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数学と数学教育
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群のなかに群がある

 結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。『数学ガール/ガロア理論』についてはネタばれ注意です。m(_ _)m



 というわけで、次は部分群について考えます。A、B、Cの3枚のカードを左から順に並べるときに、全部で6通りの並べ方(ABC、ACB、BAC、BCA、CAB、CBA)があるわけですが、カードを並べる場所に、左から順に[1][2][3]と番号をつけると、左端と中央を入れ替える並べ替えは、[2][1][3]と表せるし、左端から1枚とって右端にもってくるような並べ替えは、[2][3][1]と表せます。

 もし、ABCというカードの並びに、[2][1][3]と[2][3][1]を順に施したとすると、ABC-----[2][1][3]-----→BAC-----[2][3][1]-----→ACB というふうに、カードの並び方は変化します。ACBと並びかわったとき、最初の並び方ABCの中央と右端が入れ替わっているので、結局これは[1][3][2]という並べ替えだったということになります。したがって、並び替えを演算★ととらえれば、[2][1][3]★[2][3][1]=[1][3][2]となります。

 さて、1つ前のエントリで確認したように、{[1][2][3],[1][3][2],[2][1][3],[2][3][1],[3][1][2],[3][2][1]}という集合は群をなすわけですが、これにSymmetryのSを使ってS3という記号をつけ、このS3のなかの6つの元を組み合わせて(すなわち部分集合で)、別の群(すなわち部分群)がつくれないか?ということについて考えてみます。

 部分群も群なのだから、単位元が存在しなくてはいけません。したがって、どの部分群にも[1][2][3]が含まれていることになります。[1][2][3]は自分が自分の逆元だし、もちろん演算について閉じているし、結合法則も成り立つので、これ1つで群になれます。この単位元だけの部分群をE3と表すことにします。単位元はよくeで表されるのですが、ドイツ語のEinheit(単位)の頭文字だという話を別のところで読みました。

 次に、[1][2][3]のほか[2][1][3]を含むような部分群はないかと考えると、[2][1][3]は左端と中央を入れ替える並べ替えなので、もう1度施せばもとにもどるわけであり、やはり自分自身が逆元になっています。したがって、[1][2][3]と[2][1][3]の2つの元で演算を行えば、[1][2][3]か[2][1][3]に落ち着くので、演算について閉じていることになり、部分群{[1][2][3],[2][1][3]}ができます。どこか2枚を入れ替えるようなほかの並べ替えについても同じことが言えるので、同様に、部分群{[1][2][3],[1][3][2]}、{[1][2][3],[3][2][1]}ができます。

 では、集合{[1][2][3],[2][1][3],[1][3][2]}はどうなのかというと、[2][1][3]★[1][3][2]=[2][3][1]となり、これは集合に入っていないので、3つだけでは演算が閉じていません。さらに、[1][3][2]★[2][1][3]=[3][1][2]より、[3][1][2]も仲間に入れる必要があり、[3][1][2]★[1][3][2]=[3][2][1]も必要です。ということはみんな登場するので、これはS3ということになります。もちろん、S3自身もS3の部分群です。

 今度は、[1][2][3]に[2][3][1]を加えたような部分群をつくれないか考えてみると、[2][3][1]の逆元である[3][1][2]は必要で、[2][3][1]★[2][3][1]=[3][1][2]、[3][1][2]★[3][1][2]=[2][3][1]となって演算も閉じるので、部分群{[1][2][3],[2][3][1],[3][1][2]}ができます。この並べ替えは、2枚だけを入れ替えるということをせずに、左端からとって右端にまわしたり、右端をとって左端にまわしたりして、[1][2][3]をぐるぐるまわしていくような並べ替えと思うとイメージしやすいです。

 というわけで、S3でもE3でもない部分集合に、記号Cを使った名前をつけてあげると、対称群S3の部分集合は、次の6こあることがわかります。

S3={[1][2][3],[1][3][2],[2][1][3],
          [2][3][1],[3][1][2],[3][2][1]}
C3={[1][2][3],[2][3][1],[3][1][2]}
C2a={[1][2][3],[2][1][3]}
C2b={[1][2][3],[3][2][1]}
C2c={[1][2][3],[1][3][2]}
E3={[1][2][3]}

(つづく)
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