TETRA'S MATH

数学と数学教育
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割合の三用法と「倍」のかけ算との関係

 念のため学習指導要領で確認しておこうと思って「割合」で検索をかけてびっくり、指導要領では「単位量あたりの大きさ」にしか「割合」という言葉を使っていないのですね。同種の量の比較としての「割合」の学習に該当するのは、第5学年の次のところくらいです。

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〔第5学年〕 「D.数量関係」より
 (3) 百分率について理解できるようにする。
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 なお、「歩合」については「3. 内容の取り扱い」でちょっと出てきます。5年生ってけっこう「割合」で苦労すると思うのですが、学習指導要領における文面としてのウェイトは意外と低いのですねぇ。

 さて、「割合」について考えていくために、便宜上、次のように番号をつけて割合の式をよぶことにします。

 (第一用法) くらべる量÷もとにする量=割合
 (第二用法) もとにする量×割合=くらべる量
 (第三用法) くらべる量÷割合=もとにする量 
 
 たとえば、10回シュートして8回入ったら、

 (第一用法) 8回成功 ÷ 10回シュート = 成功率0.8
 (第二用法) 10回シュート × 成功率0.8 = 8回成功
 (第三用法) 8回成功 ÷ 成功率0.8 = 10回シュート 

ということになります。

 第一用法はどの教科書にものっていると思いますし、第二用法もおそらくのっているでしょう。第三用法については、まったく触れていないことはないかもしれないけれど、第一、第二のように罫囲みで強調されてはいないかもしれません。

 手元にある東京書籍の教科書(平成22年検定済)では、「割合=比べられる量÷もとにする量」「比べられる量=もとにする量×割合」というふうに第一用法、第二用法を示し、第三用法については、

 もとにする量を求めるときは,□を使って,比べられる量を求めるかけ算の式に表して考えると,求めやすくなります。

と罫囲みで説明しています。「割合」そのものの説明としては、「比べられる量が,もとにする量のどれだけにあたるかを表した数を割合といいます。」となっています(割合に「わりあい」のルビ付)。もちろん百分率の説明もあります。

 話が脇にそれますが、「くらべる量」がいいのか「くらべられる量」がいいのか迷うところです。いったいだれが“くらべる”んだよ?、だれが“もとにする”んだよ?、だれがなにに“くらべられる”んだよって感じ。こういう言葉の式は本当にわかりにくいですが、小学校の算数の教科書では仕方がないことでしょうね。大人になって新しい概念を学ぶときも、定義よんでもさっぱりわからないってことよくあるし。定義って実は、「そこから始めるもの」ではないのかもしれない。とにかく、アレコレ具体的に考えてきてわかってきたときに、一般性をもたせるための「まとめ」の式と考えればいいのでしょう。実際、東京書籍の罫囲みの説明には、「まとめ」の文字が右肩についています。

 話をもとにもどすと、「割合」は基本的にわり算が先なのだと思います。そもそも「くらべる量」や「もとにする量」は、それぞれ独立した外延量として存在&測定可能だけれども、それがだれかの都合によって、くらべられたり、もとにされたりするからこういう名前がつけられ、そして「割合」が生まれた・・・と考えることができると思うので。だから、「割合」を求める式が第一用法であっても不思議ではないかと思います。(そうなると、わり算をかけ算の逆算としてとらえていいのか?というところから考えなおす必要がありそうです)

 しかし、第一用法に負けず劣らず世の中で使われるのが第二用法。実生活の中ではむしろこっちのほうがよく使うかもしれません。何しろ、比べるのが目的ではない、他人が作った割合、他人が見出してくれた割合が世の中にはいっぱいあるわけであり。たとえば、消費税率が10%のとき2000円買ったら200円もっていかれる〜という場合、先にあるのは200円ではなく10%ですよね。また、先日うちで飼っている金魚が転覆病のような症状をみせ、塩浴に挑戦したのですが、このときにも割合の第二用法のお世話になりました(金魚、復活しました^^)。ちなみに、第二用法を使わせたい問題は、ともすれば「問題のための問題」になりがちだと思います。

 そして、「4こ×6倍=24こ」という「倍」としての計算は、この割合の第二用法の仲間としてみなせます(>既測量を「1」とおくことは困難か?/「倍」としてのかけ算)。ということは、「倍」としてのかけ算をもとにして、その逆算として考えるわり算はどういうことになるかというと、きのう包含除に近いとみなした「24こ÷4こ=6倍」は第一用法にあたりますし、等分除に近いとみなした「24こ÷6倍=4こ」は第三用法にあたります。この第三用法は、東京書籍がそうしていたように、そのまま公式のように扱うのではなく、第二用法の逆算として考えさせる場合が多く、その背景には、「小数や分数でわる等分除」の発想の転換の難しさがあるかもしれません。

 しかし割合の学習はそれでいいとしても、「○÷小数」や「○÷分数」の計算そのものは学習しなければならないわけで、「等分除」「包含除」の視点でその学習内容をみてみると、なかなか興味深いものがあります。

「かけ算の順序」論争 | permalink
  

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