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数学と数学教育
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ブラウアーの「選列」(2)/spread

 近藤和敬『構造と生成1 カヴァイエス研究』の第2章を読んでいる途中ですが、web上で見られる他の論文を参照しながら、ブラウアーの「選列」について、考えているところです。いまは、服部裕幸「選列の理論について」を読みながら、自分なりの理解を書きつづっています。

 さて、前回の例ではどちらも1ケタの数で列を作っていき、コンマを使わずに数字を並べていきましたが、別に1ケタの数ではなくても、たとえば12と345を並べれば[12,345,・・・]という列ができるし、そのあとに354628をくっつければ[12,345,354628,・・・]という列ができます。とにかく、自然数(いまは0も含めて考える)を並べて列を作りたいのだから、最初にくる自然数は0、1、2、3、・・・と無限にあるし、2番目にくる自然数も0、1、2、3、・・・と無限にあります。なので、「場合の数」を考えるときのような樹形図を描くと、はじまりも無限ならば、そこから分岐する枝の数も無限になるかと思います(上記リンク先論文のp.4にそのような図があります)。

 で、自然数ならなんでもいいということにせずに、たとえば0と1だけを使って列をつくってみようということになると、最初は0か1、次も0か1、その次も0か1、・・・となるので、枝が2本ずつ分岐していく樹形図を描くことができます。さっきの図のように枝分かれの数に「・・・」をつける必要はなくなりますが、枝が分かれたあとにはあいかわらず「・・・」が続きます。

 こういうふうに、「0と1だけ」といったような制限をつけることを、ひとまず「制限の規則」と呼ぶことにします(ほんとは別に名前がついているけれど、ここでは私が勝手に命名)。

 ほんでもって、きのうのトランプで作った列

    55824・・・ → 558243・・・ → 5582431・・・

について、その途中でできる1つ1つの列に対して、ある1つの有理数を割り当てることを考えます。たとえば、55824に「7/5」、558243に「14/13」、5582431に「1」というふうに(ちなみにそれぞれ分数は、「偶数の数字の和/奇数の数字の和」で作ってみました)。そうすると今度は、

   7/5,14/13,1,・・・

という有理数の列ができます。もとの列が生成過程にあるのだから、この有理数の列も生成過程にあります。こういうふうに、最初につくった列の、途中でできる有限数列に1つの有理数(正確には、数学的実体)を割り当てる規則を、「割り当ての規則」(ひきつづき私が勝手に命名)と呼ぶことにします。

 そして、このような有理数の無限列は spread の要素と呼ばれます。って、なぜかここだけ本来の名前。ちなみに金子洋之さんは、spreadに「域」という訳語をあてておられます。「拡張」と訳されることもあるもよう。これってあれですよね、パンとかにべた〜っとぬる“スプレッド”のことですよね? 「ひきのばす」というような意味なのかな。お、検索したら面白ページ発見→東京ガスディップ、スプレッド、ペーストの区別

 で、服部さんの論文では、「制限の規則」と「割り当ての規則」という2つの規則のペアでspreadが定義されると書いてありますが、金子さんの論文では「自然数からなる有限列の集まりを定義域とし, {0, 1}を値域とするような関数に他ならない」と書いてあるのです(12ページめのp27)。関数? なぜいきなり・・・ と思いきや、「割り当てる」のだから、なるほど、関数といえば関数っぽいです。でも、{0,1}にしぼるの? はて・・・

(つづく)
 
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