TETRA'S MATH

数学と数学教育
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Twitter経由で知った、くるぶし(読書猿)さんの分数についてのページ/「等分する分数」と「比に基づく分数」

 分数について考えています。



 先日、Twitter経由で次のページのことを知りました。

読書猿Classic: between / beyond readers
分数の根っこについて私が語れる2,3の事項/数学となら、できること

 はじめてこのページを見たとき、とある言葉に「おー!」と思ったのですが、2回めにのぞいたときに見つけられなくて、勘違いかなぁと思いつつ読みなおしていたら、コメント欄に発見しました。「等分する分数(ケーキの分数)と、比に基づく分数(km/hの分数)」という言葉です。速さを「比に基づく分数」としているのが私にとっては新鮮だったのです。

 ちなみに、参考文献は『数と量の出会い 数学入門 (大人のための数学 1)』(志賀 浩二/2007)と、『数学の世界―それは現代人に何を意味するか (中公新書 317)』(森 毅、竹内 啓 他1973)とのこと。私は2冊とも読んだことがないので、どちらの本をどのくらい参考にされているのかは未確認です。

 くるぶしさんは、分数の源流として、ピタゴラスの比の値とエジプトの単位分数のことをあげておられます。ちなみにこのブログにおいては、前者に関連する話題としてとりあえず“比”はなぜ“理”なのか/有「理」数の意味というエントリを書いており、後者についてはカテゴリー:古代エジプトの分数で書いています。

 で、面白いなぁと思ったのは、ケーキの1/4のように等分する分数は、物事の量(とくに1より細かい量)を表すために使われ、速さのような比に基づく分数は、量と量の関係を表すためにあるとされているところ。さらに、等分する分数は「multipleの掛け算(同種の量を繰り返しても同種の量)」に対応し、比に基づく分数は「productの掛け算(異種の量同士の関係→新しい量)」に対応している、と。

 そして、小学校の算数でやる分数は等分による分数で、中学校以降の数学でやる分数は比の分数とその発展形である、ということも書いてあります。chiteki123さんという方のコメントに、この切り替えができない子が落ちこぼれる、という言葉もありますね。

 なるほど、こういう分類で考えると、これまで考えてきた様々な問題が、また別の形に見えてくるように思います。遠山啓が反対した「割合分数」は、2個のおだんごと5個のおだんごの関係としての2/5というような分数だったわけですが、なぜこれに反対したのかというと、2つの分離量の関係としての分数の計算は、「関係の関係」になって難しいという理由からでした(私の表現です)。これに対して2/5Lというようなひとつの量の抽象的表現としての分数が「量分数」ということになります。>割合分数論争を、「構造と素子」の視点で考える

 くるぶしさんの話の流れのなかで考えると、2/5Lは、1Lを5等分した2つ分のかさなので、まさにケーキと同じ等分による分数ですね。しかし、分数のかけ算を「1あたり量×いくつ分」で学ぼうとするとき、この「1あたり量」は、数教協的に言えば「内包量」となり、「量と量の関係としての分数」であるはずです。

 つまり、1dLで4/5m^2のへいをぬれるペンキがある()と言われたとき、一瞬の見た目では4/5m^2は「等分に基づく分数」ですが、実際には「(4/5)m^2/dL」という「量と量の関係としての分数」であるはず。先の分類でいけば、「比に基づく分数」。しかし、この関係としての量も、内包量という「1つの量」として扱おうとするのが数教協の方法論だろうと私は思っています。いやはや、難しいです。また、「2%の食塩水」というときの2%は、分数で表せば2/100ですが、これはどっちの分数だろう?という疑問もわいてきます。このあたりのことは比的率の議論にもつながっていくのでしょう。

 折りしも、先日、図書館で『数学教室』(国土社/2013年7月号)の「掛け算・割り算の常識/野崎昭弘)をのぞいたとき(宮本先生の授業記録も掲載されていましたね^_-)、野崎先生が、分数の架空の単位を導入して(サンダ・ヨンダ・スーダだったかな?)、通分して単位をそろえて分数のわり算を整数のわり算に読み替えるということをなさっていました。

 細かく覚えていないので適当な数値で再現しますが、2/3 ÷ 3/4 = 8/12 ÷ 9/12 =8÷9といったような発想です。おそらく「包含除」的発想だったと思います。次号では比による考え方を示すと書いておられたような気がするので、中身がわかったらまた続きを考えたいと思っています。
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