TETRA'S MATH

数学と数学教育
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小数のかけ算と、ブラックボックスと、圏論 (1)

 すみません、このエントリ、「ハタラキ」という言葉の使い方がぐちゃぐちゃになってしまっています。あした整理します。

追記:補足エントリ書きました。>かけ算における「ハタラキ」という言葉の整理

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 現在の小学校において、小数のかけ算の導入は「小数×整数」で行われるわけですが、これを「整数×小数」に変えることは可能だろうか?というようなことを、数日前に考えていました。ただし、「1あたり量×いくつ分(いくら分)」という定義と、この式の順序は固定したままで。

 そのときには、娘の使っている学校図書の小4の教科書しか見ていなかったので、私は次のように思考を展開させていたわけなのです。

----- 針金の長さと重さを使って「連続量×連続量」の形で「小数×整数」を学ぶ場合、「整数」のほうは「たまたま整数」ともいえるので、「整数×小数」の形にするときにも「たまたま整数×小数」にすることになるだろうな。でも、1mの重さが4gの針金という設定は違和感があるよな。そういう針金もあるだろうけど、ちょっと数値がきれいすぎて“不自然”。しかも、「長さ」のほうはたまたま整数というのがアリだとしても、重さのほうを「たまたま整数」にするのはどうだろうか。・・・あれ?もしかしてもしかしたら、小5でも「整数×小数」はやっていなくてすぐに「小数×小数」に進んでいたりして? 「整数×小数」は割合の特許みたいな扱いになっていたりして・・・ ---

 で、実際に教科書を確認してみたところ、「整数×小数」もやっていたし、その場合の「整数」を「リボン1mあたりの値段」という人為的な設定にしていることに、いたく納得したわけなのです。

 「2.3g/m × 4m」には違和感を感じず、「4g/m × 2.3m」の「4g/m」に違和感を感じる私には、「(結果または前提としての数値)×(操作のための数値)」という、かけ算の発想があるのだと思います。メタメタさんの言葉を借りれば()、「モノとしての数値×ハタラキとしての数値」ともいえます。ちなみに、「×」がハタラキを表すとしても、「ハタラキとしての数値×モノとしての数値」と書いてもかまわないし、「外延量×内包量」の形で書いてもかまわないのだというのが、「かけ算の順序固定反対派」の1つの考え方なのだろうと私は理解しています。

 なお、「外延量×内包量」という形としての「4m×2.3g/m」を採用し、これを「整数×小数」とみなすこともできますが、いまはこの意味での導入は考ないことにします。ついでに言うならば、私が「整数×小数」を割合の特許にしているかもしれない思ったのは、「外延量×内包量」という形で書くときの「内包量」を、百分率や歩合(単位あたり量ではない割合)にしぼっているかもしれないと思ったからです。でも、さすがにそんなことはありませんでした。このあたりの話はいずれまた。

 で、「1mの長さが2.3gの針金」を使って小数のかけ算を学ぶときに、長さはアレコレ考えられ、それにともなって重さもアレコレ変わる(長さが決まれば重さも決まる)のだけれど、「2.3」という数値は動かせない、いまは、「1mの長さが2.3gの針金の世界」に限った話をしているのだ、というようなことを考えていたら、数教教の「ブラックボックス」と、自分で勝手に作った「アクリルたわし圏(もどき)」のことを思い出したのです。

 「ブラックボックス」というのは、大昔、数学教育協議会(というか遠山啓)が関数を学ぶツールとして発案したものです(>ブラックボックスとはなんであったのか・3)。

 こういう発想に基づいたもの↓

     

 実際に“リアルブラックボックス”が作られ、1970〜80年代あたりには数教協の中学校の先生方によって盛んに使われていた教具だと思います。わが家にもありました。xの値を書いたカードの裏にyの値を書いておいて、中でひっくり返すのです。

 ブラックボックスのような図だと何がいいかというと、たとえばウィキペディアの全射のところにある写像の対応図では、2つの集合が楕円で示され、そのなかの要素どうしを矢印(これがハタラキにあたる)でつなげることで写像の様子が示されていますが、原因も結果も枠内にあり、この枠内にあるものどうしの関係にしぼられています。それにひきかえブラックボックスは、原因、結果を囲む枠がなく、むしろハタラキのほうが実体化されています。

 そして、1mの長さが2.3gの針金の、長さをxxm、重さをygとおくと、y=2.3xという比例の式ができ、これをブラックボックスで示すと、次のようになります。

   

 「ほら! (長さ)×2.3=(重さ)となるでしょ!」ということがいま言いたいわけではなく(実際そうなることは否めませんが)、この2.3がどこから来たかというと、「長さの数値」として「1m」を投入したら、「重さの数値」として「2.3g」が出てきたという、その2.3のことを考えています。

   
 この意味での2.3が、単位あたり量です(と、私は理解しています)。

 この考え方を多次元量としてのベクトルでも考えることができるよ〜ということを、「お会計不透明カフェ」と単位ベクトルで示しました。(あのときには分離量のみ扱いましたが)

(つづく)
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