TETRA'S MATH

数学と数学教育
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正規部分群の連鎖

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。m(_ _)m



 さて、3次の対称群S3={[123],[231],[312],[213],[321],[132]}の部分群C3={[123],[231],[312]}による剰余類を考えるとき、S3/C3={C3,[213]★C3}となることがわかりました。このとき、C3の要素数は3個で、[213]★C3の要素数も3個になっています。

 一方、S3/C2aを考えると、C2a={[123],[213]}の要素数は2個で、S3/C2a={C2a,[231]★C2a,[312]★C2a}に属する3つの集合の要素数も、それぞれ2個ずつです。

 これらは偶然ではなく、群Gの部分群Hに対し、剰余類全体の集合G/Hに属する剰余類の要素数は、すべてHの要素数に等しくなるらしいのです。

 それを証明するためには、群Gの要素をgとしたとき、集合Hのどんな要素に対してもg★Hの要素がただひとつ対応し、逆に、集合g★Hのどんな要素に対しても、集合Hの要素がただ一つ対応することをいえばいい、ということになります(実際の証明は省略)。

 これはどういうことかいうと、Hの要素をhとしたとき、Hとg★Hの間には、「f:h→g★h」という全単射が存在するということです。お互いの集合のなかの要素がだぶったりあまったりすることなく、1つずつきれいに対応するということ。となれば、hが3個あればg★hも3個あるでしょうし、hが2個あればg★hも2個あることでしょう。

 そうなると、Gの要素数をHの要素数で割れば、剰余類の個数が得られることになります。C3の例でいえば、C3の要素数は3個だから、S3/C3に属する剰余類の要素数はみんな3個ずつであり、6個の要素を3個ずつに分けることから、剰余類全体の集合としての要素の個数は、6÷3=2(個)という具合に(いってみれば包含除!?^^)。つまり、C3と[213]★C3の2個です。

 C2aの場合も同様に考えると、C2aの要素数は2個だから、剰余類の要素数は2個ずつであり、6÷2=3より、S3/C2aの要素の個数は3個。→C2a,[231]★C2a,[312]★C2a

 すなわち、群Gの要素数を|G|、部分群Hの要素数を|H|、G/Hの要素数を|G/H|と表すと、|G|/|H|=|G/H|が成り立つというわけです。この定理にはあのラグランジュさんの名前がついているようです。→「ラグランジュの定理」

 ほんでもって、次は4次の対称群(「あみだくじ」でいえば縦棒4本の場合)について考えていきたいのですが、ここに本格的に時間をかけるか、ざっとながめて先に進むか迷った末、とりあえず今回は後者を選ぶことにしました(何しろ先が長いので)。

 なお、『数学ガール/ガロア理論』では、正規部分群の意味について、ケイリーグラフを使って視覚的に大変わかりやすく話が展開されていきます。

 ちなみにユーリは4次の対称群の図をたくさん描いて、最後はばっさり単純にしたらしいのですが、この図をどういう発想でまとめたのだろう…と興味津々の私。正規部分群がわからない状態で、あるいは他の知識がない状態でこの図を描こうとすると、かなり大変なのではなかろうか…と、手も足も出なかった私は感じました^^;。このあとみんなで長い時間をかけて正規部分群の連鎖の図を描いたとありますが、確かに長い時間がかかりそう。

 いまは結果だけを使わせてもらうと、4次の対称群S4には、4×3×2×1=24(個)の要素があるわけで、これを要素数12個の正規部分群A4で“割る”と、S4/A4の要素数は、24÷12=2(個)になります。S4を、大きく2つのかたまりにわけたような状態です。…(1)

 A4はA4でひとつの群なのだから、これにも正規部分群H4があり、H4の要素の個数は4個なので、A4/H4の要素数は、12÷4=3(個)となります。(1)でできた大きなかたまりの1つを、さらに3つのかたまりに分けるような感じです。…(2)

 そしてH4にも要素数が2個の正規部分群C2があり、H4/C2の要素数は、4÷2=2(個)となります。(2)でできた3つのかたまりのうちの1つを、さらに2個ずつに分けるような感じです。…(3)

 最後に、C2は単位元だけからなる単位群E4を正規部分群とするので、2÷1=2より、C4/E4の要素数は2個となります。(3)でできた2個のかたまりのうちの1つを、さらに2つに分けるような感じです。…(4)

 (4)まできたとき、かたまりのなかには1つの要素しかありません。

 S4は省略して、A4、H4、C2、E4を書き出すと、次のようになります。

 A4={[1234],[2143],[3412],[4321],
      [1342],[3124],[4213],[2431]
         [1423],[4132],[2314],[3241]}
 H4={[1234],[2143],[3412],[4321]}
 C2={[1234],[2143]}
 E4={[1234]}

(つづく)
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