TETRA'S MATH

数学と数学教育
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東京スカイツリーのエレベーターを題材に、比例の対応表について考えてみる

……の予定だったのですが、諸般の事情により速度を落とし、「高速だけどスカイツリーのエレベーターほどではないエレベーター」を題材にすることになりました。


 もともとは、比例についてもう少し具体的に考えてみようと思い、何を題材にしようかなぁとあれこれ思いめぐらせていたら、学校図書のパラシュートタワーから垂直方向の等速運動を連想し、スカイツリーのエレベーターのことを思い出したのです。

 で、速さを調べてみたら、第一展望台までのエレベーターは分速600mとのこと。秒速10m!? ひえ〜私、乗れないわ〜(娘いわく「じゃないといつまでたっても着かないでしょ」……確かに)と思いきや、池袋のサンシャイン60も同じくらいの速さらしいという噂。ちなみにランドマークタワーは分速750mだそう。

 ほんでもって、秒速10mという数値はきれいすぎてイマイチなので、ちょっと速度落として秒速8mで考えることにしました。これは分速にすれば480mであり、高速は高速のようなのですが、どんぴしゃりの建物を国内に見つけられず。とあるサイトによると、東京都庁のエレベーターがこの速さだそう。ただし、展望台のエレベーターはもう少しおそいみたい。というわけで、いずれにしろ全然タイムリーな話題にならず、こうなると高速である必要も全然ないのですが、ひとまず分速480mのエレベーターで比例を考えてみることにします。

 分速480mは秒速8mなので、エレベーターが出発してからの時間(秒)と高さ(m)との関係は、次のようになるかと思います(最初と最後は加速と減速があるのでしょうが、そこは考えに入れないとして)。



 エレベーターは整数秒ごとにワープするわけではないので、実際には時間のところに「0.5秒」や「3と1/7秒」や「6.012秒」もふくまれていて、それに対応する高さもあるわけですが、ひとまず整数だけを時間としてとりだし、それに対応する高さを考えて、表にまとめていることになります。

 ちなみに、遠山啓が比例の「シェーマ」として水槽を使ったのは、連続して変化し、しかもその様子がよくわかる量を使いたかったからだと思います。針金の場合、長さは目に見えても重さは見た目では変化がわからないし。また、水を入れる時間と水面の高さを使わなかったのは、時間的なものよりは空間的なものがわかりやすいという認識があったからでしょう。その結果、xとyの関係が「倍あるいは比」になっており、この点を遠山啓はどう考えていたのだろう、という疑問があります。倍・比につなげるためあえてそうした考えることもできないこともないですが、帰一法との関連を考えると、最初から内包量として「倍または比」を採用することにはやはり無理があると感じています。

 それはそうとして、上記のような対応表をつくると、時間の変化にともなって高さがどう変わるのかがつかみやすくなり、まず、時間の数値がふえると高さの数値もふえることがわかります。さらによく見ると、高さの数値は8ずつ大きくなっていることがわかります。8の段の九九みたいだ。

 ほんでもって、時間の数値が2倍、3倍、……になると、高さの数値も2倍、3倍、……になることに注目して比例を定義していくのだと思います。ひとまず2倍、3倍、……の様子は、時間を1から2、1から3、……と変化させていくことでわかりますが、それだけではなく、2から6へ3倍したり、4から8へ2倍したり……というふうに、いろいろな場合について、2倍、3倍、……を確かめるのでしょう。

 まだ教科書を確認してはいませんが、小5ではだいたいここまでで、小6で「高さ÷時間」が一定であることと、時間をx秒、高さをymとしたとき、y=8×x という式で表せることを学ぶのだろうと思います。おそらく小6では、どの教科書も「1あたり量」にあたるものが比例定数になるように問題を設定しているだろうと推測しています。2量として異なる種類の量を使っているだろうし、「y=x×決まった数」になると気持ちがわるいでしょうから。

 なお、「新算数・数学教育実践講座」刊行会発行の『心に広がる楽しい授業 第11巻 比例の考え 正比例・1次関数』では、「倍」としての「割合」でも、ブラックボックスを使っています。このことの意味については、またのちほど考えます。

(つづく)

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