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数学と数学教育
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小学校での比例・反比例の扱い・1

 次は「 比例と反比例」を見てみたいと思います。まず、銀林先生の文章を読む前に、ここ20年の指導要領の流れを確認しておきます。

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〔平成元年〕
(2) 伴って変わる二つの数量について、それらの関係を考察する能力を伸ばす。
 比例の意味について理解すること。また、簡単な場合について、式やグラフを用いてその特徴を調べること。
 反比例の意味について理解すること。また、簡単な場合について、式を用いて表すこと。
 比例関係に着目すると能率的に処理できる事象の多いことを知ること。

〔平成10年〕現行
(2) 伴って変わる二つの数量について,それらの関係を考察する能力を伸ばす。
 比例の意味について理解すること。また,簡単な場合について,表やグラフを用いてその特徴を調べること。

〔平成20年〕21・22年度移行期間、23年度から完全実施
(2) 伴って変わる二つの数量の関係を考察することができるようにする。
 比例の関係について理解すること。また,式,表,グラフを用いてその特徴を調べること。
 比例の関係を用いて,問題を解決すること。
 反比例の関係について知ること。
(3) 数量の関係を表す式についての理解を深め,式を用いることができるようにする。
 数量を表す言葉や,□,△などの代わりに,a,xなどの文字を用いて式に表したり,文字に数を当てはめて調べたりすること。
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 こうやってながめてみると、平成10年改訂がいかに厳選内容だったのかがよくわかります。そして平成20年改訂で数十年ぶりに中身が増えるわけですが、パっと見てわかる違いは「反比例」が復活して、「文字を用いた式」が加わること。また、(2)アにも「式」の文字が見えます。つまり、雰囲気としては中学校の比例・反比例が前倒しになるように感じられます。移行措置としては21年度に「文字を用いた式」が始まり、反比例は完全実施の23年度から加わるようです。移行の内容の全体的な流れを把握するには、光文書院移行措置完全ガイドが便利です。

 なお、上の文章は指導要領からそのまま抜き出したもので、「文字を用いた式」については数量関係の(3)に入っています。たまたま(2)のあとなのか、関数概念を深めるための文字式なのかはよくわかりません。いずれにしろ、実際の教科書に取り入れられるときは、いきなりy=a×xではなく、未知数の扱いとして方程式のように入ってくるのかな…と想像しています。(参考ページ>教育出版 移行措置資料

 さて、では、銀林先生の文章にもどります。これは1999年発行の本に記載された内容なので、平成10年改訂の全面実施前の文章ということになります。
 現在,正比例と反比例とは,小学校6年と中学校1年とでダブって扱われている。違いは,中学では文字を使うことと負の領域へ拡大することくらいで,実質はほとんど小学校6年ですんでいる。ただ,反比例は付け足しで十分には扱えない。よく知られているように,比例には,同一物体の二つの属性を対照する量的比例の段階と,遠く離れた二つの物体のあいだの因果関係の反映を考える関数的比例の段階の二つがある。前者が単位あたり量の考えを使うだけで解けてしまうのに対して,後者は対応としての関数概念を必要とする。この両者が小学校6年で扱われているのは,小学校までが義務教育であった時代の名残にすぎない。中学まで義務教育になっている今日では,後者の関数的比例ならびに反比例は中学に送るのがのぞましい。この点だけは,厳選の対象となって実現されそうである。
 あれからサクっと10年。厳選の対象となって中学校に送られた反比例は里帰りしてきて、しかも文字を用いた式というオマケ?も連れてきました。銀林先生の提案とは別の方向に進んでいるようです。

(つづく)
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