TETRA'S MATH

数学と数学教育
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「比的率」は外延量という考え方(13)/円周率のこと

【「比的率」は外延量という考え方】

(1) 比的率とは何か
(2) 問題意識
(3) 「割合の三用法」の組み換え
(4) 国際単位系SIと「単位1」
(5) 「単位」の深みにはまる
(6) 割合のイメージ
(7) 比例の式のとらえ方
(8) 遠山啓の「水槽」について考える
(9) 倍がつくる正比例関係 
(10) 複比例のこと
(11) 図形における比率から、「デカルト座標平面線分算」へ
(12) 様々な「1」が混在してしまうこと



(13) 円周率のこと

 まずはご連絡。すっかり更新が停滞していたこどものちかくカテゴリー:小5算数「割合」すったもんだに新しいエントリを書き加えました。

 さて次は、(7)で保留にしていた円周率のことについて。かつて私は、円周率についてこんなことを考えていました>「円周」の公式と比例関係はどちらが先か。このエントリのなかで、三角比に対する遠山啓の考えを受けて、「円周率も、直径1の円に対する円周の長さそのものとして考えたほうがいいのだろうか?」というような疑問をもちました。しかし、三角形の場合は(11)で示したような図で「率の遍在」がなんとなく表現できますが、円は難しいです。やはり、相似そのものでもっていくしかないような。

 そうなると、緑表紙(昭和10〜16年)における比例の扱い円周率と比例の関係の話へとつながっていきます。緑表紙では円周率で比例の導入がはかられていたようで、銀林先生はこれに対して、円周率の公式を前提として正比例を結論することは「循環論法」であると批判しておられます。確かに円周率の場合は、先に相似という比例関係があって、そこから円周率が生まれてくると考えたほうが自然でしょうね。たった1つの円だけについて成り立つならば、わざわざ「円周率」と言わなくていいような気がするし。

 そういえば先日、「開運!なんでも鑑定団」というテレビ番組で、「金重陶陽の花入れ」なるお宝が出てきたのですが、そのときに鑑定士の方が、「この花入れは高さ八寸五分(26cm)という寸法が大きな付加価値となる」という話をされていました。茶室の床の間に置くのに最もふさわしい寸法なのだそうです。

 私はこの話をきいたときに、おのずと黄金比のことを思い出しました。八寸五分と床の間の関係が、比率がつくる美しさであり、スケールに依存しないのであれば、八寸五分という長さそのものではなく、比率として語られてもいい話だと感じたので。しかし、人間の体の大きさや視線、距離感などを含めての、すなわちスケール込みでの「美」であれば、比率ではなく「八寸五分」という長さそのものに意味があることになるのでしょう。実際にこの数字がどのような根拠にもとづいたものなのか私は知らないので、どういう意味の数値なのかはよく知りませんが、とにもかくにも、比率というものは、スケールを問わずたくさんのものに同様に成り立つから意味があるのであり、たった1つのものに対しては意味をなさないものであるように思います。 

 緑表紙にもどって式表現をみてみると、旧字体で「円周=直径×円周率」と示されており、銀林先生は文中で「円周=円周率×直径」と示されています。小学校では5年生で円周率を学びますが、娘の教科書(学校図書)では、「円周率=円周÷直径」と示されたあと、円周率はかぎりなく続く数だけれどふつう3.14として使うということの説明があり、「円周=直径×3.14」と示されています。これは、「倍」の発想であり、従来の考え方でいけば「1あたり量×いくつ分」ではありません。

 ほんでもって、円周を求める計算を、「3.14×直径」と書くほうが自然だと思う子ども、それにバツをつける教師、バツをつけられて頭にくる保護者っているのかな?そういう実例はあるのかな?という疑問のもと検索していたら、次のページ(ツイート)を見つけました。
http://twitpic.com/9clwph

 同じ方の、次のページも。
http://twitpic.com/9ceab3

 で、お弁当の問題の意味がよくわからなかったので、さらに検索したら、黒木玄さんの次のページに到着。
http://genkuroki.web.fc2.com/sansu/#6nenjo-keirinkan

 あらま! ちゃんと比例も含めて俎上にのせておられるのですね…ということがわかり、前回のエントリにつながったしだい。大変失礼いたしました。>順序固定反対派のみなさま

 2番目のページ「夏休みがあければ、ようやく「y=3x」でもマル?」と書いてありますが、これは、比的率」は外延量という考え方(7)/比例の式のとらえ方で書いたことにつながる話ですね。で、衝撃的だったのは、娘の学校(が属している自治体)も使っている学校図書の小6の指導書で、「y=x×きまった数」の形の式も示していること。私、たぶん、生まれて初めてこの形の式を見ました。なるほど、こういう資料を知らずして、「かけ算の順序問題」にほんの少しでも言及するというのはとても恥ずかしいことだったと、いまさらながら反省しています。申し訳ありませんでした。しかも、わざわざこのパターンのものだけ集めているのですねぇ。この公式を示してあれば、比例の式になっても、「1あたり量×いくつ分」が保たれるということか。しっかし、こういうふうに「併記」されるとは・・・! これ、ある意味、「本来の順序派(とある考えに基づいた順序派)」も、批判しなくちゃいけないかもですよ・・・

 私は、教科書レベルでは、「y=きまった数×x」という公式が出たあとでは、「いくつ分」が比例定数となるような問題は出さないのではないか…と推測していたのです。そういうことではないのですねぇ…撃沈。

 いやはや、申し訳ないけど、ちょっと、もう、教科書はフォローできない感じです・・・って、いままでもしてない??(^^; なんか、学校の先生ってものすごく忙しいと思うし、やらなきゃいけないこといっぱいで、算数のかけ算の順序にかまけていられないってのがふつうなんじゃないかと思うのですが、印刷物(指導書など)としては、こうでもしないと体裁がとれないってことなんだろうか、などとうがったものの見方をしてしまいそうです。どうしたらいいんでしょうねぇ・・・私にはわからんです。

 もっとシンプルでいいんじゃないでしょうか、教科書も指導書も。あとは教師にまかせて、子どもを信じて。何かよくないと思うことが起こっているときには、保護者も先生とコミュニケーションをとって。懇切丁寧な指導書がないと授業できない先生は、指導書があってもいい授業できないですよ、きっと。

 ああ、こういう話になってしまった・・・

 かけ算の順序固定反対派が熱心に集めてきてくださった“事例集”を見ていると、ほんとに暗澹たる気持ちになってきます。でも、実際の小学校では、そういう意味での悲惨さは感じないんですよ…。これはこれで逆に、関係者にとっては空しい話かもしれませんが。

 なんかきょうはもうぐったり・・・ はやく算数・数学にもどりたい・・・

 人生の時間、限られているから、もっと面白いことに時間を費やしたい・・・

 もう投稿する・・・

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