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数学と数学教育
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「比的率」は外延量という考え方(14)/加法保存性と比例定数

【「比的率」は外延量という考え方】

(1) 比的率とは何か
(2) 問題意識
(3) 「割合の三用法」の組み換え
(4) 国際単位系SIと「単位1」
(5) 「単位」の深みにはまる
(6) 割合のイメージ
(7) 比例の式のとらえ方
(8) 遠山啓の「水槽」について考える
(9) 倍がつくる正比例関係 
(10) 複比例のこと
(11) 図形における比率から、「デカルト座標平面線分算」へ
(12) 様々な「1」が混在してしまうこと
(13) 円周率のこと



(14) 加法保存性と比例定数

 (3)において、等分除・包含除の2つの除法の違いについて書きましたが、あらためて確認すると、等分除というのは平均値を求めるようなわり算のことで(24個÷6人=4個/人)、包含除は、それがいくつ含まれているかを求めるようなわり算のことです(24個÷4個=6人)。したがって、等分除は「1あたり量」を求める計算、包含除は「いくつ分」を求める計算ということになります。

 このように等分除と包含除の2つのわり算で求められる商のうち、そもそも比例関係の定数になれるのは、等分除で求められる商だけだったんじゃなかろうか・・・というところに、あらためてもどって考えています。何しろ比例定数は、xとyの関係のなかで、どこにでも「遍在」していなければならないので。

 となると、(3)の表で考えれば、従来の三用法で考えた場合、「度」しか比例定数になれない、「割合」は比例定数になれない、ということになってしまいます。なお、すでにみてきたように、含有率や濃度などの「度的な率」は、「度」のようにして扱うことにより、比例定数になることができます。

 そういうことになると、「1あたり量」しか比例定数にできないってことになりはしないだろうか・・・という疑問がわいてくるのですが、(13)で見たように、小学校では「いくつ分」を比例定数とする比例も、わざわざそれを分類して扱っているようです。実際、どの場合もy=axの式で表わされるし、「xの値が2倍、3倍、・・・になると、それにともなってyの値も2倍、3倍、・・・になる」という条件を満たしているので、比例関係であることは確かでしょう。「いくつ分」を定数とする比例関係は存在しないと結論づけるのは、無理がありそうです。

 そこで、2通りのことを考えてみたいと思います。

 まずは、線形性のおおもとにもどって考えてみることをします。線型性については、正比例から始まる「森ダイアグラム」の意味・4/線型代数のイメージ(その2)などで書いていますが、ごく簡単にいえば、「原因を重ねれば、結果も重なる」というのが、線型性の基本的な性質だと私は理解しています。重ねるというのは、加えるということ。ひとつの言葉でいうならば、加法保存性と言えばいいのでしょうか。(あるいは、「重ね合わせの原理」「重畳原理」?)

 たとえば、1mの重さが2.3gの針金があるとき、3m分の重さは6.9g、5m分の重さは11.5gであり、3m分+5m分=8m分 の重さは、確かに 2.3g/m×8m分=18.4g=6.9g+11.5g になっています。一度切り離した針金をつなげられるか?という問題はありましょうが、とにかく針金の長さをたすと、それに対応する重さも、たされます。

 濃度の場合も、8%の食塩水300gと8%の食塩水が200gあるとき、前者の食塩水に含まれる食塩の重さは24g、後者は16gで、これらをあわせると、食塩水全体の重さは 300g+200g=500g となり、含まれる食塩の重さは、0.08g/g×500g分=40g=24g+16g となっています。

 それでは、「1人にx個ずつ、6人の子どもにみかんを配るときのみかんの総数y個」はどういうことになるでしょうか(整数に限られてしまいますが、「いくつ分」を定数とする比例関係としてはわかりやすいと思うので)。これも、1人に3個ずつ18個配ったあと、さらに1人に1個ずつ6個配れば、1人あたりの個数は 3個+1個=4個、総数は 4個×6人分=24個=18個+6個 と考えられ、やはり原因をたすと結果もたされているような気がします。

 でも、上記の配り方の例は、トランプ方式に近いので、x個/人×6人分=y個 ではなく、6個/回×x回分=y個 と考えて、x=3 と x=1 という原因を足した、と考えられないこともないです。

 では、正方形の1辺の長さをxcm、まわりの長さをycmとしたときの、y=4xという比例関係についてはどう考えればいいでしょうか。1辺の長さが3cmの正方形と、1辺の長さが2cmの正方形を加える、というのはどういうことなのか。これはそのままの形で考えるのは難しいので、図形をまず辺にばらして、そして辺の長さを加えたのち、また正方形にもどすことを考えなくてはならないでしょう。最初から、4つの辺すべてに2cmを加えるわけにはいかないだろうから。

 考えてみれば、(13)でリンクさせていただいたページに示されている学校図書6年上で、「y=x×きまった数」の例にあげられているのは、全部、図形の問題ですね。
http://genkuroki.web.fc2.com/sansu/#6nen-gakkotosho

■三角形の1辺の長さxcmとまわりの長さycm
■正方形の1辺の長さxcmとまわりの長さycm
■円の直径と円周ycm
■正六角形の1辺の長さxcmとまわりの長さycm

 ちなみにp.45の「練習」の2問めは、「50円のはがきx枚とその代金y円」になっていますが、これは「x円のはがき・・・だとまずいから、切手・・・50枚とその代金y円」にすべきところなのではないかという素朴な(&大きな)疑問がわいております。はがきを使っているところをみると単純な間違いでもないらしい・・・。はて? これはもう、どうにもこうにも教科書の内容を見なくちゃならないですね。娘の学校の算数の教科書は学校図書だから(変更がないなら)、あと1ヶ月もしないうちに手元に届くはず。

 とにもかくにも、ここで、図形の相似の問題がオンパレードであることは、遠山啓の「比」は幾何学に弱い()こととつながっているような気がします。そして、このことに関連する私の考察は、いまのところ(11)の内容がせいいっぱいです。

(つづく)

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