TETRA'S MATH

数学と数学教育

モンティ・ホール問題・01

 私的数学塾さんのベイズの定理のページには、「3つの箱の中から当たりをさがすクイズ」の問題も載っていました。同じような問題を過去にもきいたことがあるので、これは転載ではなく、記憶を頼りに扉バージョンで再現してみます。

 3つの扉のどれか1つに豪華賞品が隠されている。解答者はまずその中の1つを選ぶ。次に、答えを知っている司会者が、残りの2つのうち賞品が隠されていない扉を1つあける。この時点で、解答者は扉を変更するチャンスが与えられるが、扉を変更するのと変更しないのとでは、どちらが賞品のある扉を当てる確率が高くなるか。

 たぶん有名な問題なんだろうとは思っていましたが、「モンティ・ホール問題」あるいは「モンティ・ホールのジレンマ」という名前がついていることを最近知りました。Monty Hall さんがホストを勤めるアメリカのゲームショー「Let's make a deal」に由来する問題なので、こう呼ばれているようです。

 さて、「モンティ・ホール」で検索をかけると、実に様々、いろんなページがひっかかってきます。みなさん手をかえ品をかえ言葉を尽くし、「扉を変更したほうが当たる確率が高くなる」ことを説明してくれています。

 私自身、どうするかと考えてみたとき、もしこの問題のことを知らなかったら、扉を変更しないだろうと思います(あるいは、司会者の微妙な表情などを読み取ろうとするかもしれない)。なぜかというと、変更せずにはずれたらあきらめがつくけれど、変更してはずれたらとても悔しいような気がするからです(負けず嫌いなのか!?)。最初の自分の勘を信じたい、という発想かもしれません。

 だけど、この問題のことを知ったいまとなっては、確かに変更したほうがよさそうだと納得したので、きっと変更すると思います。納得したというのは、感覚的に納得したということで、理論的にはまだぼんやりしています。感覚的に納得しやすくするためには、司会者の立場にたって何度かシミュレーションをしてみるのがいちばんだと思いました。

 解答者が最初に当たりの扉を選ぶ確率は 1/3 ですが、この場合は司会者は残りの2つのどちらを開けるのか自分で決めなければなりません。だけど、解答者がはずれの扉を選んでくれれば、あとは自動的に開ける扉が決まってきます。そして、はずれの扉を開く確率は当たりの扉を開く確率の2倍なので、どちらの扉を開けるのか自分で決める場合よりも、自動的に開ける扉が決まる場合のほうがだいぶ多いという感覚が得られます。自動的に開ける扉が決まる場合というのは、残りの1つが当たっている場合なので、解答者は扉を変更したほうがいいということが感覚的に納得できます。

 で、この問題に対して「理論的な矛盾は指摘できないが、感覚的に納得できない」という人もいるでしょうし、「感覚的には納得できるが理論的に説明されるとだまされた気がしてくる」あるいは「説明できない」という人もいるのではないかと思います。私は後者です。

 たとえばこんな説明があったとします。解答者が最初に当てる確率は 1/3 だから、「扉を変更せずに当てる確率」は 1/3 であり、最初にはずれる確率は 2/3 だから、「扉を変更して当てる確率」は 2/3 である。とてもシンプルで納得しやすいようにも思えるのですが、なんとなぁく「ちょっとまてよ」という気持ちになってしまうのです。

 それから、問題の形を変えての解説もいろいろあるようです。扉を10個にしてみる、あるいは100個にしてみるとか、「三囚人問題」をはじめとして同じ構造をもつ他の問題に置き換えて考えてみるとか。これはこれで問題の核心部分を浮き彫りにするためにはいい方法だろうと思うのですが、できればまずは「モンティ・ホール問題」そのものをダイレクトに理解する努力をしてみたいです。

 というわけで、あれこれ考えてみることにしました。

(つづく)

 

〔2018年2月12日メモ:モンティ・ホール問題の続きの記事は削除しました。このエントリは連絡用として残しています。〕

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ベイズの定理・03

 もう1問、ベイズの定理を使って解く問題を練習したいと思います。同じく私的数学塾さんのベイズの定理のページから、次の問題をお借りします。

http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/probability/bayes.htm

 日本では、ある疾病Mに罹患している割合は、千分の50と推定されている。この疾病に罹患しているかどうかを知る検査Tは不完全で、Mに罹患している人は、80%の割合で陽性反応が出るが、Mに罹患していない人でも 15%の割合で陽性反応が出てしまう。いま、ある人がこの検査を受けて、陽性反応が出た。果たして、この人が疾病Mに罹患している割合は如何ほどになるであろうか?

 まず、検査をしない状態で、Mに罹患している確率をP(M)、罹患していない確率をP(M')と表すことにすると、

   

となります。次に、検査Tで陽性が出る確率をP(E)とすると、罹患している人の80%と罹患していない人の15%が陽性反応が出るので、

   

という結果が出ます。よって、ベイズの定理により、検査Tで陽性反応が出て、疾病Mに罹患している確率は次のように求まります。

   

 陽性が出ても2割強しか罹患している可能性がない検査というのは、あまり意味がなさそうです。がしかし、たとえば、「陽性が出たけど自分は罹患していないと信じたい」人がいて、「だけど罹患していなくて陽性が出る確率は15%しかないんだよなぁ・・・」という感覚があるのに、実際、陽性が出てみたら、実は罹患していない確率が80%近くあるというのがなんとも不思議な話です。

 でも、確率による出生前診断の話にもどって考えると、20%という確率は 1/5 であり、これはとても高い確率、ほとんど確定的とも思える確率だと思います。当時、トリプルマーカー検査で検索するなかで、いろんな妊婦さんの体験談を読みましたが、その中には「1/4」という結果が出た妊婦さんの記事もありました。検査結果をきいて愕然としたときの様子が綴られていました。1/4 といえば25%で、起こらない確率のほうが起こる確率の3倍もあるわけですが、愕然とした妊婦さんの気持ちはよくわかります。確率に対する感じ方、考え方というのは、しみじみ不思議で、難しいなぁと思います。

〔2017年11月27日追記〕記事の一部を変更しました。

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ベイズの定理・02

 「ベイズの定理・01」で示した次の問題↓

「5回に1回の割合で帽子を忘れるくせのあるK君が、正月にA、B、C3軒を順に年始回りをして家に帰ったとき、帽子を忘れてきたことに気がついた。2軒目の家Bに忘れてきた確率を求めよ。」

を、もしベイズの定理を知らなかったらどう解いていたろう?と考えてみるものの、いったん1つの解き方を知ってしまうとなかなかまっさらな状態にはもどれないもので、何を考えても後付になってしまいそうなんですが、あえてこじつけるならば、

 「帽子を忘れた」ことは確定したので、
 「帽子を忘れる」確率が「1」に変わり、
 それに対する「家Bで忘れた」確率を求めることから、
 「家Bで忘れた確率」÷「帽子を忘れる確率」
 という計算をする…

と考えるとなんとなく納得できるような気もしてきます。帽子を忘れないという可能性がなくなってしまったことにより、「家Bで帽子を忘れる確率」は高くなり、そして家A・B・Cで忘れる確率の比率は変わらない、ということも、感覚的に納得できます。

 <年始回りに行く前>

     家Aで忘れる確率・・・20%
     家Bで忘れる確率・・・16%
     家Cで忘れる確率・・・12.8%
     忘れない確率・・・51.2%

 <年始回りに行った後>・・・帽子を忘れたことが確定

     家Aで忘れた確率・・・約41%
     家Bで忘れた確率・・・約32.8%
     家Cで忘れた確率・・・約26.2%
 
 なお、ベイズの定理においては、年始回りに行く前の「家Bで忘れる確率」のことを事前確率、年始回りに行った後、帽子を忘れたことが確定した上での「家Bで忘れた確率」のことを事後確率というそうです。

(つづく)

〔2017年11月27日追記〕内容の一部を変更しました。

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ベイズの定理・01

 マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を経由して、ベイズの定理に興味をもちました。

 ベイズの定理というのは、記号で表すと、次のようになるそうです。
 
 「Aが起こったあと、Bが起こる確率」をP(B|A)とすると、

     

 最初に面白いと思ったのは、私的数学塾さんのベイズの定理のページにのっている「早稲田大学の入試問題」です。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/probability/bayes.htm

「5回に1回の割合で帽子を忘れるくせのあるK君が、正月にA、B、C3軒を順に年始回りをして家に帰ったとき、帽子を忘れてきたことに気がついた。2軒目の家Bに忘れてきた確率を求めよ。」
「帽子を忘れたこと」に現在気づき、その原因となる過去の事実「Bで忘れたこと」の確率を問うもので、当時は、とてもセンセーショナルな問題であった。

 もしこれが、年始回りの前で「家Bに帽子を忘れる確率を求めよ」であれば、Aで忘れずにBで忘れる確率ということで、4/5 × 1/5 =4/25 とすればよいのでしょう。

 でも、この問題においては、すでに年始回りは終わっており、そして帽子を忘れてきたという事実があります。そのうえで家Bに忘れてきた確率を求めなくてはなりません。

 まず、家A、B、Cのどこかで帽子を忘れる確率を求めると、

   

となります。あるいは、次のように求めてもいいでしょうか。

   

 よって、帽子を忘れる事象をEで表すと、P(E)、P(E∩B)は次のようになります。

   

 いま求めなければいけないのは、帽子を忘れた(E)ことが起こったうえでの、家Bで忘れた(B)確率なので、ベイズの定理にあてはめると、次のように答えが求まるらしいのです。

   

(つづく)

〔2017年11月27日追記〕記事の内容を一部変更しました
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