TETRA’s MATH

2011年4月に書いた、量子力学のエントリについて

 2011年4月に、量子力学に関するエントリをいくつか書きました。そのなかのひとつ、量子力学/ボーアの原子モデル(1)に対して、2014年9月に以下のようなご指摘を Twitter でいただいておりました。↓
https://twitter.com/sunchanuiguru/status/512979129499525120

 9月の段階では、何度か Twitter でやりとりをさせていただいたのち、該当エントリにコメントをつけて一区切りとしたのですが、どういうわけだか12月下旬から急に気になりだしたので、追加エントリで補足させていただくことにします。

 まずお伝えしたいのは、『なるほど量子力学機戞並湿絏躾傭/海鳴社/2006年)において、Enにマイナスをつけたことに対し、確かに「発想の転換」という言葉はあるものの、“「低い」から「深い」への転換を行ったのだと思います”というのは私の表現であり、海のたとえも私のイメージだということです。

 「行ったのだと思います」ではなく、「私はこのようにイメージして理解した」と書くべきところでした。

 いずれにせよここでいう「発想の転換」は、Twitterでご指摘をいただいたように、特別なことではなく、あたりまえといえばあたりまえのことなのかもしれません。少なくとも、古典力学にはなかった量子力学ならではの「発想の転換」ではないのでしょう。

 実際、本でも、上記の意味での「発想の転換」についてはさらっと書いてあるだけで、ボーアが立てた「大胆な仮説」については、それよりも前の部分に書いてあります。

 ボーア(Bohr)は、ラザフォードの原子モデルと古典論の間にある矛盾を取り除くために、プランクやアインシュタインの量子論を使って説明できないかと思い立った。
 ここで、ボーアは大胆な仮説をたてる。そもそもラザフォードの原子モデルが破綻するのは、荷電粒子である電子が原子核のまわりを等速円運動すると電磁波を放出して、そのエネルギーを失ってしまうことにある。そこで、ボーアは、ある特定の軌道を電子がまわっている時には、円運動を行っても電磁波を放出しないと仮定した。
 そして、電磁波を放出しない軌道のみが安定な軌道としたのである。(後略)

(p.70〜71)

 私自身、先の「発想の転換」を量子力学の核心的なものだとは思っていませんが、あたりまえのことと思うほど馴染みもなかったので、あのようなイメージを用いて理解したそのプロセスを書いたのでした。ちなみにマイナスがつくこと自体に抵抗はありません。

 ところで、実はこの件に関して、村上雅人先生に直接メールで問い合わせさせていただきました。村上先生はとても丁寧な内容のお返事を何度もくださって、わかりやすく説明してくださいました。助手の先生にも大変お世話になりました。

 その内容すべてを理解したとは言えない状態ではありますが、以前よりも「ポテンシャル」という言葉が怖くなくなったのは確かです。そして、怖さが減ったのと同時に、ポテンシャルというのは奥が深く、まだまだ分からないことが多い分野であることを認識するにいたりました。

 このような機会をあたえてくださった鰹節猫吉さん、積分定数さん、そして、村上先生、助手の先生に、この場をかりて深くお礼申し上げます。

 今回は量子力学についてでしたが、その他の本についても、ブログで何か書くときには、引用部分のほかは、著者の言葉を使わせていただきながらも、自分の言葉やイメージを加え、私の表現で私の理解の道筋を書いていますので、本の内容に興味・疑問をもたれた場合は、ぜひ、原典をあたってみていただければと思っております。

 最近、noteにかける時間が増えてブログの更新が減っておりました。また少しずつエントリを書いていきたいと思っていますので、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます!

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作用する行列・作用するベクトル

 行列の1次変換の有名な実践に「小沢猫」があります。1975年頃に小沢健一先生が発案されたものです。

tomodak先生のページ↓
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~tomodak/
grapes/resource/bin/LinearMap.pdf


 1つの点(xとyの組)を、1つの行列を使って移動させることで、猫ちゃんがいろいろな形、いろいろな向きに変換されます。

しもまっち先生のページ↓
http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/
grimg/grp18.htm


 このときの行列は、“はたらきかけるもの”という感じがします。

 つまり、上記の行列は、拡張された「帰一法」で確認したベクトルの Y=AX という式のAにあたるものにも見えてきます。
 
 一方、お会計不透明カフェでは、不透明な単価の組に、ひとつだけ「1」を要素としてもつ縦長ベクトルをうしろからかけてやることで、それぞれの単価を知ることができました。その縦長ベクトルを組み合わせてつくったのが単位行列ですが、この単位行列はもとの行列をそっくりそのまま再現することができます。

 また、1と0の縦長ベクトルの組み合わせをかえると、はたらきかけて1列目と3列目を入れ替える行列や、全部2列目だけにしてしまう行列もできます。



 上記のような1と0で構成された行列は、どの行列に対しても同じ作用を起こしますが、1つの行列に対して、その行列だけに意味ある作用を起こす行列もあります。

 たとえば、逆行列。うしろからかけても、前からかけても、単位行列にすることができます。



 先日、ベクトルの計算について「レストランの会計」と「お会計不透明カフェ」で考えましたが、カフェの場合についてお店とグループをそれぞれ4種類にふやすと、次のような行列の計算になります。4つのお店のコーヒー、ミルクティー、ジュース、アイスクリームの単価と、4つのグループが注文した数から、それぞれの場合の合計金額を計算して並べたものです。



 このうち、A店でグループEが注文したときのお会計を抜き出すと、次のようになります。



 A店の単価の組はベクトルであり、グループEの注文数の組もベクトルですが、合計金額はベクトルではなく量です。こういうふうにベクトルと量を区別するときの「量」はスカラーとよばれているようです。

 上記の計算の答えの行列は、いわば16この内積が並んでいるようなものですが、並んでいるので、全体としては量ではなく、行列です。この行列から、1つの量を抜き出すにはどうしたらいいか?  というわけで、C店でグループFが注文したときのお会計1620円を取り出す方法について考えます。ただし、4つのお店の単価表としての行列は動かせません。ここから横長の行ベクトルを抜き出すことなく、1620円を取り出す方法について考えます。



 まず、いまはグループFしか考えなくていいので、かける行列をグループFのみの列ベクトルにかえます。



 こうして、合計金額が4つに減らせましたが、まだこれはベクトルです。なので、いま出た答えに行列に、今度は左から(0 0 1 0)をかけます。



 こうすると、1620円という1つの金額としての量が取り出せます。以上の作業を1つの式にまとめると、次のようになります。



 あるいは、先にC店でのお会計にしぼったあとに、グループFの金額だけを抜き出す方法もありそうです。

 この計算は、1つの行列の左右からベクトルをかけることによって、行列の中から量を抜き出す作業になっています。いってみればこれは、行列から量を抜き出す「ベクトルの作用」です。

 行列力学における状態ベクトル、およびブラケット記法は、つまりはこういうベクトルの作用の話なのだろうと、現段階の私は理解しています。
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量子力学/ボーアの原子モデル(2)

 ボーアの原子モデル(1) で書いた内容を図にまとめると、次のようになります。この図の参考文献は、村上雅人『なるほど量子力学機p.71,72です。



 以上のことをふまえて、水素原子から発せられる4色の可視光線について図にまとめると、次のようになります。この図のおもな参考サイトは、FNの高校物理ボーアの水素原子モデル(1913年)です。



 本当にそうなのか、振動数でざっくりと計算しておきます。有効数字の考え方がよくわからないので、とにかくおおまかに計算します。なお、この計算に参考文献はなく、私の理解の上での計算なので、とんちんかんなことやってたらごめんなさい。



 おお。ものすごくおおまかな計算のわりには、けっこういい数値が出たのではないでしょうか(赤:656nm、青:486nm、藍:434nm、紫:410nmくらいらしいので)。

 バルマーさんの式の意味を、逆の方向から確かめた形の計算ですが、やっぱりこの式を波長からもってきたバルマーさんはすごいと思います。何のとっかかりもなく、数字だけをながめて変形して、思いついたのだろうか!? それとも何か、ヒントがあったのだろうか……

 なお、1つ前のエントリ、ボーアの原子モデル(1) において、「m=2,n=3,4,5,6としたときがバルマー系列」と書きましたが(削除済)、バルマー系列というときには、n=3,4,5,6,……というふうに、nの値は続くのだと思います。バルマーもn=11まで確かめてこの式を得たそうですし、mのとる値は2だけではないだろうと予言もしているそうです。(参考:FNの高校物理ボーアの水素原子モデル(1913年)

 というわけで、バルマーが見つけた式は、m=2の軌道よりも外側の軌道から、m=2の軌道に電子が遷移するときのエネルギー差に対応する電磁波ということになりますが、このほかにも電子の軌道間の遷移による電磁波の放出はあって、m=1の軌道に移るときにはライマン系列、m=3の軌道に移るときにはパッシェン系列、……というふうに名前がついているようです。
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量子力学/ボーアの原子モデル(1)

 そんなこんなで、バルマーとリュードベリは、水素原子から出てくる光の振動数の公式を導き出したわけですが、それは次のようなものでした。(より正確には、おそらくバルマーの式はこのまんまの形ではなかったのだろうと思います。なお、振動数の記号νは「ニュー」です↓)

…(1)

 可視光線の場合は、m=2を代入して、n=3,4,5,6を代入すると、4色の光の振動数になります。なお、いまは村上雅人『なるほど量子力学機戮鮖温擁幻イ砲靴討い襪里如▲Εキペディアのリュードベリ定数のページにある公式とはmとnが入れ替わっています。

 話はいったんかわって。

 光のエネルギーは振動数に比例するそうで、比例定数をhとすると、E=hνと表されるようです(ブログ本文中のフォントでは「ν(ニュー)」と「v(ヴィ)」の見た目が同じですが、しばらくの間、vは振動数「ニュー」を表すものとします)。比例定数hにはプランク定数という名前がついています。

 振動数νにプランク定数hをかけると光のエネルギーになるのだから、上記の式の両辺にhをかけてやると、次のように式変形することができます。(訂正

…(2)

 hνは光のエネルギーを表しているのだから、赤枠と青枠をそれぞれ1つのエネルギーと考えれば、光のエネルギーはなんらかの2つのエネルギーの差と考えてもわるいことはなさそうです。というわけで、赤枠、青枠の位置にくるエネルギーの一般式は次のように表すことができます。

…(3)

 この式はある軌道にある電子のエネルギーを表していて、このようなエネルギーを有する軌道が安定した軌道であり、これらの軌道間を電子が遷移するときに、そのエネルギーの差に相当する電磁波が放出されるのではないか……

 という仮説をたてたのがボーアでした。

 しかし、上記(3)の式のままでは矛盾が生じます。ボーアは、原子核が近いほどnが小さいと考えていましたが、(3)の式ではnが小さいほどエネルギーが大きくなって、原子核の近くをまわっている電子のエネルギーが最も大きくなってしまいます。と、さらっと書いてしまいましたが、この矛盾について私はなかなか理解できませんでした。でも、それが理解できなかったおかげで、基底状態や励起状態というものの意味がちょっとだけわかるようになりました。それについてはいずれまた。

 で、ボーアは、上記の式にマイナスをつけるという発想の転換を行いました。

…(4)

 「低い」から「深い」への転換を行ったのだと思います。イメージでいうならば、海底を0として海底からの高さを示すのではなく、海面を0として海面からの深さをマイナスで表す……というような感じでしょうか。海面はいわば電子が原子核からのがれた自由な状態を表し、実際、(3)の式においてn→∞とすると、En=0となります。このようにマイナスをつけても、リュードべリの公式とは矛盾しません。

[2014年9月20日追記]「低い」から「深い」の転換を行ったわけではないということをTwitterで丁寧に教えていただきました。 https://twitter.com/sunchanuiguru/status/512979129499525120

[2015年1月8日 補足記事を書きました]↓
2011年4月に書いた、量子力学のエントリについて


…(5)

 いま、n>mなのだから、nが小さいほど原子核に近いとすれば、原子核から遠いほうの軌道から近いほうの軌道に移るときのエネルギーの差はEn−Emとなり、各エネルギーの一般式をマイナスをつけて表すことで、最後の差の式のmとnの前後関係が入れ替わって辻褄があうのが面白いです。
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言葉遊びでブラケット

 確か「エルミート行列」を検索してたころだと思いますが、ブラ・ベクトル、ケット・ベクトル、ふたつあわせてブラケットというお笑いコンビのようなベクトルの話をあっちこっちで見かけて、なんだか難しそうな話だなぁ、と思いながら素通りしていました。きっと自分には関係のないことだろうと、理解しようともしなかった。

 でも、『なるほど量子力学』のなかの説明を読んでいたら、ああ、そういうことなのか、と少しわかってきた感じです。ちなみに考案者はディラックさん。

 で、ブラ・ケット記法の前段階の「行列から情報を取り出す操作」について、言葉遊びをしてみることにしました。物理的な意味はもちろん数学的な意味もない、ただのお遊びです。×0は消す、×1は残す、「たし算」は「文字をつなぐ」という約束にして、次の行列を考えてみます。

  

 この行列の右から列ベクトル(1 1 1)をかけてやると、

  

となり、列ベクトル(ちから うまい うどん)ができます。でも、このままでは最初の行列と最後の列ベクトルの区別がつきにくいので、もうバラバラにできないという意味をこめて、いちばん最後の列ベクトルの成分を漢字で表すことにします。

  

 今度はこれに、左から行ベクトル(1 0 1)をかけてやります。

  

 力饂飩ができました(「力」はともかく「饂飩」は平仮名のほうがおいしそうなんだけどな・・・)。なお、(1 0 1)ではなく(0 1 1)をかけてやると「旨い饂飩」ができます。

 次は、最初の行列に、右から列ベクトル(0 1 0)をかけてみます。

  

 そう、「かまど」が取り出したいんだけど、まだ部品だけで合体していないので、左から行ベクトル(1 1 1)をかけて、

  

 竃が出てきました。

 今度は次のような行列を考えてみます。

  

 まず、右から列ベクトル(1 1 0)をかけて、

  

 次に、左から行ベクトル(1 1 0)をかけて、

  

 これらの操作をまとめて次のように書くことにします。

  

 同じように、右から列ベクトル(0 1 1)、左から行ベクトル(0 1 1)をかけてやると、

  

 きしめんになります。

 では、右から列ベクトル(1 0 1)、左から行ベクトル(1 0 1)をかけてやると、何が出てくるでしょうか?

  

 答えは白文字になっています→ たくあん

(わたしはおなかがすいているんだろうか?)

 今回の場合、列ベクトルと行ベクトルの数字は同じ並びになっています。縦に並んでいるか、横に並んでいるかの違いで。こういうふうに、同じ数字の並びを縦から横へ変えることは、一種の転置と考えてよさそうです。

 で、複素数で考えるときには、転置のみならず複素共役を考えることになるそうです。たとえば右からかける列ベクトルを(1 i 1−i)とすると、左からかける行ベクトルは(1 −i 1+i)という具合に。このとき、右からかける列ベクトルを |> という記号で表して、これがケットベクトル、左からかける行ベクトルを <| という記号で表して、これがブラベクトル、2つをあわせると <|> となってかっこが閉じるので、ブラケットということのようです(この洒落はホントの話)。かっこが閉じたときに取り出されるものはベクトルではなくスカラーになっています。

 右、左からベクトルをかけてこういう操作をすることは、行列というただの文字の並びから「饂飩」や「竃」や「たこやき」などの単語を引き出すこと ―― 行列力学でいうならば「物理量」を取り出すこと ―― になるのでしょう。……なるのかな??


〔2018年3月24日〕
 分けて書いていた記事をひとつにまとめ、整理しました。
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プランクにヒントを与えた無限等比級数

 量子力学の入門本を開くと、まず「空洞放射」の話が出てきます。でも、最初から丁寧に理解しようとするとなかなか先に進めない……。「黒体ってなに?」「エネルギースペクトルってなに?」「ピークが高振動数側にシフトするってどういうこと?」という具合に。

 で、何かとっかかりはないかなぁ、と思ってページをめくっていたら、無限等比級数の式が出てきました。

  

 ここから空洞放射に切り込めました。よかった。

 さて、空洞放射についての実験結果のグラフ(横軸:振動数、縦軸:エネルギー)は、右側に裾野が広がる山のような形になっています。

 で、古典論の法則に基づいた式(レーリー-ジーンズの法則)でグラフをかくと、エネルギーは2次関数的に増えていくので、振動数が小さいところでは重なるのだけれど、実験結果の山の頂上少し前からはなれていって、あとはものすごーく離れてしまうことになります。

 これに対してウィーンは、古典粒子が熱平衡にあるときに従う「ボルツマン分布」というものをもとにして式を補正し、その結果、山型になって山頂から裾野にかけてはよく重なるグラフができました。でも、今度は振動数が小さいところでどうしてもあわさらない。

 実験結果とぴったり重なるような式はどうしたら得られるのだろう? 振動数が小さいときにはレーリー-ジーンスの式になり、大きいときにはウィーンの式になるようにすればいいのだけれど……。

 そんなグラフの式を見つけたのはプランクさん。ウィーンの式に「−1」を加えるだけで、実験結果とぴったり重なる式ができちゃったそうなのです。

  


 空洞放射の実験結果と

  ・振動数が低い部分でのみ重なる「レーリー-ジーンズの式」
  ・振動数が高い部分でのみ重なる「ウィーンの式」
  ・全体と重なる「プランクの式」

を見比べてみます。

  
  (『なるほど量子力学機拌湿絏躾傭より)

 どこが違うかというと、緑・黄色・ピンクの部分です。

 vが大きくなると黄色とピンクをほぼイコールで考えていいことは納得できます。

 でも、どのくらい大きいんだろう?

 もともと空洞放射の実験は、鉄を熱したときに、だんだん赤くなってそのうち白っぽくなっていくことを古典論では説明できないことから始まっていると思うので、可視光線の周波数を考えればいいんでしょうか? 3×(10^13)Hzくらいだそうです。だとすると、確かに十分大きい。1をひいてもほとんど影響はなさそう。

 では、振動数が低いほうについてはどうなんだろう? vが小さくなると、緑とピンクは近づいていくはずなのですが。で、ここで登場するのが指数関数の級数展開。

  

 xが小さい場合、後半はほとんど考えに入れなくていいので、2次以降の項を消してみます。(なぜ2次なのか、その目安はなんなのだ?とつっこみたい気分ですが、とりあえずおいておいて)

  

 これに x=hv/kT を代入してみると、

  

なので、プランクの式のピンクの部分はレーリー-ジーンズの式の緑の部分と同じになります。

  

 なるほど〜!

 プランクは次のような無限等比級数をもとにウィーンの式と自分の式との違いを吟味し、ある重要な結論に達したのだそうです。(by『なるほど量子力学機拌湿絏躾傭

  

 その結論というのは「空洞に閉じ込められた光のエネルギーは連続ではなくとびとびになっている」というものです。

 で、『なるほど量子力学機戮任蓮⊃尭或νの光のエネルギーを E=hν とし、光がとることのできるエネルギーはこの整数倍しか許されないと考え、そこからずーっと計算をしていってプランクの式までもってきています。

 という仮定を、プランクはどうやって見出したのだろう?

 で、プランクさんがどう考えたのかはわからないけれど、自分としてはプランクの式から無限等比級数に達してみたかったので、テキストに書かれてある式を逆にたどってみながらアレコレ考えていたのです。

 が、そこでハタと気づけば、hというのはプランク定数。すでにウィーンの式に入っています。これはどういうことなのだ?

 と思いきや、検索して見つけられるページでは、どれもウィーンの式にプランク定数hは出てきません。

 というか、E=hν の中のプランク定数hは結論だったんじゃなかったっけかな? そこから量子力学が生まれていったのではなかったかな・・・? 『なるほど量子力学機戮hが先に出てきているのは、話をわかりやすくするため、ウィーンの式とプランクの式の違いをわかりやすくするなんでしょうか。(補遺にボルツマン分布のことが詳しく載っているので、それをちゃんと読めばわかるのかもしれません。)

 「プランクの式」と「無限等比級数」と「エネルギーの整数倍」と「プランク定数」……これらはいったいどういう順番で展開されていったのか興味がありますが、そのためにはもっといろいろ本を読まなくちゃいけないようです。なお、ウィーンの式の段階で「光は粒子である」という仮定はすでに立てられていて、そうすることでウィーンの式は生まれたらしいです。

 プランクは、「光のエネルギーは連続ではなくとびとびの値しかとれない」ということから、すぐに「光は粒子である」という結論は出さなかったようです。いずれ古典論で解明できるだろうと期待していたのだとか。

 そして、プランクの式を見て、光は波ではなく粒子であるという提案をしたのがアインシュタインさんでした。

 実験結果にあう式を導き出すための計算上の便宜から生まれた仮定が、物理を大きく変えることになったのだなぁ、と感じています(そういう認識でいいの?)。というか、ひょっとすると物理ってそういうこと?


【余談】振動数を表す記号はブイではなくギリシャ語のニューだということ知りました。あちゃー。これまで全部ブイにしてきちゃったよ。そういえばブイは速さで使うことが多いもんなぁ。テキストはすぐ書きかえられるけど、数式の画像を全部書き換えるのは大変だなぁ。  でも、このブログのフォントだと・・・  ブイは v  ニューは ν  おんなじやん!?

 

 

〔2018年3月24日追記〕

 複数に分けて書いていた記事をひとつにまとめ、整理しました。

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単振動と微分方程式

 『なるほど量子力学(1)』のAmazonのレビューに、「フックの法則から始まっているのはとても素朴なものを感じました」といったようなことが書いてあります。ということは、量子力学の導入の仕方としてはめずらしいのかな?

 「フックの法則ってきいたことあるけどなんだっけ?」(言葉自体は本には載っていない)と思って調べてみたら、バネなどの復元力の法則でした。『なるほど量子力学(1)』においては、最初の「オイラーの公式」に少し出てきたあと、「第4章 電子の運動−古典力学からのアプローチ」がこの「復元力」の話、バネの単振動の話から始まっています。

 というわけで、単振動の微分方程式について考えてみることにしました。古典力学においては、物体の運度はニュートンの運動方程式 (力)=(質量)×(加速度) に支配されるわけで、記号で書くと

  

となるわけですが、バネにつながれた振り子の単振動においては、バネ定数をkとすると

  

という復元力がはたらくので、

  

という式ができます。変形して、

  

 これは「定係数の2階1次線形微分方程式」というものになっているらしいです。一般的な形は          
     
  

でしょうか。

 微分方程式にはいろいろあり、解き方もいろいろあるんでしょうが、

  ・・・(1)

 この形の微分方程式は

  ・・・(2)

という解を仮定することで解けるらしいのです。e^x は微分しても自分にもどるので便利なんだけど、そのことと関係しているんでしょうか?

  

 (2)の解を(1)に代入すると、
     
  

 けっきょくこれは e^λt の部分をとって、

  

というλについての2次方程式を解くことで解が求まるらしいのです。(こういう方程式を特性方程式というそうです。)

 単振動の微分方程式

  

についても同じように考えると、

  

というλについての2次方程式を解けばよいので、

    

 わからないのはこのあとです。上記のλの値から(1)の微分方程式の一般解は

  

となるらしいのですが、なぜなんだろう?

 意味がわからない前に、指数の見た目が大きくなりすぎてeがおしつぶされそうなので、eの累乗を表す exp という表記の仕方を取り入れることにします。

   

 exp はこれまでもよく見かけていたのですが、新しい記号に対する拒否反応が強い私は「これは便利だ」と思えるまで、なかなか受け入れられずにいたのでした。なるほどこれは便利だ。exp というのは指数関数(exponential function)の略のようです。 

 単振動の微分方程式について、これまでの流れをまとめると、

  

 そしてこれからしたいことは、最後の一般解がなぜ上記のような形になるかよくわからないので、せめて次の5つの解



が、すべてもとの微分方程式の解になっていることを確かめたい、ということです。

 式を簡略化するためにx1と同じ部分を☆、x2と同じ部分★と表すことにします。
(1行目の dt^2 の2が抜けていました↓)

  

 確かに成り立ちました。

 さて、単振動の微分方程式から得られた一般解は指数関数の形をしていますが、オイラーの公式を使うと三角関数の形に表せます。

  

 微分方程式において一般解が複素数のときには、実部と虚部が特殊解になるのだそうです。

  

 そこで、これらも解になっているか調べたいのですが、

  (cosθ)''=(−sinθ)'=−cosθ
  (sinθ)''=(cosθ)'=−sinθ

となることからオッケーの予感です。実際、そうなりました。(ほかにも解の形はあるようです。)

 なぜ三角関数に出てきてもらったかというと、円運動を考えやすくするためなのですが、けっきょく単振動の話から始まったのは電子の円運動を考えるためだったようです(たぶん)。

 原点を中心とする円の円周上を(等速)で動く点について、たとえばy座標だけに注目して時間に沿ってy座標の動きをみていくと、上にいったり下にいったりしてある幅のあいだをいったりきたりする波になるので、円運動は単振動におきかえて考えることができます。

 角速度をωとして、時間をt、円の半径をAとすると、運動している点の座標は(Acosωt、Asinωt)と表せるから、上記の微分方程式の答えと照らし合わせると、

  

が成り立ちそうです。さらに、この平面を複素数平面とみなすと点には1つの複素数z=A(cosωt+isinωt)が対応するから、オイラーの公式により A exp(iωt)となり、これはいちばん最初に求めた単振動の微分方程式の特殊解と同じ形をしています。

 なんだかすごくあたりまえのことを、オイラーの公式をトンネルとしていったりきたりしているだけの気もするのですが、式変形をしているだけなら納得できても、図にもどって具体的に考えようとすると「あれ?」となるのでした。

 そもそもxは変位であり、長さではなかったか。三角関数の形をした解は、点から座標軸にひいた線の長さとして表されるので納得できますが、複素数の形をしている場合は、1つの複素数として表されていてそのままイコール大きさではないので、ちょっと不思議な感じがするのでした。



〔2018年3月24日/複数に分けて書いていた記事をひとつにまとめ、整理しました。〕
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行列力学の誕生

 『なるほど量子力学(1)』の第1章は「オイラーの公式」で、これについては最後の微分方程式をのぞいては読めました(字面を追った)。でも、第2章以降になるとさすがに読みにくく、いつものことながらこういうテキスト本を前から丁寧に読めなくて、いきなり「第7章 行列力学の誕生」を開いてしまうせっかちな体質。ここからもとにもどっていこう。

 行列力学はハイゼンベルクが生んだというより指導教授のボルンがえらかったらしいです。ハイゼンベルクの論文を見せられたボルンが、そのあまりの計算の複雑さに辟易して(だけど量子力学の建設にとって重要な第一歩であることは看破した)、「これは学生のときにならった行列の計算そのものではないか」と気づき、そこから行列力学というものができていったようです。

 で、最初に出てくるのは、ハイゼンベルクが「原子内での電子の運動を解析するために、原子から放出される電磁波のスペクトルをもとにつくった級数和」というものです。


 
 いやん、なにこれ。

 ハイゼンベルクは上記の級数和がn軌道にある電子の位置に対応すると提唱したんだとか。

 そして、エネルギーを計算するためには、位置(qn(t))の2乗を求める必要があり、級数の成分が電子軌道間の遷移であることから、そのかけ算は次のようなルールに従うと仮定したんだそうです。



 これは n→m の遷移の次に m→k の遷移が続かなければ物理的意味がないという考えに基づいているそうです。

 3才児が適当にキーボードを打った文字列に見えるのは私だけでしょうか……


 前にもどるか。
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量子力学の入門書

 やっぱり量子力学を少し勉強しておこうと思い、参考書を1冊買いました。

なるほど量子力学〈1〉

 行列力学に重きがおかれているということで、購入しました。
 

 残念ながら、量子力学を応用するという立場からは、行列力学よりもシュレーディンガーによって提唱された波動力学の方がはるかに便利かつ簡単であるため、行列力学を取り上げる教科書はほとんど無くなってしまった。あるいは、それを取り扱っていても、非常に簡単な記述で済ましている場合が多い。その理由のひとつは、その後の研究で、行列力学と波動力学が本質的に同じものであることが明らかとなったため、わざわざ難解な行列力学を学習する必要がないと考えられているからである。
 ただし、行列力学で培われた概念なくして、量子力学を深く理解することは困難である。また、行列力学を学習することは、初学者にとってもっとも重要な量子力学がいかにして生まれたかを理解するうえで重要となる。

(p.6〜7)


 で、とりあえず理解できそうな最初の「オイラーの公式」と、最後の補遺のうち「行列の対角化」をのぞいてみたら……

 なんだかえらくわかりやすいんですが。

 「オイラーの公式」の最初の部分のわかりやすさは、いままでに味わったことのない感覚。ある人にとってはわかりにくいのかもしれないわかりやすさといいますか。この本の特徴なのか、物理本の(数学本にない)特徴なのか。

 それから、ここ数日検索しまくってやっとの思いでなんとなく理解した「行列の対角化」も、最初からこの参考書を読めばよかったと思うくらい、具体的な数値を使って簡潔にまとめてあります。インターネットで検索して見つけたどのサイトよりもわかりやすい。なんとなく、専門書よりWebページのほうがわかりやすいものにめぐりあえる(いろんな角度からの解説が読める)というイメージを勝手に抱いていたのですが、やはり少なくとも1冊は参考書を手にすることが大切なのだと実感しました。

 でも、メインのところが理解できるだろうか??

 おそるおそる開いてみます。

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