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数学と数学教育
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円の外延的定義と内包的定義

 というわけで、谷村省吾『理工系のためのトポロジー・圏論・微分幾何〜双対性の視点から〜』(2006年/サイエンス社)の第1章の後半をちょっと読んでいきます。それさえしておけば、ひとまずp.24〜25とp.200の感動のことは書けそう。ホモロジーやホモトピーや微分幾何学についてはいずれゆっくり取り組むことにして。

 第1章のお題は、「外延と内包の双対性」です。外延と内包といえば、つい最近もそうであったように、このブログでは外延量と内包量というように“量”をつけて考えることが多かったですが、今回は“量”はつかない外延と内包について考えます。

 まずは記法の確認も兼ねて、集合論に関する基本概念が一通り解説されていきます。集合、元(要素)、集合の規定のしかた(元を列挙するやり方と、元が満たすべき条件を列挙するやり方があること)、論理記号の簡単な説明があり、部分集合、補集合、交わり、合併集合(和集合)、差集合、集合族、空集合の説明、そして写像に関しての解説が続きます。

 その前半部分は割愛して「1.5 外延と内包」あたりからぼちぼち読んでいきます。谷村さんは、外延とは何か、内包とは何かを辞書のように一言で表現することは難しいとして、いくつかの例をあげて外延、内包とは何かを示しておられます。

 おそらくいちばんわかりやすいのは、集合の2通りの書き方だと思います。たとえば(本にあわせるために記号Bを使用)、

 B={2,4,6,8,10,12,14,16,18,20}

という集合の書き方は元を具体的にそのまま示しており、このような集合の規定の仕方は外延的記述ということになります。一方、同じ集合を、

 B={x|xは1以上20以下の,2で割り切れる整数}

と表すこともできるわけで、こちらは元が満たすべき条件を示しており、こちはら内包的記述となります。

 実はこれは本では2番目に出てくる例で、谷村さんはまず、平面上の円についての2通りの定義を示しています。高校で学んだことをほとんど忘れている私ですが、「ああ、これ、覚えてる・・・なんか名前がついていたよな・・・」と思いながら手元にある高校の教科書をのぞいて思い出しました。媒介変数表示というものですね。

      

 ちなみに手元の教科書では、この直前に弧度法を学んでいるようです。GRAPESでは媒介変数方式で曲線を定義することもできるので、ためしに円を描いてみました。tの値を動かすことにより円上の点を動かすことができるので、tの1つの値に対して円上の点が1つ対応することがつかみやすく、逆にいえば、tによって決まるxとyの組が1つの点を決め、それを集めていくことで円が形づくられる、と考えることもできます。

 一方、円を表す方程式といえば、

   

という形のものもあり、どちらかというと高校数学ではこちらに重きがおかれているイメージ…というか記憶があります(実際はどうなんでしょうか)。最初に出てきたxとyを別々の式で表すのが円の外延的定義であり、次に示したxとyを1つの式にまとめたものが、円の内包的定義です。

 媒介変数表示のほうは、xとyの組を具体的な1つ1つの点としてとらえようとしているけれど、x^2+y^2=1のほうはxとyの満たすべき条件を1つの式で表しているので、前者が外延的で後者が内包的というのもなるほどうなずけます。

 なお、もっと言えば、円の内包的定義とは「ある一点から等距離にある点の集合」ということになるのでしょうが、ここでは座標平面上での外延的定義、内包的定義について考えています。

(つづく)

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