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数学と数学教育
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x^n−1の形の式の因数分解と、1の原始n乗根

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。m(_ _)m



 1つ前のエントリで、“すでに「第10章 ガロア理論」に突入しております、折にふれもどっていきます”と書きましたが、さっそく第4章にもどります。

 今回考えたいのは、1の原始n乗根。1の原始n乗根というのは、n乗したときに“初めて”1になる数であり、たとえば2乗して1になる数は、1と−1がありますが、1は2乗しなくてもそのまま1なので、原始2乗根とはいえません。−1のほうは2乗して初めて1になるので、原始2乗根です。

 1の3乗根はというと、x^3=1の解、つまりはx^3−1=0の解として考えることができます。まず、x=1があてはまることがすぐにわかりますが、1は3乗しなくてもそのまま1なので、やっぱり原始3乗根ではありません。じゃあどうやって原始3乗根を求めればいいのかというと、左辺がx−1を因数にもつことから、(x−1)(x^2+x+1)=0 と因数分解できるので、x^2+x+1=0 を解いて求めることができます。出てくる2つの解は複素数であり(x=(−1±√3 i)/2)、実数の範囲を超えた話になっています。なお、どちらの数も3乗して初めて1になるので、どちらの数も1の原始3乗根です。

 さらに1の原始4乗根は、x^4=1、つまりx^4−1=0の解で、(x−1)(x+1)(x−i)(x+i)=0と左辺が因数分解できることから、x=1、−1、i、−iの4つありますが、1はそのまま1だし、−1は4乗するまえに2乗で1になってしまうのでだめで、原始4乗根はiと−iです。

 こういうふうに、何乗かして初めて1になる数は、なんらかの方程式の解として考えることができます。それは、多項式の根として考えることができる、ということでもあります。x^2+x+1=0の解であれば、x^2+x+1の根というふうに。そのような多項式をΦk(x)と表し、kのところに何乗根にあたる数値を入れると、

 x^2−1=(x−1)(x+1)から、Φ2(x)=x+1
 x^3−1=(x−1)(x^2+x+1)から、Φ3(x)=x^2+x+1
 x^4−1=(x−1)(x+1)(x^2+1)から、Φ4(x)=x^2+1

というような感じで求めることができそうな気がします。ちなみに、Φ1(x)=x−1です。このような1の原始n乗根が、ラグランジュ・リゾルベントで出てきたζnというわけです。

 ところで、原始4乗根は、2乗すると−1になりますが、これは原始2乗根に等しいです。すなわち、ζ4^2=ζ2という関係が成り立ちます。そのことについてもう少しみていくために、原始12乗根を考えます(返す返すも村木先生はうまい)。

 1の12乗根を求めるためには、x^12−1を因数分解しなくてはいけないわけですが、1と−1とiと−iを根にもつことから、次のところまではすぐにいきつけます。

 x^12−1=(x−1)(x+1)(x−i)(x+i)(・・・・・・)

 最初の4つのかっこの式は、x^4−1の因数分解と同じです。で、続く(・・・・・・)のところの式は、x^12−1をx^4−1でわることで、x^8+x^4+1 と求められますが、このx^8+x^4+1の根を直接求めようとするとき、たとえばX=x^4とおくと、X^2+X+1となり、原始3乗根を求める式と同じなので、さらにその4乗根ということになり、考えただけでもめんどくさそうです。

 そこで方向性を変えたい。『数学ガール/ガロア理論』では、複素平面上でド・モアブルの定理を使って視覚的にとてもわかりやすく話が展開していくところをがっさり割愛して先に進み、12乗して1になる数には、12乗して初めて1になる数のほか、6乗して初めて1になる数、4乗して初めて1になる数、3乗して初めて1になる数、2乗して初めて1になる数、1そのものが含まれているはずだ、ということからながめてみたいのです。なぜなら、6乗して1になるのなら12乗しても1になるはずであり、4乗して1になるのなら12乗しても1になるはずなので。

 つまり、x^12−1=0は、ζ6、ζ4、ζ3、ζ2、ζ1を解としてもつはずです。みんな12乗しても1になるはずだから。ということは、x^12−1は、Φ6(x)、Φ4(x)、Φ3(x)、Φ2(x)、Φ1(x)を因数としてもつはず。また、Φ5(x)やΦ7(x)はもっていないはず。

 このうち、Φ1(x)とΦ2(x)とΦ3(x)とΦ4(x)はわかっているので、残るΦ6(x)について調べると、

 x^6−1=(x^3+1)(x^3−1)
    =(x+1)(x^2−x+1) (x−1)(x^2+x+1)
    =Φ2(x)(x^2−x+1) Φ1(x)Φ3(x)
    =Φ1(x)Φ2(x)Φ3(x)(x^2−x+1)

となり、すなわちΦ6(x)=x^2−x+1となることがわかります。この式の根のなかには、ζ6のほか、ζ6^5も含まれています。なぜならば、ζ6の5乗は、そのままではもちろん1になれず、2乗しても3乗しても4乗しても5乗しても1になることはできず、結局6乗するしか1になる道がないので。

 そのほかの数たち、たとえばζ6^3は、これを2乗したときにζ6^6=1になれるので、原始6乗根ではありません。ちなみに、2乗したときに初めて1になる数といえば−1であり、すなわち、ζ6^3=ζ2^1ということになります。まるで分数の約分みたいなことができる。

 ということは、結局、

 x^12−1=Φ1(x)Φ2(x)Φ3(x)Φ4(x)Φ6(x)Φ12(x)

となることがわかり、Φ12(x)=x^4−x^2+1で、この式の根は、ζ12の1乗、5乗、7乗、11乗になるというわけです。

 以上のことを、複素平面の単位円上で考えると、とてもわかりやすくて楽しいです。自分で図を描きおこすかわりに、くろべえさんのページをリンクさせていただきま〜す。m(__)m
http://kurobe3463.blogspot.jp/2007/05/ figure-of-radical-root-of-1.html

 ちなみに、『数学ガール/ガロア理論』とは違って、三角関数版の式を示しておらず、円分多項式という言葉も出しておらず、話も一部逆転した形になっていて、何かと不正確・不十分なことになっていると思いますが、原始n乗根の雰囲気をつかむためのエントリとして書いてみました。

(つづく)
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