TETRA'S MATH

数学と数学教育

フーリエ級数を複素数へ

 フーリエ級数を一度考えておくことにしました。

 実は「フーリエ級数(解析)」という言葉が、今年の夏からずっと頭の隅っこにあったのです。今年の夏にきいたある対談で、数学が世の中の役に立っている一例として、「(医療の)MRIなどにもフーリエ解析が利用されている」という話をきいたのが妙に印象的だったので。だけどなんだか難しそうで、ずっとあとまわしにしていました。

 フーリエ級数というのは、簡単にいうと、「同じ形で繰り返される波は、複雑なものであっても、単純な波の和になっている(任意の周期関数は三角関数の和で表される)」ということなのだと思います。

 でも、フーリエ級数の例としては、直線だけの方形波(矩形波)が例に出されることが多く、「複雑なものであっても…」ときいたあとに方形波を見るとイメージが違ってしまいます。私は最初、この方形波で逆にわからなくなりました。だけど、だいたいの意味を知るには複雑な波から入ってもらったほうがわかりやすいし、そのあとで方形波を見せられると「こんな直線だけで構成された波もサイン波とコサイン波の組み合わせで表せてしまうのか〜」と感動することができます(ただし収束はかなり遅いらしい)。

 フーリエ級数についてはこちらのページなどが画像もあってわかりやすいです。

 式にはいろんな形があるもよう。とりあえず、「単純な波の和」ということが目に見えて、それ以外についてはあまり深く考えないですませられそうだということで、下の式を採用。(kxのところが微妙だけれど、いまは深く考えないことにして…)

   

 ほどいて書くと、



 こんな感じでしょうか。

 これを複素数の世界に広げたいのです。で、オイラーの公式は指数関数を三角関数で表したものだけれど、逆に三角関数を指数関数で表すこともできるので、準備をしておくと、



 分母に i があるのはなんとなく気になるので、水色のように変形しておきます。これをフーリエ級数の式のΣよりあとの部分に代入すると、次のようになります。



 ピンクのところと黄色のところに分かれてしまっているのを1つの形で表せないかということで、新しくckという複素数を考えることにして、次のようにak、bkを使ってckを定義します。

   

 そうすることによって、フーリエ級数の式は次のように書き換えられるらしいのです。

     

 kの範囲が 0→∞ から −∞→∞ に変わっているのがミソのようです。

 そんなことしていいのかどうか上の式をほどいて考えてみると、負の数まで範囲を広げたことで、ピンクの部分と黄色の部分と、それから緑の部分が確かに現れてくると確認できます。



 こんな理解でいいんでしょうか。いけないとしてもいまはこれがせいいっぱい。
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オイラーの関係式

 テイラー展開についてのイメージが少しつかめてきたところで、e^x、sin x、cos x の級数展開をみてみます。

   

 この3つの式を知っていれば、かの有名なオイラーの関係式

     
が導けるそうなので、やってみます。

 e^x の展開式で、x=iθを代入して、

   

 i^2=−1 を計算すると、

   

 この式をよく見ると、黄色の部分は cos θ の級数展開の各項と同じになっており、ピンクの部分は sin θ の級数展開の各項に i をかけた形になっています。

   

 そこで、この式を整理して、



 オイラーの関係式が得られました。

 ちなみに θ=π のとき、

    

オイラーの公式になります。プロセスを何も知らないときには、e と i と π が組み合わさってこんなシンプルな式になるなんて確かに神秘的だ〜と思っていたけれど、上記のような流れをみると、なんとなく、当たり前とまではいわないけれど、「そういうことってあるかもしれないなぁ」と感じられるのでした。
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テイラー展開・02

 考えてみれば、ごく簡単なテイラー展開の例がすでに出ていました。「複素数平面での解析」の次の式です。

   

 前に出したときには右辺から左辺を導いたわけですが、左辺を1つの関数の式ととらえてテイラー展開すれば、右辺が得られます。(すでにみてきたように −1<x<1 のときだけ)

 実際の計算と難しいことを全部すっとばして、テイラー展開を目で見て感じるために、グラフを考えます。(なお、『素数に憑かれた人たち』にはテイラー展開の説明はありません。ここで書いていることは自分で勝手に考えたことなので、間違っているというか、的外れなことをしているかもしれません。)

 まず、y=1/(1−x) のグラフを黒い太線で示すと、次のようになります。

   

 この関数は、−1<x<1 の範囲、特にx=0の付近では、1+x+x^2+x^3+x^4+x^5+… という無限級数で表せるわけですが、xの絶対値が1より小さいときにはxの累乗はどんどん小さくなっていって、特に後ろのほうはほとんど考えないでもいいくらい小さくなるので、後半部分は省略してもあまり影響がなさそうです。

 で、下図の紺色の横線はy=1の直線ですが、これで近似させるにはあまりにも乱暴なので、次の4つのグラフを考えます。

   y=1+x
  ◆y=1+x+x^2  
   y=1+x+x^2+x^3
  ぁy=1+x+x^2+x^3+x^4

   

 −1<x<1 の中央部分ではすべてのグラフが寄り添うように束になっています。つまるところ、これがテイラー展開のありがたさなのだと思います(と私は理解しているのですが、何しろ超初心者なのでへんちくりんなことをやっているかもしれません)。何次式で近似させるかは、そのときどきなのでしょう。1次とか2次とか、そのあたりで近似させることが多いのでしょうか。

 テイラー展開としては上記の級数(幾何級数)よりも三角関数についての式がよく例に出されるようです。たとえば、GRAPESのサイトにある「利用例」の「テイラー級数」では、y=sin x の近似のグラフが示されています。

 それから、こちらのページでは、しもまっち先生の「部分積分とテーラー展開」のお話があります。

 そういえば、「円周率と無限級数」で出したグレゴリー級数も、テイラー展開で得られる公式でした。ただし、インドのマーダヴァ派が発見したときにはまだテイラー展開というのはなかった(そもそも微分積分がなかったと思う)ので、違う方法でこの無限級数を得たのでしょう。

 一応、テイラー展開を示しておきたいと思います。

〔関数f(x) の x=a におけるテイラー級数〕


 なお、特に a=0 の場合をマクローリン展開とよぶようです。

(つづく)
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テイラー展開・01

 『素数に憑かれた人たち』は2部に分かれており、前半は「素数定理」、後半は「リーマン予想」という構成になっています。これまで見てきたのは、「素数定理」についてだけで、まだリーマン予想の「リ」の字にも触れていないことになります。

 前半はやっとの思いでなんとか読むことができましたが、後半に入ったとたん、読むスピードがぐんと落ちてしまいました。それまでは「ここはよくわからないけれど、まあ、そういうことだとして…」という感じで先へ進めましたが、「リーマン予想」の話が始まるとそれではすまされない感じがするのです。

 まず何をしないといけないかというと、ゼータ関数の定義域を複素数にまで広げなければならないのです。で、ここまできて今さらなんなんですが、やはり一度テイラー展開のことをある程度勉強しておこうという気になってきました。

 一応、高校の教科書や問題集をのぞいてみました。「テイラー展開」という言葉はありませんが、数学靴痢嵌分の応用」の「近似式」のところで、それに近いものを発見しました。問題集のほうは1次と2次の近似式が載っています。また、GRAPESのサイトの「利用例」でいちばん最初に「テイラー級数」が出されているところをみると、ひょっとしたら高校数学で「テイラー展開」という名前つきでわりと普通に教えられているものなのかもしれません(私は教わった記憶がありませんが)。

 で、高校の教科書と問題集をのぞいた次にすることといえば、インターネットの検索です。最初にわかりやすいと思ったのはGoogleで2番目に出てくるこちらです。工学系の大学の先生のページのようです。期末試験でテイラー展開が壊滅的だったことを受けて作られたもので、「これでわからんかったらもう知らん」というようなノリで(?)書かれてあるので、確かにわかりやすいです。特に最初のページなど。

 それ以外にも、いくつかのサイトを参考にさせていただきながら、テイラー展開のだいたいのイメージをつかもうと努力中です。

 テイラー展開というのは、ごく簡単にいうと、ある関数を(テイラーの定理を使って)無限級数の形に表す作業のことなのだと思います。その無限級数とは、累乗を含む多項式の和になっています。

 そうすることで何がいいかというと、難しい式の関数が簡単な式で表せたり、無限級数を有限でとめて計算することによって、その関数の値の近似値が得られたりできるところなのだと思います。

(つづく)
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バーゼル問題

 1+1/2+1/4+1/8+1/16+…… は収束
 1+1/2+1/3+1/4+1/5+…… は発散

 では次の無限級数はどうなるのか?

   

 加えていく分数が、公比1/2の等比級数の場合よりもどんどん小さくなっていくので、収束しそうです。では、その値は?

 というのが「バーゼル問題」とよばれるものなんだそうです。なぜこの名前がついたのかというと、バーゼル大学教授だったヤコブ・ベルヌーイが数学の世界に広く知らしめたからなんだそうです(参考ページ)。

 これも収束がおそいらしく、最初の数項ではほとんど意味がなさそうですが、とりあえず計算してみます。

   

(やっぱり意味がありませんでした。1.644あたりに収束することになっているのですが……)

 で、これを解いたのが、オイラー。

 収束値は

     

なんだそうです。これはちょっと驚きです。パイを2乗するなんて反則だ〜と言いたい気持ちもなきにしもあらずですが、それよりも何よりも求めちゃったのがすごいし、パイが出てくるのがすごいです。(パイをカタカナで書くことに意味はないのですが、このフォントだとホッチキスの針のようになってしまうので…。こんな感じなのです。→π)

 少し話はかわりますが、無限級数のことを考えるようになって「そういえば高校数学ではどんな無限級数をやっているのだろう?」と手元の数学靴龍飢塀颪鮓たりなんかしていたのですが、自分が高校時代に使っていた問題集をのぞいてみたら、バーゼル級数(という名前は出ていないけれど)が例題に載っていました。

「(改訂版)チャート式 基礎からの数学掘廖平研出版・昭和58年)p37より。

〔例題〕 単調に増加する数列で、各項が一定の数kを超えないときは、この数列は収束する(定理).この定理を用いて、無限級数

   

は収束することを示せ。

 ここでは、部分和の極限を考えて、問題で示された定理と「はさみうちの原理」を使って収束を示す例題となっており、最後のほうで「このページの方法では、収束するとわかっても和Sを求めることはできない。」とコメントされています。なお、こちらのページではベルヌーイによる収束の証明が示されています。

 オイラーはそのほかにも、下記のようにパイにかかわる級数展開式をたくさん発見しているそうです。

   

 そうして話はゼータ関数へとうつっていくのでした。


[参考ページ]
 Ikuro's Home Pageオイラーとゼータ関数
  ↑
 当然いきつく“ふるさとサイト”(

★★★ バーゼル問題に興味のある方は、結城浩『数学ガール』を読みながら考えた一連のことも読んでいただけるとうれしいです ★★★
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円周率と無限級数

 となると、今度は円周率と無限級数のことが気になってきます。

 まず、有名なものとして、次の級数があるようです。グレゴリー級数に x=1 を代入したもので、ライプニッツも発見しているし、それより前にインドのマーダヴァ派?も発見しているようなので、マーダヴァ・グレゴリー・ライプニッツ級数とよぶのがより正確なのでしょうか。

     

 この級数は収束がおそくて、実用には向いていないそうです。かなりおそいらしいので、最初の数項とってみてもほとんど意味はなさそうですが、一応、やってみます。

   

 とりあえず、3.14…に近づいていくということだけはわかりました。 

 グレゴリー級数というのはarctan(x)をテイラー展開して得られるものだそうです。そう言われてもなんのことやらですが、とりあえず示しておくと、次のようになります。

   

 これにx=1を代入すると、いちばん上の式が得られます。

 なんのことやらではあっても、π/4→アークタンジェント→級数展開することでπを計算しよう、という発想は(わからないなりにも)とても納得できるというか、頭いいなぁ、と思えるのでした。でも、実際にこれで計算しようとすると大変みたいです。

 円周率は無理数なので小数に表しても循環小数にならないし、連分数展開しても規則性は浮かびあがってこないし、円周率になんらかの規則が見出される表現方法はないのか?という発想で無限級数をみてみましたが、上記の級数は「円周率にも規則性がある」という話ではなくて、円周率を求める方法からおのずと規則性のようなものが見えてしまうにすぎないのでしょう。そうはいっても、こんなシンプルな式の収束でπが得られるというのは、不思議といえば不思議だし、面白いです。

[参考URL]
 http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~ooura/pi04.pdf
 http://hp.vector.co.jp/authors/VA014765/pi/arctan.html
 http://mathmuse.sci.ibaraki.ac.jp/chie/index4.htm
 http://www.educ.tamagawa.ac.jp/mmrs/Circle/sincos.htm
 http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/lipniz1.htm
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無限級数と分数

 2週間あまり「古代エジプトの分数」を考えながら単位分数の和をながめていたら、無限級数のことが気になり始めました。一口に無限級数といってもいろいろな形があることでしょうが、単位分数からの連想なので、シンプルな単位分数の和で表される無限級数について考えてみることにしました。まずは無限等比級数です。

 たとえば、初項1/2、公比1/2 の無限等比級数は次のように表されます。

   

 第1項まで、第2項まで、第3項まで、……というふうに和をとってみると、次のようになります。

   

 つまり、第n項までの和は、分母が 2^n 、分子が 2^n−1 の分数になるわけですが、これをずっと続けていくと、どんどん1に近づいていくことがわかります。すなわち、この無限等比級数は1に収束します。このことを視覚的に表現したいとき、下のような面積1の正方形がよく使われるのではないかと思います。

   

 その他の場合、公比が 1/3 のときや 1/4 については、次のページできれいに視覚的に表現されています。初項も公比も 1/3 ならば、和は 1/2 に収束し、初項も公比も 1/4 ならば、和は 1/3 に収束します。

 数学のいずみ無限等比級数を見る

 公比の絶対値が1未満であれば、その無限等比級数は必ず収束するわけですが、不思議といえば不思議だし、自然といえば自然のように思えます。公比が1より大きい等比級数は「成長」というイメージがあり、公比が1より小さい等比級数はその成長を逆から眺めている感じがします。だから、収束しないとおさまりがつかないというか、空間の中で形づくられないというか…(巻貝などを連想しています)。公比が1より大きいのであれば発散、というのは納得しやすいです。

 となると気になってくるのが調和級数です。

   

 これが発散することについては次のような証明があるようです。

   
 
 どんどん小さくなる単位分数を加えていくという意味では、1+1/2+1/4+… と同じですが、かたや発散、かたや収束、というのは、あらためて考えると不思議です。
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