TETRA'S MATH

数学と数学教育

8円・9円・10円の関係/整数の分割(5)

 残っている8円分の切手の貼り方は次の10通り。



 これまでの操作から考えて、1円切手と2円切手の両方を使っている貼り方が残っているのはわかるのですが、そのほかにもいくつか残っているのだなぁ、と調べてみてわかりました。何しろ1円切手を使う場合は9円分の切手の貼り方に全部もっていかれているので、8円分を網羅するには数が足りないんでしょう。

 これまでの操作をまとめると、次のようになります。

10円分切手の貼り方のうち、

 1円切手を使っているものは、1円切手をのぞいた部分が9円分の切手の貼り方になる。

◆2円切手を使っているものは、2円切手をのぞいた部分が、「1円切手を使っていない8円分の切手の貼り方」になる。

 1円切手も2円切手も使っていないものは、最小額面の切手を1円切手にばらすことで、「1円切手を使っている8円分の切手の貼り方の一部」になる。

  ↓◆↓でできる貼り方はどれもだぶりがないので、「10円分の切手の貼り方の数は、9円分の切手の貼り方の数と、8円分の切手の貼り方の数の和を超えることはない」ことがわかります。つまり、10円分の切手の貼り方を調べる前に、10円分の切手の貼り方は 22+30=52(通り)以下であることがわかるし、同様に考えて11円分の切手の貼り方は 30+42=72(通り)以下であることがわかります。

 結局のところ、n円分の切手の貼り方を考えることは、自然数nをn以下の整数の和で表したときに(順序は問わない)何通りに表せるか、という問題なわけですが、このような数をnの分割数とよぶようです。記号で書く場合はp(n)とすることが多いようです。partition のpだと思います。

 5円分の切手の貼り方は7通りだから、p(5)=7
 6円分の切手の貼り方は11通りだから、p(6)=11
 7円分の切手の貼り方は15通りだから、p(7)=15
 8円分の切手の貼り方は22通りだから、p(8)=22
 9円分の切手の貼り方は30通りだから、p(9)=30
 10円分の切手の貼り方は42通りだから、p(10)=42
 
 私が分割数に興味をもったのは、結城浩『数学ガール』がきっかけでした。いちばん最後の第10章で分割数が扱われており、前半で分割数の上界をフィボナッチ数列を使って求める方法が示されているのです。この方法を図形を使って感覚的につかみたかったので、切手の貼り方をあれこれ考えてきました。

 切手の貼り方と表現した分割数を正方形の並びで考える考え方はもともとあって、ヤング図形とよばれているようです。なお、結城浩さんの『数学ガール』にはヤング図形は出てきません。整数の分割に興味をもってちょっと勉強してみようかなと思っていたときに、別件で切手の整理を始めて、ちょうどその頃ヤング図形を知ったというのも、なんだか面白いタイミングです。

 では、『数学ガール』の中での、分割数をめぐる<僕><テトラちゃん><ミルカさん>のアプローチの違いをちょっとのぞいてみたいと思います。

(つづく)
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10円分の切手の貼り方/整数の分割(4)

 なぜ、1円切手にばらすと、これまで出てきた貼り方とだぶらないのか?

 ということを考えるために、あともうひとつ10円分の切手の貼り方も調べたいと思います。例のごとく、1円切手を使う貼り方は、9円分の貼り方と同じ30通り。これ以外の貼り方は、次の12通りです。

〔10円分−A〕


 したがって、10円切手の貼り方は全部で42通りとなりそうです。このうち、2円切手を使う貼り方は◆↓ァ↓А↓─↓、、で、2円切手をとりのぞいたピンクの部分は「8円分の切手の貼り方の一部」になっています。

〔10円分−B〕


 どういう意味で「一部」かというと、2円切手をとりのぞいたのだから、切手の最小額面(上図の赤枠)は2円以上になっており、1円切手を使っている場合は含まれていないことになります。また、2円切手をとりのぞけなかった貼り方は、切手の最小額面が3円以上になっているはずです(上図の黄枠)。

 そこで、残った ↓、ぁ↓Α↓の5通りの貼り方を、「1円切手を使った8円分の貼り方」に変形させることを考えます。そのために、いちばん下にある切手をすべて1円切手にばらします。



 ばらした切手は3枚以上あるのだから、ここから2枚をとりのぞくことができます。そうすると、1円切手が必ず1枚は残ることになり、「1円切手を使った8円分の貼り方」(の一部)になります。1円切手を使っているのだから、〔10円分−B〕のピンクと重なることはありません。

 しかし、これで8円分切手の貼り方を網羅したわけではなく、まだ残っています。

(つづく)
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9円分の切手の貼り方/整数の分割(3)

 続けて、9円分の切手の貼り方を考えます。8円分のときと同様に考えると、1円切手を必ず使うような貼り方は、8円分の切手の貼り方と同じく22通りあることがわかります。

 それ以外にどういう貼り方があるかというと、

〔9円分−A〕

の8通りなので、9円分の切手の貼り方は 22+8=30(通り)となりそうです。

 ところで、1円切手を使う場合について考えたので、2円切手を使う場合についても考えたくなります。上記の貼り方のうち、2円切手を使っている貼り方は4通りあり、次のピンクの部分は7円分の切手の貼り方の一部(1円切手を使っていない場合)を表していることになります。

〔9円分−B〕


 残りは ↓、ぁ↓Г4通り。どれも1円切手、2円切手を使っていないので、いちばん下の切手は3円以上。そこで、それぞれの中から2円分の長さをとりのぞいて、7円分切手の貼り方にしてみると、次のようになります。



 このうち、とГ1円切手を使っているので〔9円分−B〕のピンクとだぶるところがありませんが、,蓮9円分−B〕の△汎韻犬砲覆蝓↓い蓮9円分−B〕のイ汎韻犬砲覆辰討靴泙い泙后

 そこで、,硫D弘賈榾瀬織ぅ廚呂垢戮討1円切手にばらして縦長一本棒タイプの貼り方と対応させて考えることにします。さらに、い蓮澆鬚弔韻2円切手を1円切手2枚にばらして形を変えます。この貼り方は、〔9円分−B〕には現れていません。



 なぜ現れてこないのか?

(つづく)
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7円分の切手の貼り方/整数の分割(2)

 同じようにして、1円〜7円切手を使って7円分になる貼り方を考えると、次の15通りになります。
〔7円分〕


 このうち、たとえば〔7円切手1枚〕と〔1円切手7枚〕は合同な形をしているし、〔6円切手1枚+1円切手1枚〕と〔2円切手1枚+1円切手5枚〕も合同です。後者は、切手の組み合わせの数値は関連がなさそうにみえるのに、図形にすると合同になるのが面白いです。☆以外の図形は、すべて合同な相手がいます。

 5円分、6円分の場合も同様に、ある1つの図形をのぞいて合同な相手がいます。合同な図形どうしは、左上の正方形の対角線の延長を軸として反転させた形になっているので、この線について対称な図形☆には合同な相手がいない(自分自身が相手)ことになります。

 ん? 左上から右下のラインについて対称? どこかできいた話だぞ・・・ ああ、あれだ。昨年の冬、ちょっとだけかじったエルミート行列のところで出てきた転置行列だ。でもこれは胸にとめておくだけにして、しばらくはひたすら切手の貼り方を考えていくことにします。

 次は、8円分を考えます。全部描き出すのは大変になってきたので、ちょっとラクをする方法を考えます。8円分の切手を貼るときに、1円切手を必ず使う場合について考えると、残りは7円分なので、7円分の切手の貼り方と同じ数だけ貼り方があることがわかります。つまり、いちばん下に1円切手を貼るような8円分の切手の貼り方は、15通りある、ということになります。下図はそのうちのいくつかの例です。
〔8円分− 
       (黄色い部分が7円分の貼り方)

 これ以外の貼り方は
〔8円分−◆
の7通り。

 というわけで、8円分の切手の貼り方は、全部で15+7=22(通り)となりそうです。

(つづく)
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5円分の切手の貼り方/整数の分割(1)

 たとえば、1円から5円まで1円刻みの切手があるとして、5円分の切手を貼ることを考えます。この架空の切手にはデザインはないので、区別しやすいように横の長さを変えてあります。額面に比例するようになっています。


 切手は、額面の大きいほうから順に貼ることになっています。たとえば、3円切手と2円切手を組み合わせる場合は下図左のようになり、4円切手と1円切手を組み合わせる場合は下図まんなかのようになります。また、1円切手のみの場合は下右図のようになります。


 全部で何通りの切手の貼り方があるかというと、次の7通り。


 同じことを6円分の切手で考えると、次の11通りの貼り方があります。


(つづく)
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