TETRA'S MATH

数学と数学教育
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「割合」という言葉を手がかりに考える、学習指導要領解説と数教協

 小学校学習指導要領解説[算数編](文部科学省著/東洋館出版社/2008年8月)を読んでいます。

 なお、「まえがき」などはありませんが、同じ内容のものを文科省の次のページから読むことができます。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syokaisetsu/



 そんなこんなで、割合の三用法2つ前のエントリで3公式としていましたが、三用法にかえました)と私が呼んでいるものが、百分率の学習ではなく小数の乗法、除法の意味のなかで出てきていることを知ったとき、私はまたまたある妄想をしてしまいました。

 ちょうどtakehikomさんが、

  わさっき[OoM] 学習指導要領解説を批判的に読む
  http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20131224

において、
もし「割合は履修済み」だったら,「それに対する割合を小数で表すことを経験してきている」ではなく「それに対する割合を小数で表すことを学習してきている」と書かれるはずです.
と書いておられますが、ここでいうところの「経験」が学校の学習のなかでの「経験」ではなく、子どもたちの個人的な「経験」をさしているのだとしたら、そんなことを学習指導要領解説に言われても困る…という感じがします。むしろ、これまでの学習のなかですでに経験している、と考えたほうが自然なのではないでしょうか。

 もし細かい表現にこだわるとしたら、「学習してきている」とは書けなかったのだろう、と私なら解釈します。実際、単元としての「割合」は学習していないのだから。文科省がそこまで考えて書いているかどうかはわかりませんが。

 以前、学習指導要領で「割合」という言葉は「単位量あたりの大きさ」すなわち異種の二つの量の割合にしか使われていなくてびっくりしたという話を書きました。(

 しかし、たとえば娘が使っている学校図書の教科書には第5学年に「割合とグラフ」という単元があり、百分率よりもまえに「割合」を学びます()。それを考えると、学習指導要領で「割合について理解できるようにする」という文言が入っていてもよさそうですが、それはできないのだろうとあらためて思いました(あくまでも私の妄想です)。

 つまり、学習指導要領では「割合」という言葉を算数用語として扱えない。あくまで一般名詞として使わなければいけない。第5学年でいうところの「割合」は、同種の二量の関係をとらえるひとつの方法のことですが、それを「同種の二量の割合」と書くと同語反復になるし、「異種の二つの量の割合」という言い回しが矛盾してしまうことになる。

 そして、この一般名詞としての「割合」は、大きなくくりで考えると、事実上、小学校2年生のときから出てきていると私は思っています。つまり、子どもたちは2年生のときから割合を「経験させられている」あるいは「経験させられようとしている」。ただし、そのことは現場では、ほとんど意識されていないのだろうと思います。

 ということについて考えるために、かつて、既測量を「1」とおくことは困難か?/「倍」としてのかけ算というエントリを書いたのでした。

 数学教育協議会が「1あたり量」にこだわったのは、累加とくらべてかけ算を小数、分数に拡張することが容易であることに加え、それが「異種の二量の割合」すなわち数教協風に言えば「度」につながり、内包量の代表的なものだったからだと私は理解しています。>小島寛之が語る、遠山啓の「量の理論」

 したがって、帰一法に重きをおくことにもなるのでしょう>比例の問題の答えを出すための3つの方法とその意味。ちなみに、かつて数教協は、除法を「度の第一用法」で一本化することまで考えていました()。

 私が不思議なのは、それなのに遠山啓は、比例の導入で水槽を使おうとしたことです(比例定数が「度」にならない)。数教協のこだわりでいけば、比例は中学校方式で定義しなければ意味がないのに、そこは主張されなかった。かくして、こういうことが起こります。>そうなると話は比例の定義・導入に集約されていく

 一方、学習指導要領解説を読んでみると。そうかもしれないとは思っていましたが、やはりこれら2つの「割合」(同種の二量、異種の二量)はほとんど意識されていないようです。そのことが、特に二重数直線でわかります。

 なお、二重数直線というのは2本の数直線を並べて描いたもので、他にも呼び方があるようですが、私は二重数直線と呼んでいます。二重数直線は学習指導要領解説のなかで3回出てきます。うち2回は小数の乗法について、もう1回は分数の乗法について。そのことを、もう少し詳しくみていきたいと思います。

(つづく)
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