TETRA'S MATH

数学と数学教育
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学習指導要領の解説に、かけ算の順序固定の発想は含まれているかもしれない(そう解釈できる余地がある)ことについて

 小学校学習指導要領解説[算数編](文部科学省著/東洋館出版社/2008年8月)を読んでいます。

 なお、「まえがき」などはありませんが、同じ内容のものを文科省の次のページから読むことができます。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syokaisetsu/

 引用部分のページ数は、前者について「冊子p.○○」、後者について「PDFファイルp.○○」と示します。



 1つ前のエントリで、3年生の内容になると、かけ算の順序固定の発想につながりそうな記述が出てくると書きました。今回はそのことについて見ていきます。

 まず、ぼんやりした形で現れている説明から。「乗法の計算が確実にでき,用いること」のなかの記述です。
 「内容の取り扱い」の(4)では,「乗数又は被乗数が0の場合の計算についても取り扱うものとする」と示している。例えば,的当てで得点を競うゲームなどで,0点のところに3回入れば,0×3と表すことができる。3点のところに一度も入らなければ,3×0と表すことができる。
(冊子p.93/算数(2)PDFファイルp.107)

 もし、この記述の直前に、「(点数)×(回数)と表すとしたら」という文言が入っていたら、むしろ順序固定を否定する方向になりますが、そういう注意書きはないので、「(点数)×(回数)」という順序をあたりまえのこととして語っているように読めます。

 さらに、除法の説明においては、順序固定の意味あいがより強くあらわれていると感じる部分がありました。除法が用いられる具体的な場合は大別すると2つあるとして、包含除と等分除を示したあと、項目をあらためて「除法と乗法,減法の関係」のなかで、次のような説明があるのです。
 除法は,乗法の逆算ともみられる。そこで,乗法と関連させて,被乗数,乗数のいずれを求める場合に当たっているかを明確にすることも大切である。包含除は3×□=12の□を求める場合であり,等分除は,□×3=12の□を求める場合である。また,実際に分ける場合でも,包含除も等分除と同じ仕方で分けることができることなどにも着目できるようにしていくことが大切である。そのようにして,どちらも同じ式で表すことができることが分かるようにする。
(冊子p.96/算数(2)PDFファイルp.110)

 この説明は、かけ算には順序があることを前提としている、と解釈してもいいのではないでしょうか。言葉ではなく、わざわざ式を使って包含除と等分除を説明しているので。もし、文部科学省にそのつもりがなかったとしても、教科書会社や教師がそう読み取る可能性は十分にあるように感じました。

 なお、包含除と等分除については、この少し前で、「ある数量がもう一方の数量の幾つ分であるかを求める」場合が包含除、「ある数量を等分したときにできる一つ分の大きさを求める」場合が等分除と説明しています。「1あたり量×いくつ分」と「倍」の発想を微妙にミックスしてあるのが私にとっては印象的でした。考えようによっては、「倍」の発想により近い、とみなすこともできそうです。

 ちなみに、第3学年の〔D数量関係〕のところで、15÷3の式から、「みかんが15個あります。3個ずつ分けると何人に分けられますか。」というような問題場面を見いだすことができるという例が示してあり、「みかんが15個あります。3人で分けると1人何個ずつになりますか。」という例は出されていないので、こういうときに出される例はあくまでも一例だ、ということは言えそうです。

(つづく)
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