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数学と数学教育
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「比的率」は外延量という考え方(3)/「割合の三用法」の組み換え

【「比的率」は外延量という考え方】

(1) 比的率とは何か
(2) 問題意識



(3) 「割合の三用法」の組み換え

 まず、最初に、(2)についての補足をば。
一方、tetragonさんの考えは、私が内包量と思っていたものを、外延量と解釈する考えです
と書きましたが、より正確には、「一方、tetragonさんの考えは、私が外延量と思っていたものを内包量と解釈し、内包量と思っていたものを外延量と解釈する考えです」となります。

 さて、以前、かけ算の式を、「外延量」「内包量」の視点で考えてみるで、「度の三用法」と「割合の三用法」を示しました。「度」というのは異種の2量の関係、つまりは「1あたり量」であり、現行の小学校の教科書でいえば「単位量あたりの大きさ」(と「速さ」)に対応します。一方、「割合」というのは同種の2量の関係であり、これはそのまま教科書の「割合」に対応します(数教協風にいえば、「率」ということになります)。

 小5の娘がまさにいま学習している最中。これについては、こどものちかくカテゴリー:小5算数「割合」すったもんだでレポート中v(^^)。なお、「割合の三用法」は、特に第一用法を中心に教科書でも扱われていると思いますが、「度の三用法」については教科書レベルでの扱いはないのではないかと思います。その前に平均の式は示されていると思いますが。

 もう一度、「度の三用法」と「割合の三用法」を示します。



 「度」のほうは、針金の長さと重さの関係を想定して書いてみました。「割合」のほうは、小豆と米の混合物のなかの小豆の含有率などを想定しています。上記の三用法を書いた段階では「率」を分けることを意識していなかったので、混合率ならば「度的な率」になりますが、(2)のアのように、4kgの米から1.2kgの米をくみ出したときの割合と考えれば、「比的な率」となります。

 「度」も「割合」も、1番目と3番目はわり算になっていて、外延量と内包量の区別で考えたときの形は同じですが、「等分除」と「包含除」が入れ替わっています。私は等分除・包含除について、こんなふうに考えています。等分除は、その名の通り等分するわり算、すなわち平均を求める計算であり、ならしたときの1あたりの量を求める計算である、と。たとえば24個のみかんを6人で同じ数ずつ分けたときの24個÷6人=4個/人 という計算です。これに対して包含除というのは、その量をいくつ包含しているかを求めるわり算であり、24個÷4個=6人 というような計算のこと、すなわちいくつ分かを求めるわり算である、と。

 「度」の第一は、4mの重さが9.2kgの針金を4等分して1m分の長さを求めるような計算なので等分除の発展形であり、「割合」の第一は、1.2kgのなかに4kgがいくつ入っているか(1こも入っていないので商は1より小さい数になるけれど)を求める計算であり、包含除の発展形と考えられると思っていました。

 しかし、小豆の含有率のような問題であれば、均等分布の考えやすい「度的な率」なので、「度」と同じようにして、内包量×外延量=外延量という式が書けます。つまり、含有率30%の混合物4kgに含まれる小豆の重さを、混合物1kgあたりに0.3kgの小豆が含まれていると考えて、混合物4kg分では、

  0.3kg/kg × 4kg = 1.2kg

と計算する方法です。このように考えると、1.2kg÷4kg=0.3kg/kg も、「度の三用法」の第一と同様に等分除に見えてきます。「割合の三用法」の第一では包含除の発展形に見えるのに。混合物を1kgずつ4つの袋に入れたと考えれば、小豆も4等分されて1袋に0.3kgずつ入っているので。また、1.2kg÷0.3kg/kg=4kg は包含除に見えてきます。したがって、「度的な率」の三用法は、「度の三用法」にあてはめることができます。

 これに対して、「比的な率」としての「割合」を考えると、こちらの場合は、

  4kg/袋 × 0.3袋分 = 1.2kg

と考えたほうが自然です。以前は、4kgというものをひとかたまりの“モノス”として考えることが難しいと解釈していたのですが、そのモノスを「袋」のようにして、普遍単位として認めてしまえば、内包量になり得るということにこのたび気づかされたのです。で、こちらも内包量×外延量=外延量となります。0.3が0.3倍や3割や30%という倍、割合で与えられていても外延量。したがって、

  1.2kg ÷ 4kg/袋 = 0.3袋分(30%)

となり、30%というのは「度の三用法」の第三と同様に、包含除で求められる外延量と考えることができます。考えてみれば、そもそも包含除を「いくつ分」を求める計算だと考えているのだから、「割合の三用法」の第一の形をみれば、0.3は「いくつ分」にあたるわけですよね。にも関わらず、0.3は無条件で内包量だと思っていた私。

 では、「4kgの30%は1.2kgです」という数量の関係を、2つの見方で三用法で表してみます。

〔従来の割合の三用法〕

  1.2kg ÷ 4kg = 0.3
  (外延量)÷(外延量)=(内包量) ←包含除の発展形

  4kg × 0.3 = 1.2kg
  (外延量)×(内包量)=(外延量)

  1.2kg ÷ 0.3 = 4kg
  (外延量)÷(内包量)=(外延量) ←等分除の発展形


〔比的率は外延量と考えたときの三用法〕
  
  1.2kg ÷ 0.3袋分 = 4kg/袋
  (外延量)÷(外延量)=(内包量) ←等分除の発展形

  4kg/袋 × 0.3袋分 = 1.2kg
  (内包量)×(外延量)=(外延量)

  1.2kg ÷ 4kg/袋 = 0.3袋分
  (外延量)÷(内包量)=(外延量) ←包含除の発展形

   
 こう組み替えると、後者は、外延量・内包量、等分除・包含除の観点からは、「度の三用法」と同じ構造になっていることがわかります。

 となると、かつて基数的目盛と序数的目盛について考え込む(2)でリンクした授業研究について、混乱しているのは教師側の「1あたり量」の概念、あるいはその提示の仕方なのではないかという気がするのですが・・・と書いたことを、私はおわびしなければならないでしょうか。混乱していたのは私のほうだ、と。で、もう一度読もうとしたら・・・もしかしてリンク切れ?・・・と思いきや、タイトルでさがしたら見つかりました。
http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp:8080/dspace/bitstream/10191/13193/1/41_25-32.pdf

 こちらは比例がからんでいますので、後ほどまた検討したいと思います。

 さて、それはそうとして。上記のような考え方をするためには、実際には「袋」は与えられていないので、4kg/袋の「袋」、あるいは「100gの20%は何g? → 100g/1 × 0.2」の「1」を単位として認めなければなりません。また、度的な率のほうでは、食塩水の濃度につく単位「g/g」も「1」という単位として認めなければなりません。

 この「袋」あるいは「1」あるいは「kg/kg」を、どう考えればいいのか?


(つづく)
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