TETRA'S MATH

数学と数学教育
<< 直観主義者は自然数「2」をどのように構成するか | main | ブラウアーの「選列」(2)/spread >>

ブラウアーの「選列」(1)/自然数で列をつくる

 近藤和敬『構造と生成1 カヴァイエス研究』の第2章と、金子洋之「選列と論理 I : 直観主義解析学における連続性原理」を並行して読んでいます。

 さて、1つ前のエントリで、直観主義者はどのように実数を構成するのかということをちょっとのぞきましたが、金子さんの論文のなかでは実数生成子というものが出てきます。そして、古典的にはコーシー列なのだけれど、直観主義的には許容されない列として、円周率πの小数展開の中に0123456789という数の並びがあるかどうかという問題を含む例が示されています(なので、“すべての”実数を構成する方法は、まだ得られていない)。ちなみに近藤さんの本でも、このπの小数展開の話は出てきます

 で、金子さんの論文では、このあと実数間の外延的同一性の話が出てきていて(内包的同一性も言葉だけ出てくる)興味津々なのですが、それはひとまずおいといて、p.22あたりの「関数」の話も割愛して、ぼちぼち「選列」のことを考えていきたいと思います。

 なお、先に書いておくと、ブラウアーの「選列」の基礎となる哲学的な議論を、カヴァイエスは受けとらなかったらしいのです。ちなみに、金子さんの論文のなかで、「選択の主体」という言葉が出てきますが、ブラウアーとカヴァイエスの考えを分かつものは、どうやらこのあたりにありそうな予感がします。

 何を選択するかというと、自然数です。自然数は前もって獲得された数学の対象なので、その自然数の選択という際限のない行為の継続をもってして規定されるのが、「選列」というものあるらしいのです。

 以下、私の理解で書きます(このへんからは、ブラウアーの「自由選列」に関する論文3つで示した最初の論文、服部裕幸「選列の理論について」を読んでいくとわかりやすいです)。

 いま、私が勝手に、55824・・・ という列を作ったとします。「・・・」のところにはまだ自然数が続くのですが、現段階では55824というところまでわかっています。で、次に3がきたら、558243までわかり、1がきたら、5582431までわかります。
 
(1) 55824・・・ → 558243・・・ → 5582431・・・ 

という流れです。

 もう1つ別に列を作ります。今度は、「xを2乗した数の一の位を並べる」という規則に、x=0,1,2,3,4,・・・を代入します。そうすると、

(2) 01496・・・ → 014965・・・ → 0149656・・・  

という流れになります。しかし、(1)の場合と違って、(2)の場合は、「・・・」がついていたとしても、「・・・」に何が入るのかは決まっています。

 実は(1)の列は、私が10枚のトランプを使って、そのなかから1枚選ぶという方法で作った列です。この方法を繰り返すことで、いくらでも自然数をつぎたせますが、(2)の場合と違って、次にどの数字がくるかは、私がカードをひくまでわかりません。だけど、私がカードをひいて出した数字、ということは決まっています。だから、(2)が、「2乗したときの一の位」という規則にしたがって生成されるものだとすると、(1)も、「10枚のトランプから1枚ひく」ということにしたがって生成される列、と言ってもいいのではなかろうか・・・というのが、服部さんの論文p.3に対する私の理解です。

(つづく)
近藤和敬『カヴァイエス研究』 | permalink
  

サイト内検索