TETRA'S MATH

数学と数学教育
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ちょっと比例の話を広げてみる>エレベーターとアクリルたわし圏もどき

 秒速8mで上昇するエレベーターで比例について考えています。

 小学校方式の比例の定義でいけば、このエレベーターは、動いた時間が2倍、3倍、・・・になると、高さも2倍、3倍、・・・、になるので、高さは時間に比例するということが言えます。しかし、具体的には「8m/秒」という数値が、このエレベータの動きの“質”を表していると言えるのではないか、というところまで見てきました。

 このことを考えていたら、アクリルたわし圏もどきのことを思い出しました。エレベーターの時間と高さの対応表では、たくさんの時間と高さの組み合わせがあるけれども、瞬間、瞬間の時間と高さは1組に決まっているので、その一瞬について、時間と高さを対象にすれば、「アクリルたわし圏」もどきと同じ発想で、時間から高さへの矢印(射)が考えられるなぁ、と。

   

 一瞬を表す1組の時間と高さを対象として考えて、それを1枚の紙の上に描くとすると、エレベーターが動く様子を表すには、無限枚の紙が必要ということになるかと思います。「0.5秒→4m」の紙、「1と3/8秒→11m」の紙、「2.03秒→16.24m」の紙、……というふうに。

 でも、どの瞬間でも時間から高さへ向かう矢印(射)は「8m/秒」という数値になっているので、無数の紙をぱらぱらマンガのようにめくっても、矢印(射)の部分は止まっているように見えるのだなぁ……と思ったのです。

     

 そうなると、いよいよもってこのエレベーターの動きの本質は、8m/秒にあるように思えてきます。ともなって変わる2つの量を、ともなって変えさせるための、変わらない量というか。



 もう1つ考えてみたいことがあるので、今度はそちらのほうを。それは何かというと、高橋誠『かけ算には順序があるのか』(岩波書店)を読んで考えたこと(4)/個人的にはここが要(かなめ)で示した、積分定数さんの単位のことです。

 あのとき私は、この単位を考えることで、ますます「1あたり量」で定義するかけ算の勉強は、比例の勉強だということがわかりやすくなったと書きましたが、その点について考えなおさなくては……という気になってきたきょうこのごろ。

 どういう単位かというと、時速4kmで3時間歩いたときの道のりの式は、「1あたり量×いくつ分」の順序でいけば、一般的には「4km/時×3時間」になりますが、「3km/(km/時)×4km/時」と考えれば、3も1あたりの量の数値となる、という話で出てくる「3km/(km/時)」という単位です。

 単位だけに注目して考えると、「○/△×△」の形になっていれば、つねに「1△あたりのいくつ分」の式になるわけなので、△が分数の形になっていたってその考えはたもたれているとあのとき思ったのですが、果たしてたもたれているのだろうか……と不安になってきました。

 量にもどって考えると、「3km/(km/時)」というのは、やっぱり道のりを速さでわっているので、包含除的な「1あたり量」(「度の第三用法」)であり、“ならす”ということを前提としている等分除的内包量としての「1あたり量」と同じとは考えられないのかもしれない、と思うわけであり。

 ただ、「速さ」をきわめて外延量に近いものにする発想を思いつけば、「3km/(km/時)」は等分除的内包量になれるのかもしれません。この点については、まだ保留というか、考え中です。

 でも、あのとき面白いなぁと思ったのは、単位の分母に分数の形の単位がきていることだったのです。

 たとえば、速度、加速度、加加速度の関係を思いおこすと、「単位時間あたりの位置の変化が速度(m/s)」、「単位時間あたりの速度の変化が加速度(m/s^2)」、「単位時間あたりの加速度の変化が加加速度(m/s^3)」というふうに、「1○あたり」の1○はつねに時間なので、結果的に単位の分母のsの次元が増えていく形になります(加加速度は、エレベーターの速度制御にも役立っているという話をネットで読みました。そうなんだ〜)。

 だけど、分母側に分数の形の単位がくる量ってなんだろう?と興味津々なのです。「アクリルたわし圏もどき」では、(金額も連続量的に扱って)アクリル毛糸玉1玉に付随する「外延量」を取り出し、対象にしましたが、ここに「内包量」も入れて、内包量から外延量に向かう矢印(射)を考えることができたとしたら、「3km/(km/時)」のような“新しい量(のとらえかた)”ができるのかな?なんて思ったわけなのです。このあたりのことは、また機会があれば考えてみたいと思っています。 

 あとエントリ2こで、算数のこの話題は終わりの予定〜

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