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数学と数学教育
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√2を定義する2つの方法(切断と極限、ブラウワーの自由選出)

 田辺元「数理の歴史主義展開―数学基礎論覚書―」を読もうとしているところですが、まだ2節めを読み始めたばかりなのに、いきなり林晋さんの次の論文にもどっています。(←せっかち)

田辺元の「数理哲学」 http://www.shayashi.jp/sisou201201a.pdf

 この論文の9ページめ(p.205)で示されている「√2の定義」の話を、ちょっとのぞいておきます。林さんは、現代数学で無理数を定義するとき主に2つの方法がとられるとして、√2を例にとり、切断の方法と極限の方法を示しています。

 切断の方法というのは、√2より小さい有理数の集合と、√2より大きい有理数の集合の対とで√2が定義されたとする方法。ただし、この言い回しだと定義文のなかに定義されるべき√2が入ってしまっているので、別の言葉にする必要があるのですが、とにもかくにも連続体を切った切り口により√2を定義する考え方ということになります。

 もう一方の極限の方法というのは、√2を小数展開したときの1.41421を、1、1.4、1.41、1.414、…の数列とみなすことをもとにした定義のしかたで、ブラウワーの連続体論はこの極限の方法をとっているようです。さらに、そこには「自由選出」という特徴がある、と。

 林さんはここで「自由選“出”」という言葉を使われていますが、あとの部分で「自由選出列」という言葉も出てきているので、過去にこのブログで「自由選“列”」と称したものと同じ概念だろうと現段階では理解しています。

 ブラウワーの「自由選列」については、以下のようなエントリを書いています。


ブラウアーの「自由選列」に関する論文3つ
http://math.artet.net/?eid=1421720

ブラウアーの「選列」(1)/自然数で列をつくる
http://math.artet.net/?eid=1421724

ブラウアーの「選列」(2)/spread
http://math.artet.net/?eid=1421725

ブラウアーの「選列」(3)/コイントスと連続性
http://math.artet.net/?eid=1421726


 林晋さんの論文では、このあと田辺元の「変化」(極限より切断のほうが優れていると意見を変えていること)について触れておられ、これはこれで興味深いのですが、ひとまずがーっととばして15ページめ(p.211)に進むと、位相意味論を使えばブラウワーの自由選出列のモデルは簡単に作れる、ということが書かれています。

 位相意味論という用語はあまり耳にしないので、一応検索してみたのですが、どんぴしゃりのものがばんばんひっかかってくるほど一般的な言葉ではないようです。ただし、林さんの論文の上記のページに「トポス」の文字が見られますので、そのあたりに関連した話なんだろうということは、検索結果からも感じられます。

 というか、はやくそこにいきたいわけなのでございます。(←せっかち)

 予感を実感にするために。
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