ラグランジュ・リゾルベント、いっそ一般式から
結城浩『数学ガール/ガロア理論』を参考書にしながら、ドゥルーズ『差異と反復』第四章のごく一部を読むための準備をしています。きょうは、『数学ガール/ガロア理論』については、ネタばれというより物語の流れを完全にくずしてしまう形になるので、本を読む予定のある方は、是非まずそちらを読んでくださいね。
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さて、そんなこんなでラグランジュ・リゾルベントです。いっそ一般式から考えていくことにします。知らない人にとっては、シンプルなのになんだかヤ〜な感じがする式ですが、とりあえずその形をながめたあと、ほぐしていきます。
〔n次方程式のラグランジュ・リゾルベント〕
ただし、
・k=1,2,3,…,n
・ζnは1の原始n乗根
・α1,α2,α3,…,αnはn次方程式の解
とする。
まずは左辺。Lが記号として使われているのは、おそらくラグランジュの頭文字なのでしょうね(推測)。その右下の小さなnは次数を表しているので、3次方程式の場合はL3となります。また、その右のkには1、2、3が入ることになるので、3次方程式のラグランジュ・リゾルベントは、L3(1)、L3(2)、L3(3)の3つあることがわかります。
次に右辺に目を移すと、シグマがあるので、何らかの和の形になることがわかります。ζはゼータですが、いわゆるゼータ関数とは関係ありません。ほんでもって、3次方程式の場合、ζ3、すなわち1の原始3乗根が出てくるわけですが、これは3乗することではじめて1になる数です。
3乗したときに1となる数、つまり1の3乗根(立方根)は、x^3=1 すなわち x^3−1=0 の解ですが、x=1も解のひとつなんだけど、そのまま1だし、2乗しても1になるので、原始3乗根とはいえません。原始3乗根は、x^3ー1=(x−1)(x^2+x+1) より、x^2+x+1=0 の解となり、複素数で出てきます。なお、この数にはω(オメガ)の記号があてられています。ちなみにω^2も原始根になります。
ということは、右辺はj=1,2,3に対するω^kj αjの和なので、3次方程式のラグランジュ・リゾルベントはこうなります。↓
さらに、ω^3=1となることから、次のように整理することができます。
「解の公式」というものは、解を係数(方程式にあらわれている数値)で表したものでしたが、ラグランジュ・リゾルベントは、方程式の解で表される式ということになりそうです。
(つづく)
この記事に対するコメント
「これまで出会ったなかでいちばんわかりやすい圏論の説明」
http://math.artet.net/?eid=1422236