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量子力学/ボーアの原子モデル(1)

 そんなこんなで、バルマーとリュードベリは、水素原子から出てくる光の振動数の公式を導き出したわけですが、それは次のようなものでした。(より正確には、おそらくバルマーの式はこのまんまの形ではなかったのだろうと思います。なお、振動数の記号νは「ニュー」です↓)

 ・・・(1)

 可視光線の場合は、m=2を代入して、n=3,4,5,6を代入すると、4色の光の振動数になります。なお、いまは村上雅人『なるほど量子力学機戮鮖温擁幻イ砲靴討い襪里如▲Εキペディアのリュードベリ定数のページにある公式とはmとnが入れ替わっています。

 話はいったんかわって。

 光のエネルギーは振動数に比例するそうで、比例定数をhとすると、E=hνと表されるようです(ブログ本文中のフォントでは「ν(ニュー)」と「v(ヴィ)」の見た目が同じですが、しばらくの間、vは振動数「ニュー」を表すものとします)。比例定数hにはプランク定数という名前がついています。

 振動数νにプランク定数hをかけると光のエネルギーになるのだから、上記の式の両辺にhをかけてやると、次のように式変形することができます。(訂正

・・・(2)

 hνは光のエネルギーを表しているのだから、赤枠と青枠をそれぞれ1つのエネルギーと考えれば、光のエネルギーはなんらかの2つのエネルギーの差と考えてもわるいことはなさそうです。というわけで、赤枠、青枠の位置にくるエネルギーの一般式は次のように表すことができます。

       ・・・(3)

 この式はある軌道にある電子のエネルギーを表していて、このようなエネルギーを有する軌道が安定した軌道であり、これらの軌道間を電子が遷移するときに、そのエネルギーの差に相当する電磁波が放出されるのではないか・・・

 という仮説をたてたのがボーアでした。

 しかし、上記(3)の式のままでは矛盾が生じます。ボーアは、原子核が近いほどnが小さいと考えていましたが、(3)の式ではnが小さいほどエネルギーが大きくなって、原子核の近くをまわっている電子のエネルギーが最も大きくなってしまいます。と、さらっと書いてしまいましたが、この矛盾について私はなかなか理解できませんでした。でも、それが理解できなかったおかげで、基底状態や励起状態というものの意味がちょっとだけわかるようになりました。それについてはいずれまた。

 で、ボーアは、上記の式にマイナスをつけるという発想の転換を行いました。

       ・・・(4)

 「低い」から「深い」への転換を行ったのだと思います。イメージでいうならば、海底を0として海底からの高さを示すのではなく、海面を0として海面からの深さをマイナスで表す・・・というような感じでしょうか。海面はいわば電子が原子核からのがれた自由な状態を表し、実際、(3)の式においてn→∞とすると、En=0となります。このようにマイナスをつけても、リュードべリの公式とは矛盾しません。
[2014年9月20日追記]「低い」から「深い」の転換を行ったわけではないということをTwitterで丁寧に教えていただきました。 https://twitter.com/sunchanuiguru/status/512979129499525120
[2015年1月8日 補足記事を書きました]↓
2011年4月に書いた、量子力学のエントリについて



・・・(5)

 いま、n>mなのだから、nが小さいほど原子核に近いとすれば、原子核から遠いほうの軌道から近いほうの軌道に移るときのエネルギーの差はEn−Emとなり、各エネルギーの一般式をマイナスをつけて表すことで、最後の差の式のmとnの前後関係が入れ替わって辻褄があうのが面白いです。
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