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数学と数学教育
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1票そのものを分割する投票システム(3)/累積得票来歴行列

 『なめらかな社会とその敵』(鈴木健/勁草書房/2013)の「伝播投票委任システム」のところを読んでいます。



 「伝播投票委任システム」を理解するにあたり、同居しているA、B、C、Dの4人が今夜のごはんを、カレー、焼肉、おすしのうちのどれにするか、投票で選ぶという場面について考えています。

 いま考えている例は単純なので、途中経過を順に追っていくことができるし、結果だけを見ても何が起こったのかだいたい察しがつきますが、複雑な場合になると、いったい自分はどのメニューにどれだけの票を投じたのか、ということが結果だけからはわかりません。そこで、自分が投じた1票がどのような比率で分配されたのかが目で見えるものとして、「累積得票来歴行列」というものを考えます。

 まずはじめは、単位行列を考えます(t=0の場合)。そして、投票行列に単位行列をかけると、投票行列と同じものが出てくるので、これがt=1の場合の累積得票来歴行列となります。



 こうして出てきたA(1)をVの右からかけると、今度はA(2)が出てきます。



 ここで終わりなのですが、念のためもう一度計算しておきます。



 つまり、Aさんはカレーに1票投じたし、Bさんは焼肉とおすしに0.5票ずつ投じました。Cさんは自分の1票をまるごとAさんに委任したためにカレーに1票投じることになり、Dさんは焼肉に0.4投票した上で、Bさんに0.6票委任したので、Bさんによって半分に分けられて、0.3票ずつ焼肉とおすしに投票した、ということになるかと思います。

 結局、カレーは1+1=2(票)、焼肉は0.5+0.7=1.2(票)、おすしは0.5+0.3=0.8(票)獲得して、今夜のごはんはカレーでございます。前回の結果と一致してよかったです。

 せっかくなので、もうちょっとだけ複雑な例を考えてみます(委任関係がループしない場合)。

・・・の予定だったのですが、ちょっとだけ複雑にしたつもりが、けっこうプロセスが多くなることがわかり、手計算ではなかなか大変だとわかったので、ひとまずここまで。



(つづく)
鈴木健『なめらかな社会とその敵』 | permalink
  

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