TETRA'S MATH

数学と数学教育
<< 1と2と3にまつわるとりとめのない曖昧な思考 | main | フレーゲとラッセル、そしてブラウワー >>

木星の衛星の数はいくつ?

 2010年9月現在、木星の衛星は何個発見されているのだろう?と検索してみたら、ウィキペディアによると、2003年までに63個の衛星(うち1個は不確実)が発見されているのだそうです。63個!? 多いなぁ。

 「木星は月だらけだ」と思った直後、ああそうか、月というのは地球の衛星で、木星の衛星は「月」とは言わないよな……と気づきました。がしかし、moon には衛星という意味があるらしく、地球の衛星としての月をさすときには、the moon と言うようです。ドイツ語だと der Mond になるのかな。英語やドイツ語では、定冠詞をつけて「特定の衛星」を表すのですね。その点日本語は、最初から「衛星」と「月」で分けるわけだ。

 フレーゲの『算術の基礎』は1884年に書かれていますが、この時点では木星の衛星は4個だった(4個発見されていた)ようです。ということについての注意書きが、勁草書房のフレーゲ著作集2『算術の基礎』には次のように書かれてあります。
 

 フレーゲが本書を著した頃には、木星の14個の衛星のうち、最も大きな四つのものが発見されていた。

 つまり、勁草書房のこの本が編集されていた頃(2001年)には、木星の衛星は14個だった(14個発見されていた)ことがわかります。それから2年で、50個近く見つかったのですね。これからもっと見つかるのかもしれないし、見つかったと思ったものが違ったとされるかもしれないし、63個という数値も暫定的なものなんでしょうね。もしかするとある日突然0個ということになっちゃったりして!?

 また、金子洋之さんは、『ダメットにたどりつくまで』でフレーゲがいうところの「概念Fに帰属する数」を説明するにあたり、

概念「太陽系の惑星」に帰属する数は9

という例を出されています。「あれ?」と思って調べてみたところ、惑星の定義によって冥王星が太陽系の惑星からはずれ、太陽系の惑星が8個になったのは2006年頃のようです。『ダメットにたどりつくまで』は2006年の4月に刊行されていますから、ぎりぎりまだ9個だったのでしょう。

 で、フレーゲをはなれてつらつら考えたこと。

 実在論者が「草原、草原にいる蛙、それらを照らす太陽は、私がそれらを眺めていようといまいと、同じようにそこにある」と考えるとき、彼は一度は草原や蛙や太陽がいるその場に居合わせたことがあるのでしょうか。そして、そこから私が立ち去ったとしても、草原も蛙も太陽も在り続けると考えるのでしょうか。それとも、私がそこに立ち会ったことが一度もないとしても、在るものは在るのだ、ということなのでしょうか。そういうふうに考えていくと、“いようといまいと”という一言がついているのは、反実在論者に向けての言明のような気もしてきます。もしかして、実在論があって反-実在論があるのではなく、反-実在論があって、反-反-実在論、あるいは反-非実在論としての実在論があるのだろうか。実在論者にとって、木星の衛星の数は何個なんだろう? 

哲学・思想・科学論 | permalink
  

サイト内検索