集合数から順序数への移行と、圏の「関手」・2
銀林浩『集合の数学』(明治図書/1971)p159〜160から、《かぞえる》という手続きと「関手」の関係について述べた部分を抜き出してみます。なお、本の中にある圏の記号は、筆記体のようなぐりんぐりんした文字になっているのですが(字体の名前がわからない)、ここではCで表します。また、N*の*は実際は上付きの添え字です。脱字はあえてそのまま表記します。
たとえば,有限集合を対象とし,有限集合から有限集合への単射を型射とする圏Cを考えよう.これが実際圏になることは,単射の合成がまた単射となることから明らかである.一方,自然数の全体
N*={1,2,3,4,……}
の部分集合で{1,2,……,m}の形のものを切片といって[1,m]と書くが,これらを対象とし,[1,m]から[1,n]への自然な埋込み(したがっ当然 m≦n)φm,nを型射とする圏C0というものが考えられる.
任意の有限集合Aの要素を《かぞえる》というのは,Aに,それと対等な(1対1に対応する)切片[1,m]を対応させる働きFであるが,その際,2つの有限集合A,Bに切片[1,m],[1,n]が対応するとして,Bの方がAより「多い」,つまり,AからBへの単射fがあれば,[1,m]を[1,n]の中に自然に埋め込む.いいかえると,Cの型射fにC0の型射φm,nを対応させるわけで,f:A→Bのとき,
F(A)=[1,m], F(f)=φm,n
とおけば,Fは圏Cから圏C0への関手となる.
《かぞえる》という手続きが意味をもっているのは,それが大小,あるいは包含関係をN*の切片間の関係に移せるためである.つまり,Fの関手としての性格が実は本質的なのである.