TETRA'S MATH

数学と数学教育
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芦田宏直×本間正人 トークセッション『ソーシャルメディア時代に求められる人材像とは?』の動画を観て(5)/質疑応答(その1)

 芦田宏直さんと本間正人さんのトークセッションの感想を書いています。

 芦田宏直×本間正人 トークセッション
 『ソーシャルメディア時代に求められる人材像とは?』
 (芳林堂高田馬場店)

 http://www.ashida.info/blog/2013/11/post_427.html

 上記のページからもいけますが、YouTubeはこちらです。↓
 https://www.youtube.com/watch?v=k4X9uJCeUws



 開始1時間13分後からは、質疑応答の時間です。

 まずおひとりめ。ちょっと聴こえにくい部分があったのですが、ざっくり言うと、キャリア教育(のような小手先だけのこと?)だけをおこなって社会に出て行くと磨耗してしまうのではないか、という質問だと私は理解しました。

 これに対する本間さんの返答は、現状で、キャリア教育と題されて小手先だけに終わっているプログラムや講師が存在しているのは残念ながら否定しがたいことだけれど、いま学んでいることが社会に出たときにどんなふうに役に立つのかを教わるかどうかで、学んだことのしみこみ方が違うのではないか、ということについて主張されます。

 たとえば三角関数を学ぶときも、GPSのアプリケーションに使われていることや、木造住宅ひとつ建てるにも三角関数は構造計算の基礎の基礎になっている、そういうことを教わるかどうかで、学んだことのしみこみ方が違ってくる。それはけして小手先のことではなく、根幹のことだ、と。

 ここで私の意見を書いておくと、三角関数がどんな場面でどんなふうに役に立っているのかを示すことは、学習するうえでとても有効だと思います。それは、GPSのアプリケーションを作るような仕事に就く人でなくとも、大工さんになりたいと思っている人ではなくても、知っておいて損はないと思う。

 また、場合によっては、その歴史を伝えることも、学習を深めるのに役立つのではないでしょうか。三角関数はGPSのアプリケーションや住宅の構造計算の“ために”編み出されたのか、そうではないとしたら、いったいどのような経緯で三角関数というものができて、それが利用されるようになり、私たちはそれを学ぶことになっているのか、というところまでふみこむことができると、面白いですよね。高校ともなると、このあたりは教師の「数学観」にかなり左右されるかもしれませんが。

 三角関数の計算だけができれば満足な生徒、グラフを描くことが楽しい生徒だっているでしょう。でも、そういう生徒も、それが何に役立つのか、どのような歴史をもっているかを知ることは、退屈ではないのではないでしょうか。(ただし、過去、家庭教師で違うジャンルでこういうことを″小手先”でやって、生徒さんから「あ、そういうのいいから」と言われ、「(だよねぇ)」と恥ずかしい経験をしたこともあります、はい。)

 で、思うにそういう授業は、芦田さんのおっしゃるような長〜い時間をかけた継続的で体系的な学校教育のなかでもできますよね? していけないということはないですよね? さらに、こういう授業は何も「将来の自分の職業に役立つかもしれない」「これを知っていないと将来、希望する職業に就けないかもしれない」という発想でやる必要はないと思うのです。そういう発想で行うと、「自分はGPSのアプリケーションに関わる仕事はしないし、大工さんにもならない」と思う生徒にとってはヒトゴトになってしまう。ヒトゴトになると、ヒマになる。

 ただ単にのほほんと生きていても、私たちのまわりでは算数・数学がいっぱい存在している、無縁ではいない、ということを知っておいてわるいことはないと思うのです。

 が。

 「牛乳の三角パックはこれこれこういった空間充填形なので荷詰めしやすいんですよ〜」といったようなテキトーな扱い方で社会と数学をつなげるのはやめていただきたいと思っています。それは数学に対しても実際に仕事をする人に対しても失礼だから。ちょうど先日、高校の先生の数実研のレポートを紹介させていただいたので、そちらをリンクしますね!→三角パックの「捩れた話」+爪楊枝の水戸芸術館タワー/高校の先生の数実研レポート

 しかし、このレベルで授業に社会をもちこむことは芦田さんにとってもアリだとしても、それに議論や体験といったアウトプット的なものが入るとアウトになるでしょうか。

 と書いていて思い出したのが、今年2月にTwitter経由で知った(たぶんメタメタさんのブログ経由)、中学生のレポート「メロスの全力を検証」。これ面白いですよねぇ。パソコンを使わずに手書きで仕上げられているのがまた味わいがあっていい。

 理数教育研究所のこちらのページから見ることができます。↓
http://www.rimse.or.jp/research/past/winner1st.html
(わお、これって塩野直道賞という名前がついてるんですね、知らんかった)

 こういうアウトプットをメインにする、あるいは全員に課すると、また妙なことになってしまうかもしれないけれど、やってはいけないということもないと思うのです。ひとつの機会として。このレベルのアウトプットには、それなりの時間がかかるはず。

 あらら、質疑応答でひとつにまとめて一連のエントリを締めくくろうと思っていたのに、けっこう長くなりました。というわけでここでまず一区切りです。

(以上は、開始後1時間13分後〜15分15秒後くらいの感想です。←2分強やん!?)

(つづく)

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