもって、このあたりまでなら楽しい楽しい〜♪ですむのですが、ここから関手の話に入っていくのですよぉー。

(つづく)

※ 読み間違いや勘違いに気づいたときには、そのつど訂正させていただきます。
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