TETRA'S MATH

数学と数学教育

結城浩『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』を物語として読むとき

 あの年の5月。ミルカさんが「僕」にどんな話をしてくれたのかをすっかり忘れていたのです。

 ミルカさんはあのとき《数列クイズに正解なし》という話をしてくれていたのです。そして、「世の中のことって、たいていそうじゃないかな」って語ってくれていたのです。

 きょうというタイミング(クリプキの話が一段落したところ)で『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』の感想をアップしようということだけ決めていた私は、『数学ガール』のオープニングを読みなおしながら、そうか、そういうことだったのか…としみじみ感じています。

 というわけで、きょうは結城浩『数学ガール/ゲーデルの不完全定理』についての感想を書こうと思います。今回も、前回に続いてオンラインレビューに参加させていただいたので、まっさらな読者の感想とは言えませんが、そのこと(レビューしていたときの感想がまざってしまうこと)をあまり気にせず、書いてみようと思います。

 なお、数学的ネタバレは皆無ですが、物語的ネタバレを若干含みます。

        
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続報

結城浩さんの新刊のamazonのページができたようです。

数学ガール/ゲーデルの不完全性定理
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結城浩さんの新刊が出ます。

   

 まだamazonでのページを見つけられていませんが、9/30 or 10/1 には注文できるようになるそうです。

 結城浩の、そして「僕」とガールたちの不完全性定理。

 面白くないわけがない!
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やられた

もっと気の利いた一文を書いておけばよかったな(^^;。

まさかこの一文を引用なさるとは!>結城さん
『数学ガール言及リンク集(48)』

 本の内容にまったく触れていない感想(?)にも関わらずリンクしていただいてありがとうございます〜〜 道理で訪問者が多いわけだ。
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『数学ガール』言及リンク集のこと

 結城浩さんって、ほんとにマメな方だなぁと思います。

 たとえば『数学ガール』言及リンク集。著者本人がこまめに見つけてリンクしてくださっているので、読者のひとりである私もこのサイトから感想が読めて楽しいのです。すごい数なので全部は読んでいないのですが、気が向いたときに気が向いたものを開いて読んでいます。

 そう、『数学ガール』が面白いなぁと思うのは、感想も面白いところ。いろいろな感想があるのですが、どれもとても的確だと思う。的確だとも思うし、「なるほど、そうきたか〜!」「それは気がつかなかった、確かにそうだ」と思うこともあります。そして、読んでいて不快になる感想というのがほとんどない。もちろん、絶賛する内容ばかりではなくて中には「自分は受け付けない」という感想も含まれているのですが、その感覚さえ共感できる書き方がしてあるのです。

 あとは、どの一文を結城さんがチョイスしてリンクの看板にするのか、そのあたりも楽しいです。たとえばコマネタ帳さんの場合。コンパクトでわりと正統派の(?)紹介内容だと思うのですが、引用された一文は「なお、ユーリちゃんは俺の娘ですから」でした。それに対して「そこ引用ですかw。」と管理人さん。(^^) なお、これは結城浩さんの日記での引用の一文で、言及集では「フェルマーの最終定理へ「猫まっしぐら」な一冊になっています。 」という一文が選ばれています。

 ちなみに TETRA'S MATH はリンク集(32)でリンクしていただいています。選ばれた一文は「今度は数式としっかり向き合って、数学を楽しみたいと思います」でした。自分ならどこを選ぶだろう?と読みなおしてみたけれど、確かにここくらいしかないなぁ。もっと気の利いた一文を書いておけばよかったな(^^;。

追記>やられた
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結城浩『数学ガール/フェルマーの最終定理』

 結城浩『数学ガール/フェルマーの最終定理』を読みました。より正確に言うと、「実際に出版された『数学ガール/フェルマーの最終定理』をひととおり読みました」となります。

 実は、この本に関してはレビューアをさせていただいたので、出版前に原稿(の原形)を読んでいました。当初の予定ではレビューアをしていたことは伏せておいて、いつものように普通に感想を書く予定だったのですが、それはできないと読んでみて感じました。なお、書籍執筆のためのレビューというものがどういうものかについては、結城浩さんのサイトの「書籍執筆とオンラインレビュー」に書かれてあります(古いバージョンだそうです)。

 感想はいろいろあるのですが、もう少し時間がたってから書きたい気持ちです。いまはとにかく読んでみてください、と言うのが精一杯。

 Amazonでのレビューでアマゾン太郎さんも書いておられましたが、結城浩さんの文章には品があります。それがとにかく気持ちいい。でも、品があることはレビューをする前から知っていたのです。最近感じるのは、「思い入れ」の強さ。結城さんの場合は「想い」のほうが似合うかな。自分の著書に対する「想い」、数学を学ぶ面白さに対する「想い」、読者に対する「想い」。品のある人が想いを形にしたときの静かな迫力に圧倒されているこの夏です。
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『数学ガール』の続編

 結城浩『数学ガール』の中のフィボナッチ数列(4章)とカタラン数(7章)をみていきました。繰り返しになりますが、TETARA'S MATH での書き方はまったくの我流で、見た目は『数学ガール』とはかなり異なっています。数学ガールを読んでいて「なるほど!」と思った部分やよくわからなかった部分を、自分なりの数式や図で理解しなおしたかったので、こんな書き方になりました。

 物語の冒頭で「僕」の趣味は数式の展開だという話を読んだとき、「展開」が趣味ってかわっているなぁと思ったけれど、いまとなってはなるほど納得です。そんな僕がフィボナッチ数列やカタラン数同様、分割数も母関数で攻めようとしたのも共感できます()。

 余談ですが、私が『数学ガール』を熱心に読んでいるものだから、娘が興味をもったらしく、私がほかのことをしている間に本を開いていたようで、カバーがとれていました。これまでカバーをとったことがなかったので、本そのものの表紙にこんなノートの写しがあるとは気づかなかった。テトラちゃんではないと思うし、ミルカさんでもなさそう。となると「僕」かな? でも「僕」はあまりグラフを描かない人だったよな…… 最近、描くようになったのかな? 「夜のみちをいっしょにあるく」ってなんだろう?

 さて、本日、『数学ガール』の続編『数学ガール/フェルマーの最終定理』が刊行されたようです。なるほどフェルマーです。目次はこんな感じです

         

 読み終わったら、今度はネタバレに気をつけながら全体的な感想を書いてみたいと思っていま〜す。

 なお、当初の予定ではこのあと「分割数のよりよい上界」を求める旅に同行してそのレポートを書く予定でしたが()、続編を読んだあとにすることにしました。しばらくは思いつくままに別のことを書こうと思います。
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カタラン数の母関数と一般項(2)

 となると、あとは√(1−4x)をべき級数展開して、係数Knをnで表せばよいことになります。べき級数展開といえばテイラー展開()。√(1−4x)=(1−4x)^(1/2)なので、微分はそれほど大変そうではありませんが、ある程度の目的意識をもたないと一般項まではたどりつけないなぁという感触があります。

 ではまず、K(x)を微分していきます。



 ピンクの−2については、あとで Cn=−1/2Kn+1に代入したときに−1/2を消すために、残しておきます。

 緑の部分はx=0を代入したときに1になります。

 となると、青い下線部分をどうするか、というのが考えどころになりそうです。これがうまいことまとまるからほんとに不思議。



 テイラー展開()したときの係数の分母にはn!があるので、Kn+1はどうなるかというと、



 これを係数比較で求めた()Cn=−1/2Kn+1という関係式に代入すると、



 というわけで、ミルカさんの求めた一般項()と一致しました。

 うーん、話ができすぎているっ

 こうなってほしいという想いのあまり、どこかで計算のズルをしていないだろうか私…
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カタラン数の母関数と一般項(1)

 カタラン数の母関数の閉じた式は次のような形になることがわかりました。



 この式をべき級数展開したいという単純な希望があったとする()と、まずやりたくなるのはx=0を代入することですが、分母が0になってしまうのでできません。そこで、両辺に2xをかけて分母をはらってみます。



 この形にx=0を代入すると、左辺は0、右辺は+ならば2で、−ならば0です。だから−なのだ…と結論するのは乱暴だとは思いますが、少なくとも+で考えるのは無理があります。(ミルカさんは「不毛」という言葉を使っていました。なるほど、不毛といえばいいのか。)

 というわけで、カタラン数の母関数の閉じた式を−のほうで考えていくことにします。



 このままで扱うのは大変なので、ルートの部分をひとつの関数として捉え、その関数をべき級数展開したときの係数の数列を<Kn>とします。



 つまり、K(x)=√(1−4x)とすると、カタラン数の母関数の閉じた式は次のように表せることになります。



 分母をはらって、



 具体的に級数の形で書いてみると、



 左辺の2xをC(x)のそれぞれの項にかけて、右辺のかっこをはずすと



 左辺と右辺で係数比較をします。



   数の項   0=1−K0
   xの項    2C0=−K1
   x^2の項   2C1=−K2
   x^3の項   2C2=−K3
       ・
       ・
       ・

 なるほど〜〜 
 ということは、CnはKnで表せるのだ!



 したがって、Knを求めれば、それをもとにCnも求まることがわかりました。

(つづく)
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カタラン数の一般項を求める場面の見所

 結城浩『数学ガール』においては、母関数の閉じた式を「僕」がつくり、それがミルカさんの手によって一般項へとつながっていきます。だけど、ミルカさん自身は別の方法ですでに一般項を求めていました。漸化式からもっていくという方針を途中で変更し、最短経路の問題に帰着させた結果、次のようなシンプルな式を得たのです。

   

 かっこの中の縦に並んだ2nとnの意味は、「2n個のものからn個のものを選ぶ組み合わせの数」つまり 2nCn と同じなのですが、何しろいまは数列の名前にカタラン数の頭文字のCを採用しており、これにコンビネーションのCが混ざると紛らわしくてしょうがないので、かっこの表記方法をとることにします。

 なお、最短経路に対応させる考え方は、「カタラン数」を扱っているWebページの多くに載っているのではないかと思います。面白い話ではありますが、ここでは詳しい説明は割愛して、先に進みます。

 さて、一般項を求めるだけならば、母関数を経由せずに最短経路に帰着させて求めたほうが、考え方もわかりやすいし、見た目もすっきりしています。でも、母関数から苦心して一般項を求めると、最短経路に対応させるのとは違う感動があります。

 私が面白いと思ったのは、最短経路に帰着させて解いたときの組み合わせの階乗の計算と、「母関数の閉じた式→一般項」のプロセスで出てくる微分の計算(次数が階段のように降りていくこと)がつながるところです。

 微分って連続量を扱う作業の代表のような印象があるけれど、次数が階段のように降りていくというのはあらためて考えると不思議です。

 なお、『数学ガール』では第6章で「下降冪階乗」というものが出てきていて、これを使うと何かと便利なのですが、TETRA'S MATH では下降冪階乗の表記を使わずに突っ切ります。

(つづく)
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