TETRA'S MATH

数学と数学教育
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銀林浩の、正比例関数から量圏への説明の流れ

 「アクリル毛糸1玉の量の圏」は銀林浩『量の世界・構造主義的分析』の第4章を読みながら考えたことですが、アクリル毛糸という例はもちろんのこと、射を分数にするのも私が勝手に考えたことなので、銀林先生が書かれていることをかなり曲解または誤解しているかもしれません。

 ちなみに、「§3 量のカテゴリ」はどのような話の流れになっているかというと、

● 理念的には、内包量と正比例関数はまったく一致する。しかし、人間にとっての認識の難易からみると、両者のあいだには違いがある。

● 正比例関数による内包量の創出には、認識上の制約がなく、入力-出力という対応関係だけに着目する。これは、内包量の範囲を一挙に拡げるものといえる。

● 関数を介することによって、内包量同士の演算を導入することができる。合成関数と、その加法保存性。2つの内包量のかけ算の定義。

● 正比例関数は双射(1対1)なので、その逆関数が考えられ、逆関数も加法を保存し、正比例関数になる。逆内包量。

● (この節の以下の部分はとばしてもさしつかえないという欄外コメント付きで)以上の叙述は、最近の数学における圏の定義を思い起こさせる。圏の定義。

● 「量圏」(by銀林浩)を考える意義で書いたようなこと。

そして、
 ところが,これまで,正比例関数は y=ax というただの数学的パターンとしてのみ扱われていたし,量の世界の構築とは関係がなかった。一方,理科や社会科における諸量は,正比例を利用できないために,まったく非系統的にバラバラに,経験的にか天くだりにか与えられていた。これは,量にとっても正比例にとっても不幸な事態であったといわなければならない。
というふうに締めくくられ、正比例による内包量の創出の話へと移っていきます。
 私は、「量を対象とし、正比例関数を射とする圏」が具体的にどういうものなのか、なかなかわかりませんでした。というか、いまもわかっていません。正比例関数という関数自体は1つのものなので、1つ1つの射は「あるひとつの正比例関数」ということなのだろうと思いました。それを y=ax という形の式で与えるとして、aが決まっている場合だと考えてもいいのでしょうが、この式そのものを射としていいのかどうか、その場合、始域と終域を言葉でどう説明すればいいのか、なかなかわからなかったのです。

 で、内包量の二重構造を考える中で()、『時代は動く!どうする算数・数学教育』を再び開いたときに、銀林先生は小学校の算数について、小数と分数、かけ算の導入、比例と反比例の3点をあげられており、比例と反比例については「関数的比例ならびに反比例は中学に送るのが望ましい」としたうえで、この3点を整理すると、小学校の低学年・中学年・高学年の教育内容は、「整数/離散量」「小数/外延量」「分数/内包量」と、きわめて合理的に分割され、しかも児童の発達にもマッチしたものとなる、と書かれていたのです。

 へえ、そうか、分数は内包量に対応するんだな…と思い、正比例関数と内包量が理念的に一致するのならば、「正比例関数を射とする」という言葉を「内包量を射とする」に置き換えてもいいのかもしれない、そして、具体的な1つ1つの内包量を表すものとして、具体的な1つ1つの分数を考えることで、圏をつくれないかな?と考えてみたわけなのでした(あとで自分の思考の流れを整理して言語化すれば…の話ですが)。
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