TETRA'S MATH

数学と数学教育
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「単位」を使って数の計算を学ぶときの、「単位」の意味

 分数について考えています。



 さて、こどものちかく>教科書における分数のかけ算の導入で、学校図書の教科書のページを示しましたが、クレアさんいわく、自分だったらバケツに入ったクリームを長方形型のケーキ(の表面)に塗るという設定に変えるだろう、と。そうすると子どもの意欲がまったく変わってくるというお話でした。実際に塗る作業をしてもいいし、ワークシートに色を塗る形でもいいし。

 私は、日本の場合は、バケツのクリームとケーキでもなかなか難しいかも(身近ではないかも・・・)とお返事したのですが、素材はひとまずおいといて、長方形型のケーキを扱うときにセンチメートルなどの単位を使わない、というところを今回は考えたいと思います。

 私も、「量の算数」は実現できているか?において、教科書のペンキぬりの問題に出てくるペンキのかさは、1/3dLという単位つきである必要はなく、1/3缶や1/3ビンでもかまわないと書きました。それは、単位を使わないほうが好ましいという意味ではなくて、単位を使っても、単位を使わない場合と同じ難しさがあるのではないか、ということが言いたかったのでした。

 つまり、「1dLで4/5m^2ぬれるペンキが1/3dLあるとき、何m^2のへいをぬれるか」という問題は、「1缶でへいの4/5だけぬれるペンキが1/3缶あるとき、へいのどれだけをぬれるか」という問題と、本質的に変わりはないのではないか、と。

 野崎先生が『数学教室』(2013年7月号)において、新たな(架空の)単位を導入して分数のわり算を整数に読み替える方法を示しておられましたが()、確か「スーダ」という単位は「ダース」をひっくりかえしたもので(1/12)、それにサンダ(1/3)とヨンダ(1/4)を加えていたと記憶しています(今度ちゃんとメモしてきます)。こういうときに、結局は架空の単位でもかまわないわけだし、逆にいえばこの分数の問題の場合、架空の単位しか使えないのです。

 で、この機会に訂正したいことがあるのでその話を。以前、タイル図で乗法を理解しようとする意味というエントリのなかで、「リットル」と「デシリットル」という単位は小数の勉強に便利だと書きましたが、少なくとも学校図書の教科書を見るかぎり、小数の学習でdLという単位に依存しているという印象はほとんどありませんでした。「ちょうどいい量感」のおかげで重宝している面はありそうですが。3.2m^2のかべをぬるのに5.67Lのペンキは使わないでしょうから(5年上/p.70)。

 それにしても、リットルは便利ですねぇ、SI単位じゃないけれど(けれど・・・?)。1つの文字で“かさ”が表されるから。これがm^3しか使えなかったら、すんごくややこしい話になると思います。実際、リットルは日常生活でもよく使いますしね。

 ほんでもって、ちょうど先ほどのタイル図で乗法を理解しようとする意味のなかに、「1つ下の単位」を考える話が出てきます。このときの「単位」は、Lとかmとかとは別の意味の単位と考えたほうがよさそうですよね。野崎先生が『数学教室』で示された考え方は、これの分数版と言ってもいいのではないでしょうか。「2/3 ÷ 3/4」→「8/12 ÷ 9/12」→「8÷9」という発想は、「2サンダ÷3ヨンダ」→「8スーダ÷9スーダ」という考え方なので。サンダ(1/3)とヨンダ(1/4)で表される量に共通の単位をあたえるために、2つの分数に共通している1つ下の単位、すなわち1/12(スーダ)を導入したということなのだろう、と私は理解しました。

 この場合、最後の答えで出てくる8/9以外は、全部、(分数の形をしていない)ひとつの単位がつく「外延量」です。そして、最後で出てくる8/9は、単位がつかない「割合」ということになりそうです。この最後の分数にあえて単位をつけるとすると、どんな単位をつけたいいのでしょうね。問題設定を覚えていないのだけど、「〜こ分」か「〜倍」となるところかな? いずれにせよこの問題の場合、「かけ算」よりも前に「わり算」を学習することができそうです。

 いっそ、分数のかけ算・わり算を、文章問題から始めるのではなく、いきなり計算式を出して、この計算式があてはまる文章問題ってなんだろう?と考えてみるのも面白いかもしれません。あるいは、かけ算・わり算を分数に適用することは可能か?というところから考えてみたり。かけ算・わり算は分数ではできないという仮定を立ててみてもいいかも。そうすると、「あれ・・・?」と思う子が出てくるように思います。ただし、こういう学習は、習熟度別指導では厳しいというか、面白い展開にはならないかもしれませんね。

 ちなみに、きのうの娘の計算ドリルの宿題は、「分数で倍を表す」内容のものでした。分数で表される倍は、この段階で出てくるもよう。
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