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森田真生『数学する身体』の第一印象/まだまだこんなものじゃないと思ってる

 森田真生さんの(本としての)デビュー作が出版されましたね。

 森田真生『数学する身体』(新潮社/2015年)

 『考える人』『新潮』『みちくさ』に掲載されたものを大幅に加筆修正してまとめた1冊のようです。私は森田真生ファンなので、逆に、あまり浮き足立たないようにして感想を書いてみたいと思います。森田ファンがべたぼめしたら、読んでいるほうは鼻白むと思うので。というか、森田さんがこのくらいじゃベタぼめできないくらいは欲深いです私。

 「ちょうどよいデビュー作かもなぁ」と思いながら読みました。森田さんの活動の場が広がってきて、森田さんを知っている人たちが増えてきて(←私の勝手な推測)、そんななか多くの人に読んでもらうために、ちょうどよいのではないか、と 。数学の歴史もわかりやすくまとめてあるし。

 ただ、数学に興味をもっている人たちや、森田真生って何をやってくれるんだ?と気になりつつもやや斜に構えている人(がいるかどうかはわからないけれど)に対しては、まだ弱いと感じました。私はいつか、数学にある程度興味をもっている人をハッとさせる文章、ぐわーんとさせる文章、読んでいる途中か読んだあとで、しばらく考え込ませる本を、森田さんに書いてほしいです。

 私は一度だけ森田さんのナマの語りを聞いたことがあります。web上だけでその人となりに接していたときにはさわやかな若者だと思っていたのですが、ナマの森田さんは、思っていたよりはギトーッ!っとしたエネルギーを身体に湛えている人だと感じました。あの濃さがもっと絡んだ、さらさらと読めはしない森田さんの文章を、いつか読みたいな。何しろ私はこの本を読んで、特にショックは受けなかったので。

 とはいえ、もちろん面白かったです。岡潔はともかく、これまで「森田さんにとってどうしてチューリングなんだろう?」という思いが無きにしもあらずだったのが、最後のところで「なるほどねぇ〜」と思いました。あともうひとつ思ったことは、私は「自分の心」にまみれているということ。「情緒」ってそういうことだったのか、ということ。あの日、おじちゃんは、そこまで話してくれていたのだろうか?(←このエントリ、少し書き換えております)

 ちなみに、twitterだったかどこでだったか、この本には身体を感じさせる(?)仕掛けがある的な話を読んだ記憶があって、届いたときには「あんまり好きな色合いの装丁じゃないな…」としか思わなかったのですが、右手の指先が少し荒れてたせいか、後半を読んでいたら表紙の紙のざらざらを「ふっ」と感じて、そういうことあまりないので、ちょっとだけ「あれ?」っと思いました。帯がしっかりしていて、はずす必要がないのはいい感じです。あと、「少し重いかな?」とは思いました。実際にどのようなねらいの仕掛けだったかはわかりませんが、この内容でそのような「仕掛け」はまだ早いというか、もったいないようにも思いました。でも、デビュー作だから、こだわるところはこだわりたかったでしょうか。

 何かにつけえらそうな書き方になってしまうのは、森田ファンだからです。まだ辛口の感想を見つけていませんが、「みんな、このくらいでいいのー!?」と私は思ってます。でも、辛すぎる意見を見つけたらとたんに擁護すると思う。

 なにしろこれは第一印象ですから、読み直すうちにガラッと印象が変わるかもしれません。そうなるとこのエントリは投稿しなくなると思うので、はやく投稿しちゃいます。もし勘違いや私がぜんぜんわかっていなかったことに気づいたら、あとで「ごめんなさい!」と補足することにして。……って、斜に構えているのは、他ならぬ私だったりしてー!?!?

(つづく)

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