TETRA'S MATH

数学と数学教育

タイル図は具体的な操作に対応していない

 というわけで、タイルのかけ算では、2×3=6は

     

と表され、これがのちのちタイル図で乗法を理解しようとする意味で示したような(小数)×(小数)のタイル図にもつながっていくのだと思います。

 したがって、佐伯胖氏の「“たてが重さ、よこが長さ”というものはなんなのだ。これはそもそもどういう具体的なものの操作に対応しているのか」()という疑問に答えるならば、このタイル図は「具体的なものの操作には対応していない」となりそうです。分離量までは対応しているように見えたけれど、連続量になると対応していないことがはっきりわかるというか。

 2本や2個や2円や2日や2回が

     

と表されたとき、それは具体の世界から半具体・半抽象の世界へととびたっており、乗法の演算を2方向のタイルで表現する段階では、完全に抽象の世界へとびたっているのではないでしょうか。また、そうでなければタイルの意味がない。タイルが「具体的なものの操作に対応している」のは、加法・減法だけだと思う。
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タイルのかけ算と、タイルの向き

 水道方式ではかけ算の「たて計算」でもタイルを使いますが、計算の途中だけタイルで表す場合もあれば、被乗数だけタイルで表す場合、被乗数も乗数もタイルで表す場合などいろいろあるようです。(このエントリのいちばん下に図を示してあります)

 なお、参考文献[*1]p47では、乗数にタイルを用いない場合と用いる場合があるが、乗数にタイルを用いると「×2位数」「×3位数」の計算を導くのに都合がよいと書いてあります。そして、もし乗数にタイルを用いるのであれば、(2位数)×(1位数)のたて計算に入るまえに、次のようなタイルのかけ算を指導することになっているようです。
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乗法の水道方式・2

 整数の乗法の一般的な形は(多位数)×(多位数)であり、これはいくつかの(多位数)×(1位数)に分解され、さらに(1位数)×(1位数)に分解することができるので、(1位数)×(1位数)が乗法の「素過程」になります。

 この(1位数)×(1位数)を「たて計算」---佐伯胖氏に関わるエントリを書きながら思ったのですが、「筆算」より「たて計算」のほうがわかりやすいですね---でも書けるようにしたあと、(2位数)×(1位数)をおさえ、(3位数)×(1位数)を学習し、ここを水源地としてあとは下りていくことになります。さらには、(3位数)×(3位数)を水源地として下りていきます。

 (多位数)×(1位数)の水源地が(3位数)×(1位数)のわけは、(3位数)×(1位数)を学ぶ段階で指導を要するポイントが出つくし、アルゴリズム(手法)が一般化され、このあとは系統的に順をおって指導しなくても計算できるようになるから、ということのようです。
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乗法の水道方式・1

 水道方式において乗法はどのような組み立てになっているのかみていきます。
 
 遠山啓は乗法を (1あたりの量)×(いくら分) で定義しました。この定義ならば、「×0」「×1」で子どもが戸惑うことがなく、また「×小数」「×分数」を「×整数」と同様に扱えるからです。遠山啓および数教協は一貫性をよしとし、演算の意味を途中から変更することは好ましくないと考えていました。
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認知心理学者の目を通して見る数教協の教師像

 面白いことに、佐伯胖や波多野誼余夫といった認知心理学者の目に映る数教協の(一部の)教師像は、数教協の本来の目的と逆方向に進んでいる姿になっているようなのです。

 たとえば、佐伯胖氏はこう書いています。
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佐伯胖氏は数教協の「タイル」をどう見たか・2

 「佐伯胖氏は数教協の「タイル」をどう見たか・1」でご紹介したタイルを使った授業実践例は、数教協会員である加川博道先生の学校で行われた授業です。加川先生が勤務されている学校は私立小学校で、自主編成のカリキュラムのもと行われており、文部省検定の教科書は使っていないそうです(現在どうなっているかはわかりません)。

 私がこの授業実践例を読んで最初に感じたのは、「子どもたちがこれだけ自由に自分の意見を述べられるってすごいな〜!」ということです。1年生の頃から1人1人の意見を大切にする授業環境が整えられていて、その中で育ってきた4年生の姿があらわれているのかもしれません。

 加川先生にとって先の授業は、「タイルの威力を目の当たりにした」実践例だったようですが、私には(授業そのものを見ていないとなんとも言えない部分はあるにせよ)、「タイルに人を納得させる力はさほどないらしい」ということと、「タイル“を”理解しようとする授業になっている」実践例に見えてしまうのです。

 佐伯氏は次のように分析しています。(引用ではなく要約)
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佐伯胖氏は数教協の「タイル」をどう見たか・1

 数教協の「水道方式」および「タイル」が算数教育にどのくらいの影響を与えたのか詳しく知りませんが、少なくとも小1、2年生で学ぶ計算技能についてはかなりの効果を発揮したのではないかと想像しています。

 私も10進構造の理解に「タイル」はとても有効だと思います。しかし、整数の加減はともかく、どこまでもどこまでもタイルに頼ろうとすると、「タイル“で”」計算を学ぼうとしているのか、「タイル“の”」計算を学ぼうとしているのか、だんだんわからなくなっていくのです。

 それでもタイルが使いやすいならば使えばいいと思うし、タイル“の”計算を理解するのもひとつの楽しさです。

 しかし、「タイルで教えるのがいちばんいい」というふうにタイル万能主義に陥るのはまずいと思うのです。この言葉の「タイル」のところに、他のいろいろな方法論をあてはめることができるんじゃなかろうか?
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水道方式にまつわる個人的な思い出

 私の母は数教協会員の中学数学教師であり、父は非数教協会員の高校数学教師でした。また、同居して私の面倒をみてくれていた祖母は、普通の主婦でした。この組み合わせから生じた思い出話を2つ。
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水道方式はタイル抜きでは語れない

 個人的に、数教協の代名詞は「タイル」「ブラックボックス」「比例水槽」だと思っているのですが、その中でも実質的に、算数教育に最も大きな効果をもたらしたのが、「タイル」なのではないかと思います。
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水道方式「加法」の実際の型分け

 というわけで、水道方式の「加法」は、(1位)+(1位)を素過程()と考え、10×10=100(通り)あるこれらの計算を「くり上がりがないかあるか」「0を含まないか含むか」で6通りに分類することから始まります。
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