TETRA'S MATH

数学と数学教育

小さな補足

 二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・7/次の話題へについて。

あとひとつ発見したというか再確認したことは、人は「自分の問題」になるまでは目にしても読んではいないんだなぁ、ということ。

 人というのは私です。→“人は(というか私は)”に訂正済。

そして、これは「森ダイアグラムを勉強しろ」というお達しだなと思い、

 お達しを出したのはもちろんメタメタさんではなく、<時を越えた私>(タイミングともいう)です。(

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二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・7/次の話題へ

 次の話題にうつる前に、もう1こエントリが必要なことに気づきました。



 二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・5/「4マス関係表」のことにおいて、授業がんばりMATHさんのページをリンクさせていただきましたが、このなかに出てくる「公式的・非公式的」という言葉に「おお」と思った私は、「公式」で検索をかけ、ウィキペディアに次のような説明があることを知りました。>
転じて俗に、「問題を簡単に解決することができる魔法のようなもの」というような意味で用いられることがある。
 そうか、公式は魔法のようなものなのですね。

 くしくもメタメタさんの数教協「かけわり図」vs筑波大附属小「4マス関係表」(その2)の最後のほうに、
「かけ算」も「わり算」も「割合」も「速さ」も,なぜ,「4マス関係表」という1つの表で魔法のように処理されるのかと不思議の思いにもかられます。

という文章があり、ここに「魔法」という言葉が出てきます。

 そう、4マス関係表と公式は、完全に同じものではないとしても、どちらも“魔法”のようなもので、相対するものではないしょう。

 確かに、4マス関係表を形式的に使えるようになると、文章問題の立式がしやすくなり、正解率もあがる子どもがふえるかもしれません。しかし、私はこの「魔法」の使い方を、娘に教える勇気はありません。幸いなことに、学校からはこの2×2表を強制されてはいないようです。二重数直線は一応授業で使っているみたいで、娘が言うには、最初はみんな二重数直線をかくことをめんどくさがっていたけれど、そのうち先生よりもはやくかけるようになったとのこと。

 この対応表を考えていると、おのずと「はじき」「くもわ」のことが思い出されるのですが、ちょうどメタメタさんも「はじき」の話を出されています。すなわち、二重数直線あるいは4マス関係表を使う人は、「はじき」をバカにはできないでしょう。4マス関係表を使いながら「はじき」をバカにしている人を知っているわけではありませんが、想像するに、「はじき」に対してはダサい(←死語!?)という感覚をもちつつ、それでもこれで解けるようになるならば・・・という苦肉の策的な感情および多少の後ろめたさを感じながら使っている人がいるかもしれないと思う一方で、二重数直線と4マス関係表は胸をはって使われていそうな気がするのです。主流の、正当な学習ツールだぞ!というふうに。

 また、仲松庸次『中学数学・理科が「田の字表」なら解ける・わかる・点がとれる!』の表紙の画像には、「コツを覚えれば公式いらず!」の文字が見えますが、公式はいらないかもしれないけれど、田の字表、あるいは4マス関係表がいるのです。4マス関係表を使う人は、公式も否定・敬遠できないと思う。>「公式」は“悪”で、「図式」は“善”か?(2)/現在の教科書 

 私、そうまでしないと解けないんだったら、もう(いまは)解けなくていいとさえ思います(^^; 今回、二重数直線を考えるきっかけをあたえてくださった方と何通かメールのやりとりをしながら思ったことは、私はひょっとすると、とても贅沢なことをのぞんでいるのかもしれないなぁ、ということです。あるいは、子どもや先生たちにとって、過酷なことを望んでいるのかもしれません。悩んだっていいじゃん、困ったっていいじゃん、納得できないことは武器、と思ってしまうのです。

 しかし、それは苦しいことかもしれませんね。思えば、田の字表も、二重数直線も、4マス関係表も、その他さまざまな学習ツールは、なんとか子どもたちに問題が解けるようになってほしい、という思いから発明されたものなのでしょう。もっといえば、算数で問題が解けるようになること以上の何を求める?という声も少なくないのかもしれませんね。

 あとひとつ発見したというか再確認したことは、人は(というか私は)「自分の問題」になるまでは目にしても読んではいないんだなぁ、ということ。たとえば、メタメタさんのブログの記事は、熟読はしないまでもざっと目を通してきたつもりなのですが、実は全然読んでいないということに気づきました(^^;。メインテーマではない余談的なディテイルは部分的に覚えているのに(ということは、ひととおり目を通しているということ)、肝心なところを読み飛ばしているというか。

 で、このたびの気になりごとというのは。

 メタメタさんが上記リンク先の「4マス関係表」の記事を、森ダイアグラムの話で締めておられること。「ここを私がつっこまずにだれがつっこむ!?」と、自分の怠慢を反省しました。そして、これは「森ダイアグラムを勉強しろ」というお達しだなと思い、手元のテキストだけでは不十分だと感じたので、森毅『線型代数―生態と意味』の中古をAmazonで注文し、先ほど届いたところです。

 メタメタさんの認識が間違っているということではなくて(正しくもないかもしれないけれども)、このダイアグラムを4マス関係表の妥当性を語るときに使われてしまっては森毅も立つ瀬がないだろうという思いにかられてのことです(もしかして、その後、話が続いていたり認識が変わっていたりしたら、把握していなくてすまんことです>メタメタさん)。ついでにいえば、私が“学びの師”(私に何かを教えてくれる人ではなく、「自分の問題」にとことんこだわって、学ぶ姿勢をみせてくれるという意味での師)と仰いでいるメタメタさんへのレスポンスでもあります。

 この作業は、「かけ算の順序」問題と同様の作業になるかと思います。つまり、私は、私が最終的に抗いたいものを、いったん(ある意味で)擁護しなければならなくなると思います。

 というわけで、もうしばらく留守にします〜>ビショップさん。それから、ちっとも忘れてないよ(^^)>カヴァイエスさん。

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二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・6/ひとくぎり

 娘の学校で使っている学校図書の教科書に話をしぼって、二重数直線が算数の学習のなかでどのようにあらわれてくるかをみてきました。

 そういえば二重数直線の起源については、メタメタさんが数教協「かけわり図」vs筑波大附属小「4マス関係表」(その2)のなかで、
(※なお「二重数直線図」の淵源は,「新しい算数研究」1979年7月号に掲載された中島健三さんの「小数のかけ算(導入)(5年)」の公開授業研究で使われた「テープ図」のようです。(『リーディングス新しい算数研究2』所収)

と書いておられましたね。

 中島健三さんの論文は、「乗法の意味の理解について」だけダウンロードして読みましたが、今回は特に言及なしということで・・・

 2012年夏のまとめとしては、これでひとくぎりにしたいと思います(←だいたい気がすんだ^^)。しかし、派生してちょっと気になりごとが出てきたので、ビショップさんにもどるまえにあとひとつ寄り道する予定です。寄り道するにはけっこう大きな道だけど・・・ 参考文献が届くのを待っているところ。

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訂正>4マス関係表のまとめ

 二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・5/「4マス関係表」のことにおいて、
 いずれにしろ2×2の表は、1:3=8:24 と、1:8=3:24 を質的に同じものと考えて、量から抜き出したあとの数値を、比を表す4組の数値として操作するためのものなのだろうと理解しています。
と書きましたが、これじゃ意味がわからないですね。前半部分を以下のように訂正しました。
 いずれにしろ2×2の表は、○m:△m=●g:▲g と ○m:□g=●m:■gを質的に同じものと考えて
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二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・5/「4マス関係表」のこと

 これまで示してきた教科書の画像からわかるように、二重数直線は2×2の表とセットになっています。この表がいわゆる「4マス関係表」とよばれるものと根を同じくするものなのかどうかはわかりませんが、いずれにしろ意味するところはほとんど同じに見えます。

 「4マス関係表」については、まず田中博史さんのページをリンクしましょうか。
http://tanahiro-hirosen-p.blog.so-net.ne.jp/
2011-12-01-1


 お次はメタメタさんのページ。
http://ameblo.jp/metameta7/
entry-11134967859.html

http://ameblo.jp/metameta7/
entry-11134977342.html


 そして「わだいのたけひこ」。
http://d.hatena.ne.jp/takehikom/
20120127/1327611401


 小学校の先生であるMATHMATHさんが、算数教育で使われる図を概観しておられるページ↓
http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/
archive/2011/6/4


 ↑
(このページに、公式的・非公式的という言葉があって、「おお〜!」と思ってしまった私。というのも、いわゆる数学でいうところの公式fomulaなのか、フォーマル、オフィシャルという意味での公式的なのかがわからなかったから。)

 MATHMATHさんの授業実践例↓
http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/
36301217.html

http://blogs.yahoo.co.jp/tamusi22/
36305366.html


 教科書に出てくる2×2の表は、「1」の数値が示されているほうの量がいつも下にあるのに対し、「4マス関係表」ではそういうことにはこだわっていないようです。とにかく、単位が同じ量が横に並んでいればいいみたい。

 上記の田中博史さんのページを読むと、「3/4を1に変身させるにはどうするかを考える。1を作るには、その数自身で割ればいい。」というような発想でわり算という演算を“決定”しているようです。結局、そういうことらしいです。

 教科書会社もこれと同じ考えに基づいて2×2の対応表を採用しているかどうかはわかりませんし、実際に学校の先生がどう教えているかもわかりませんが、そこはひとまずおいといて、私は「4マス関係表」をこうとらえた、ということを書いてみたいと思います。

 まず、当の田中博史さんが「4マス関係“図”」から「4マス関係“表”」と呼び方をかえていますが、二重数直線が量感をともなった「図」であるのに対し、この図から4つの数値を抜き出して作った2×2の形の表は、確かに図ではなく表ですね。

 教科書のように二重数直線とセットにしても、縦方向の矢印を考えるとき、もとの二重数直線は(量を長さにおきかえた)線分図としての意味をなしません。横方向の数値は数値の比がそのまま線分の長さの比として表現されますが、縦方向に並んだ数値は「同じ長さ」で表される量なので。

 たとえば、1mの重さが8gの針金の8mの重さが64gであることを4マス関係表に示すと、次のようになります。

   

 横にならんだ1mと8mの関係は同種の量の関係なので、小学校算数でいうところの「割合(倍)」にあたります。そして、この倍の関係は、二重数直線で線分の長さの比として表現されます。

 もし、64gの部分がわからないとしたら、8mは1mの8倍なので、8g×8倍=64gというふうに答えが求められるわけですが、この考え方で解く場合、実は1mに対応する数値ではなくてもかまわないことになります。たとえば、「2mの重さが16gの針金があります」という問題でもこの図は使えます。ただし、8m÷2m=4倍という計算が必要になり、1mが与えられていればそのまま相手の数値(8mの「8」)が倍を表す数値になるので、便利といえば便利。これは、「倍比例」の考え方につながるものといえます(>比例の対応表についてさらにつっこんで考える)。

 一方、1mと8gの関係は、異種の量の割合なので、これらの数値の関係は「単位量あたりの大きさ」の概念になります。8g÷1m=8g/m または、1m÷8g=0.125m/g というふうに。前者であれば1mに対応する8gの「8」が、そのまま8g/mの「8」と一致します。なので、教科書のやりかたにのっとれば、「1mの重さが8gの針金が64gあるとき、長さは何mですか」という問いは、次のような考え方で解くことになるのでしょう。

  

 ここで出てくる「÷8」の8とはなんぞや?と考えてみた場合、8g÷1m=8g/mの8だと思うので、いわゆる単位量あたりの大きさの8なのでしょうね。したがって、64g÷8g/m=8mと答えを導くことになるのだろうと思います。いまは表のなかの数値にあえて単位をつけているので、あくまでも量として考えるのだったら、という話です。もしこれが比例の表だったら(下がxで上がy)、「÷8」の8という数値はy/xの値、つまりy=axのaを表していることになります(>比例の対応表についてさらにつっこんで考える)。

 だったら、1mから8gに向かう下から上の矢印も考えられそうなものであり、右上の64gが知りたいときに、8m×8g/m=64gと答えを求めることができるはずです。でも、いまとのころそのような矢印は見つけられていません。

 話をもとにもどすと、上記の問題の場合は、わざわざ4マス関係表をかかなくても、包含除的に考えて64÷8=8と考えて答えが求められそうですが、この場合は64g÷8g=8(倍)なので、この8をそのまま答えとするわけにはいかず、1m×8倍=8mという作業が必要となってくるのでしょう。だから、次のように考えてもよいのではないかと個人的には考えています。

   

 でも、この解き方では4マス関係表のご利益がないでしょうね。せっかく表の中に「1」があるのに、その真上にある数値を使っていないから。

 それでは、「割合(倍)」の場合はどうなるでしょうか。「24gの白玉の重さは、8gの赤玉の重さの何倍ですか」という問題について考えてみます。教科書と同じように考えると、次のようになります。

   

 ここで出てくる「÷8」は、8gを1倍にするための「÷8」なので、8g÷8g=1、つまり「8g」の8ということになりそうです。すなわち上下ともに単位がある場合とちがって、ここではかけ算やわり算などの演算決定を表す矢印の数値が、外延量を表すことになります。そして、24gと8gの数値の関係から横の矢印は「倍」を表しそうですが、上の数値はそれでいいとしても、下の数値は、1倍×3倍=3倍という、妙なことになってしまいます。 



 同じ「3倍」という数値が、上段では“間”にあり、下段では表の中に組み込まれているというのが不思議です。この不思議な矢印は、小3、小4における倍の扱いで示した4年の教科書p.93のカエルの問題で出てきます。40倍は1倍の40倍なのか? 私があえて下の数値に「倍」をつけてしまったからこうなっちゃうのであり、もしかしたら、8gの下は1、24gの下は3と書くのがスジなのかもしれませんね。

 なお、8g→1については、8gを単位1にするために8gでわる、と考えてもいいのかもしれません。これは、既測量を「1」とおくことは困難か?/「倍」としてのかけ算のまんなかくらいで示した、オレンジ色の4個の○を青の1にかえる作業のようなものと考えられなくもないです。

 というようなことを考えていくと、「倍」のかけ算は「内包量×内包量」であるという考え方(シカゴブルースさん)を思い出します。8g×3倍=24gは、正確に書くと、8g/1×3倍=24gであるという考え方。8g/1も内包量ならば、3倍のほうも、3ナントカ/1ナントカという内包量なのでしょう。でも、8g/1の「1」と、「1ナントカ」は、同じものではないと私は考えています。シカゴブルースさんは、倍の計算を (1にあたる量)×(いくら分)=(いくら分にあたる量)・・・(a´)と表現し、また、(1あたり量)×(いくら分)=(全体量) を (1あたり量)×(いくら分)=(いくら分にあたる量)・・・(b´) という表現にかえたうえで、この2つは見比べるとそっくりだけれども、「具体的な量の関係を名数・単位を含んだ式で表わすとまったく違うもののように見える」と書いておられます。私もそう思います。

 でも、倍の計算も単位量あたりの計算も同じ二重数直線と4マス関係表でとらえようとするならば、もう、上記の(a´)と(b´)に本質的な差異はないということになるのでしょうね。

 いずれにしろ2×2の表は、○m:△m=●g:▲g と ○m:□g=●m:■gを質的に同じものと考えて、量から抜き出したあとの数値を、比を表す4組の数値として操作するためのものなのだろうと理解しています。

(つづく)
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二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・4/「単位量あたりの大きさ」をどう説明しているか

 今度は「単位量あたりの大きさ」についてみていきます。

〔2014年4月21日追記〕
 ここには以前、『みんなと学ぶ 小学校 算数 5年上』(学校図書/平成24年発行/p.23)の画像を入れていました。長さが8mで重さが480gのはり金をもとにして、1m当たりの重さと、15mの重さを求める様子が、二重数直線と4マス関係表で示されています。1m当たりの重さは、8から1に向かう青い矢印と、480から「?」(求めるもの)にむかう青い矢印が示されて、どちらも「÷8」が添えられています。また、15mの重さを求める問題では、1から15に向かう赤い矢印に「×15」と添えられていて、その上の欄はどちらも空白になっており、左から右に向かう赤い矢印に「×□」と添えられています。


 上の問題の1番と2番はまとめて1つの図にもできますが、ここでは分けて示してあります。しかしつながっている話なので、1mの長さをそろえる必要があるし、8mの目もりと15mの目もりの位置にも気をつけなければなりません。

 では、次の問題ではどういうことになるでしょうか?

〔2014年4月21日追記〕
 ここには以前、同上p.25の[6]の画像をのせていました。「8分間に240Lの水をくみ出す機械と,12分間に300Lの水をくみだす機械があります。1分間当たりにくみ出す水の量は,どちらが多いでしょうか」という問題を、二重数直線で考えていきます。なお、すべて空欄の4マス関係表が添えられています。


 娘は下のような数直線をかいてしまったようで、ノートに訂正が入っています↓


 下の線の「1分」をそろえているのだから、8分と12分の目もりの位置には気をつけなければなりません。

 そして、この二重数直線に「1あたり量」を書き込むと、次のようになります。


 下の直線の「1」の上にくる数値が異なっているからこそ「比べる」ことができるし、これが「単位量あたりの大きさ」のひとつのポイントなのですが、30Lと25Lが同じ長さで表されていることが気持ちがわるい子どもっていないのでしょうか? 私は気持ちがわるいですが。

 考えてみれば、量を数直線で表すということ自体、すでにけっこう抽象的な作業ですよね。長さだったら、たとえば1mを1cmに縮小して表したと考えることもができますが、重さや水のかさなどは、いったん長さにおきかえて示されることになります。そして、8分と240Lは、もともとまったく違う種類の量なのだけれど、8分という状況と240Lという状況が一致する場面では、これらが同じ長さとして表現される。そうして「長さ」に翻訳されたものをもとに、対応関係を考えていくのが二重数直線なのだろうと思います。

 先日、二重数直線で質問のメールをいただいたのは、かけ算のときには問題ないのだが、小数のわり算を二重数直線でどうやって考えればいいのか困っている、という内容のメールでした。私は困るよりも前にすでに「なんじゃこれは!?」と思ってしまい、娘に教えることもしなかったので、実際にどういうふうにこの図を使っているのかについてはこのたび初めて考え込むことになりました。

 そこで、上記p.23の右上の黄色いトリの発言に目を向けてみます。このトリさんは大切なことを教えてくれるキャラクターらしいのですが、この教科書ではじめて二重数直線が出てきたので、次のメッセージを伝えるために登場してくれたのかもしれません。

 「8を1にするには8でわればいいね。だから40÷8で求められるね。」

 もしかして、これが二重数直線の「使い方」なのでしょうか? そうだとすると、矢印がたて方向だろうが横方向だろうが、いつでもこの考え方で問題を解くことができます。たとえば1つ前のエントリで示した倍の計算も、「25を1にするには25でわればいいね。だから40÷25で求められるね」ということになります。そうなるともう完全に、「数」の世界で考えていることになりますね。(「4マス関係表」については次回)

 ちなみに、先日リンクした山梨大学の先生のページでは、わり算になる場合はかけ算の逆算で対応する方法が示されています。また、最後では「何を1とみるか」という基準を置き換えることで、分数のわり算をかけ算にする方法も示されています 2/3:1 → 2:3 → 1:3/2 で、4/5÷2/3 が 4/5×2/3になるという話。こういうことがいつでもできる分数は便利だ。さすが分数という感じ。
http://www.edu.yamanashi.ac.jp/
~ntakashi/cho9901.htm


 でも、ここにあらわれている分数は、量分数ではなく割合分数ですね。数直線にのった時点で「m」は消える。2と3の関係としての2/3だから、対応する組の相手の数値はそのままに、2や1に変化させることができています。量分数だと、2/3mはどこまでいっても2/3mだから。

(つづく)
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訂正→小2の教科書は平成21年発行

 1つ前のエントリ二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・3/「倍」をどう説明しているか において、小学校2年生の教科書の画像を掲載しましたが、あれは平成24年発行ではなく、平成21年発行の教科書です。ひと世代前です。現在どうなっているかは未確認です。
 
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二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・3/「倍」をどう説明しているか

 検定教科書6社の簡単な比較については、小学校算数教科書6社の比較(かけ算から割合まで) に書きましたが、今回の「まとめ」では、娘の学校で使っている学校図書の教科書にしぼって学習の流れをみていこうと思います。

 さて、現在、小学校では(1あたり量)×(いくつ分)でかけ算を定義し、この定義のまま小6まで話を進めていることは、折にふれ書いてきました。しかし、もちろんのことかけ算を「倍」としても扱っており、(1あたり量)×(いくつ分)と「倍」を明確に分けているというよりは、一応、前者で定義しておいて、これを「倍」とも言うよ〜というノリで説明を加えています。つまり、「いくつ分」と「何倍」は、同じものとして扱われています。

〔2014年4月21日追記〕
 ここには以前、『みんなと学ぶ 小学校 算数 2年下』(学校図書/平成21年発行/p.10 ※ひと世代前の教科書です)の画像をのせていました。テープの図を使って、1ばい、2ばい、3ばいを説明しています。


 小3、小4の間は、「倍」についてはほとんど扱われていない印象があるのですが(やってました>小3、小4における倍の扱い)、5年生になると、こんな説明が出てきます。↓

〔2014年4月21日追記〕
 ここには以前、『みんなと学ぶ 小学校 算数 5年上』(平成24年発行/p.80)の画像を入れていました。4種類のこけしの高さをテープに置き換えて、縦方向の数直線をもとに「倍」を考える様子が示されています。4マス関係表も示されており、上の欄には「長さ」、下の欄には「倍」が書き込まれていて(左下が「1」)、上から下へ向かう矢印に「÷25」のようなわり算が示されています。


 単元「小数のわり算」の最後におまけのようについていますから、もしかしたら授業ではあまり重視されないのかもしれませんし、あるいはやらない場合も多いのかもしれません。娘にきいたところ記憶がないそう。ノートにもその痕跡はなく。

 で、いまのお題は「こけし」の高さなので、縦方向のテープ図に示すことが自然に見えますが、もちろんこれを横方向に示すこともできると思います。そして、別々の個体である「こけし」の高さなので、別々のテープ図で表すのが自然に見えますが、25cmも50cmも40cmも20cmも同じ高さという量なので、1つの数直線上に表そうと思えば表すことができます。そうなるとこけしの高さを表す2つのテープを1つにまとめて、「単位量あたりの大きさ」と「割合」の違い (2) のいちばん下に示した、下の直線に単位のない二重数直線と同じものができあがります。含有率やシュートの命中率と違って、比べられる量が全体の量に含まれてはいないので、1つにまとめるのはちょっと無理があるかもしれませんが、上記のように考えると、倍の計算は割合の前段階であるように見えてきます。

 ほんでもって、これまで表の上下とも「単位」が示されていましたが、ここでは下の欄は「倍」にせざるをえません。しかし、違いといえばそれだけで、見た目はこれまでの二重数直線に添えられて出てきた2×2の表とそっくりだし、矢印で計算を示しているところも同じです。この「÷25」の根拠を、子どもたちにどう教えているのでしょうね? という大きな疑問符を抱えたまま、今度は「単位量あたりの大きさ」をどのように説明しているかみてみたいと思います。

(つづく)
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二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・2/教科書にでてくる二重数直線

 二重数直線というのは、2本の数直線を端をそろえて並べて示したもので、対応数直線、比例数直線ともよばれているようです。もっとも一般的に使われる名称がなんであるかはわかりませんが、とりあえず私は二重数直線とよんでいます。

 2本の数直線があるということは、2種類の数量があるということであり、この2種類の数量のうちの対応する2組の値をたてに並べることによって、4つの数値を示す図ができあがります。4つの値のうちの1つの値がわからないということが、問題を成立させるわけです。

〔2014年4月21日追記〕
 ここには以前、『みんなと学ぶ 小学校 算数5年上』(学校図書/平成24年発行 p.76、77)の画像をのせていましたが、思うところあって削除いたしました。強い興味をお持ちの方は、是非、教科書センターなどでのぞいてみてください。


 二重数直線は上のほうの数直線が幅のあるテープ図になっている場合が多いですが、学年があがるにつれて、どちらも普通の数直線になっていくことが多いようです。なぜ、早い段階では上のほうをテープ図にするのか、その意味はよくわかりませんが、2種類の量を区別させようとしているのだろうと推測しています。

 すなわち、下の(普通の)数直線は関数でいうところの独立変数にあたる量、上の(テープ図で表される)数直線は従属変数にあたる数量を示すようになっています。言い方をかえると、「1」という数値が問題文にあらわれるほうの数量が下です。なので、二重数直線の下の直線には必ず「1」という数字が示されることになります。うちの子のノートに上下が逆転した二重数直線を1つ見かけましたが、おそらく“間違えた”のだろうと思います。

 この図を使って、どんな場合にかけ算になり、どんな場合にわり算になるのかを、先生がどのように教えているかはわかりませんが(残念ながらというべきかおかげさまでというべきか、うちの子は二重数直線をマスターしておりませんです〜)、私が思いつく説明は、矢印が1から発せられるときにはかけ算、1にもどるときにはわり算、というものです。逆にいうと、これ以外の説明をいま現在は思いつきません。

 もしかすると、かけ算になるのか、わり算になるのかを説明するための図ではなく、単に対応関係がわかりやすいようにするため、あるいは量感をつかませるだけの図なのかもしれません。

 上記の例では、矢印が右に向かえばかけ算、左に向かえばわり算と考える人も子どももでてきそうですが、これは1より小さい数値が下の数直線に現われてきたときにもちろん成り立たない説明となります。↓

〔2014年4月21日追記〕
 ここには以前、同上p.37[6]の画像をのせていました。「1m当たりの重さが3.1kgの鉄のぼうがあります。この鉄のぼう1.2mの重さと,0.8mの重さを求めましょう。」という問題に対し、二重数直線と、重さと長さの関係を表した表が示してあります。長さの欄には左から順に0.8、1、1.2の数値が並んでおり、1から左向きの矢印と、右向きの矢印が示されています。


(つづく)
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二重数直線について思うことのまとめ(2012年夏)・1/出会いと印象

 帰省直前に、二重数直線についての質問のメールをいただきました。現在、メールでやりとりをさせていただいているところですが、ブログのほうでも二重数直線についての現段階での私の理解と思うところをまとめておくことにしました。

 まず、二重数直線との出会いについて。私が二重数直線と出会ったのは2011年6月頃、娘の教科書を通してのことでした。

 こどものちかくかけ算とわり算のテープ図ってなんだ?

 一応、算数や中学数学の教材の仕事を細々と続けている身ではありますが、これまでこのような図を見たことがありませんでした。指導要領改訂を意識することはあっても、教科書にがっぷり取り組むという仕事はしていなかったので、この図が小学校算数の昔からの定番なのかどうか、新しい教科書の特徴なのかどうかは把握できていません。

 そして、インターネットで二重数直線のことを調べました。「二重数直線」に言及している論文とwebページのリストでいくつかリンクしてあります。発案者がだれなのか、いつ頃から取り入れられるようになったのかはわからないのですが、きのうリンクした山梨大学の先生のサイトによると、1980年には提案されていた方法のようです。30年以上もまえのこと。
http://www.edu.yamanashi.ac.jp/
~ntakashi/cho9901.htm


 現在の教科書はどうなっているかというと、小学校算数教科書6社の比較(かけ算から割合まで)で示したように、検定教科書を出している6社は、小学校高学年の数量分野でこの二重数直線を多用しています。

 実際に教科書会社がどのような意図でこの図を使っているのか、教室で先生がどのように教えているかはわかりませんが、少なくともいえることは、この図は2量の比例関係に注目した図であるということです。そして、小4の段階から導入していますので(それより前は未確認)、比例という概念を学ぶ前に、比例を用いて乗除を理解させようとしていることがわかります。しかし、比例そのものの学習では二重数直線を使いません(比例の学習では、おなじみの2量の対応表を用いている)。

 ほんでもって、なぜ私が二重数直線が好きではないかというと、教える側の都合を感じてしまうからです。これについては、「公式」は“悪”で、「図式」は“善”か?(2)/現在の教科書で書きました。二重数直線を使ってはいけないと言っているのではなく、これだけ判を押したようにどの会社も大量採用していると、まるでこの図の使い方を覚えることが算数の数量分野を理解するように見えてきてしまって、そのことに違和感を感じているわけです。

 また、小学校高学年の間にも学習内容が変化していくのに、使う図が変わらない(=最初から先を見越している、共通の構造をすでに知っている人が、その感覚をもって学ばせようとしている)ところにも疑問を感じています。なんというのか、教科書や指導書が、最近語りすぎてはいないでしょうか? それもこれも、教師が信用されていない証かもしれない。もしかすると、子どもも信用されていないのかもしれない。

 さらに、この図を使って「答えが出せる」ようになることは、「わかる」ことなのだろうか?という疑問もあります。今回、質問をくださった方とメールのやりとりをするなかで、私もまだまだ二重数直線についての考察が足りないなぁと感じており、結局、この図を「理解」しなくてはいけない状態であることを自覚しています。この図をどうやって使うかの理解と、この図を使って算数を教える意図の理解。

(つづく)
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