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数学と数学教育
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集合数から順序数への移行と、圏の「関手」・1

 銀林浩『集合の数学』(明治図書/1971)において、集合数から順序数への移行の話が、圏論の「関手」のところで次の図とともに出てきます(p160)。

   

 このことについてしばらく考えていきます。なお、これから考えることは、例にあげた集合も含め、銀林先生の文章を私なりに解釈したものなので、間違っていたり的外れだったりするところも多々あるかと思いますが、とりあえずこんなふうに考えてみたというプロセスとして、記録しておきたいと思います。なお、あとで銀林先生の本文そのものを掲載する予定です。
 さて、次のような2つの集合A,Bを考えます。

    A={林檎,蜜柑,葡萄,苺}

    B={りんご,みかん,ぶどう,いちご,なし}
  
 Aの要素の個数は4個、Bの要素の個数は5個で、要素の個数はBのほうが多いです。Bのほうの要素が多いことは、それぞれの要素を数えればいいのですが、数えなくても、Aの要素とBの要素を1つずつペアにしていけば、Bの要素だけ1つあまるので、Bのほうが数が多いことがわかります。とりあえずペアのつくり方がわかりやすいように、AからBへの対応を、「漢字で書かれたものをひらがなで書く」と考えると、林檎→りんご、蜜柑→みかん、葡萄→ぶどう、苺→いちご、となり、Bの「なし」があまります。

 こうふうに、直接1対1対応をつけずに、「数える」ことにより数の大小を比べるとは、一体どういうことなのか…?

 集合AとBの要素の個数を数えると、Aは4個、Bは5個であり、4より5のほうが大きいので、集合Bのほうが個数が多いことがわかります。この、4個、5個というのはどこからきて、そして、なぜ5個のほうが多いとわかるのか。

 集合の要素を数えるというのは、集合にそれと対等な---1対1に対応する---{1,2,3,……,m}の形の自然数の部分集合を対応させる働きと考えることができます。つまり、集合Aに{1,2,3,4}を、集合Bに{1,2,3,4,5}を対応させるということです。

 そして、{1,2,3,4}は{1,2,3,4,5}に自然に埋め込むことができます。この「自然な埋め込み」というものがどういうものなのか、私はまだはっきり理解できていませんが、それぞれの1を同じ1、それぞれの2を同じ2、…と考えると、{1,2,3,4}の4つの要素は{1,2,3,4,5}のなかにすべて含まれるので、「埋め込める」ということなのだろうと想像しています。つまり、{1,2,3,4}は{1,2,3,4,5}の部分集合である、と。(なお、銀林浩『集合の数学』においては、埋め込みは単射の別の名前として出てきます)。

 このようにして、「数える」という手続きが意味をなすのは、「数える」ことにより、大小あるいは包含関係を{1,2,3,…,m}の形の自然数の部分集合の関係に移せるためだ、というようなことを銀林先生は書いておられます。

 さて、これがどう関手に関わってくるかについて考えるためには、最初に設定した集合A、Bを対象とする圏を考えなければいけないわけですが、例にあげた集合と対応の仕方では圏として扱えないです。なにしろ合成や恒等射が考えにくい。

 もし、「埋め込み」を考えるのであれば、最初から、

    A={りんご,みかん,ぶどう,いちご}

    B={りんご,みかん,ぶどう,いちご,なし}

として、AをBの部分集合にしておけば話は早いのかもしれませんが、それもなんだかつまらない感じがしないでもないです。

 しかし、具体的に考えるためのいい写像を思いつかなかったので、銀林先生の言葉そのものを確認したあと、タイルを使った集合数から順序数への移行と「関手」がどう関わっていくのかを見ていくことにします。
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