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数学と数学教育
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二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・1/出会いと印象

 帰省直前に、二重数直線についての質問のメールをいただきました。現在、メールでやりとりをさせていただいているところですが、ブログのほうでも二重数直線についての現段階での私の理解と思うところをまとめておくことにしました。

 まず、二重数直線との出会いについて。私が二重数直線と出会ったのは2011年6月頃、娘の教科書を通してのことでした。

 こどものちかくかけ算とわり算のテープ図ってなんだ?

 一応、算数や中学数学の教材の仕事を細々と続けている身ではありますが、これまでこのような図を見たことがありませんでした。指導要領改訂を意識することはあっても、教科書にがっぷり取り組むという仕事はしていなかったので、この図が小学校算数の昔からの定番なのかどうか、新しい教科書の特徴なのかどうかは把握できていません。

 そして、インターネットで二重数直線のことを調べました。「二重数直線」に言及している論文とwebページのリストでいくつかリンクしてあります。発案者がだれなのか、いつ頃から取り入れられるようになったのかはわからないのですが、きのうリンクした山梨大学の先生のサイトによると、1980年には提案されていた方法のようです。30年以上もまえのこと。
http://www.edu.yamanashi.ac.jp/
~ntakashi/cho9901.htm


 現在の教科書はどうなっているかというと、小学校算数教科書6社の比較(かけ算から割合まで)で示したように、検定教科書を出している6社は、小学校高学年の数量分野でこの二重数直線を多用しています。

 実際に教科書会社がどのような意図でこの図を使っているのか、教室で先生がどのように教えているかはわかりませんが、少なくともいえることは、この図は2量の比例関係に注目した図であるということです。そして、小4の段階から導入していますので(それより前は未確認)、比例という概念を学ぶ前に、比例を用いて乗除を理解させようとしていることがわかります。しかし、比例そのものの学習では二重数直線を使いません(比例の学習では、おなじみの2量の対応表を用いている)。

 ほんでもって、なぜ私が二重数直線が好きではないかというと、教える側の都合を感じてしまうからです。これについては、「公式」は“悪”で、「図式」は“善”か?(2)/現在の教科書で書きました。二重数直線を使ってはいけないと言っているのではなく、これだけ判を押したようにどの会社も大量採用していると、まるでこの図の使い方を覚えることが算数の数量分野を理解するように見えてきてしまって、そのことに違和感を感じているわけです。

 また、小学校高学年の間にも学習内容が変化していくのに、使う図が変わらない(=最初から先を見越している、共通の構造をすでに知っている人が、その感覚をもって学ばせようとしている)ところにも疑問を感じています。なんというのか、教科書や指導書が、最近語りすぎてはいないでしょうか? それもこれも、教師が信用されていない証かもしれない。もしかすると、子どもも信用されていないのかもしれない。

 さらに、この図を使って「答えが出せる」ようになることは、「わかる」ことなのだろうか?という疑問もあります。今回、質問をくださった方とメールのやりとりをするなかで、私もまだまだ二重数直線についての考察が足りないなぁと感じており、結局、この図を「理解」しなくてはいけない状態であることを自覚しています。この図をどうやって使うかの理解と、この図を使って算数を教える意図の理解。

(つづく)
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