TETRA'S MATH

数学と数学教育

円周率と連分数

 「連分数と互除法・02」では、√2を連分数で表現しました。このように連分数で表現してみると、小数で表すときには見出されない規則性が浮かんできて、なんとも不思議です。と言いつつ、「√2や√3であれば規則性があっても不思議じゃないかもな……」と思う気持ちもあるのでした。

 さて、じゃあ円周率はどうなんだろう?という疑問がわいてきます。

 こちらのページには、互除法を使って円周率を近似的に表した分数 22/7 を導く方法が載っているので、私もちょっと計算してみました。

 まず、3.14を使って。

   

 次は、3.14159……から、四捨五入して3.1416を使ってみます。

   

 22/7 も 355/113 も、円周率の近似値を表す分数表現としては有名なものだと思いますが、それがこうして連分数から導けるというのはなかなか楽しいです。

 もっと桁数をふやして円周率を連分数で表してみても、どうやら規則性は見つからないようです。こちらのページでは円周率を連分数展開したときの数が10000個も示されています。また、こちらのページでは円周率と乱数度のことが書かれてあります。
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連分数と互除法・02

 さて、無理数です。


 a=√2、b=1 の場合について考えてみます。


 まず、a を b でわります。

 a=b+c で、c=√2−1 です。

 連分数と互除法・01と同じように式変形をすると、次のようになります。
 ・・・


 次に、b を c でわります。先に計算をしておくと・・・・・
・・・
 よって、cが2つとれることがわかります。


 b=2c+d で、d=3−2√2 です。

 ,豊△鯊綟して、


 ここですでにわかるように、√2/1 を連分数で表そうとするときに出てくる分数の分母はつねに √2−1 なので、このあとも 1/(√2−1)=2+(√2−1) を次々に代入していけばよいことになります。よって「単位のいくつ分かを表す数値の整数部分」はつねに2であり、√2は次のような連分数で表せることがわかります。



 一応、c と d の関係についても、確認しておくと…

 b/c と一致しました。このあとの計算に出てくるあまり(=その時々の新しい「単位」)を順に e、f、g、・・・とすると、b/c=c/d=d/e=e/f=・・・となります。

※ ということを、√2:1の長方形を使ってきれいに説明してあるページがあったのですが、リンク切れか、私がURLを間違ったかで、わからなくなってしまいました。(2011.10.15追記)
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連分数と互除法・01

 分数と互除法・02では、連続量から分数が生まれてくる様子をみていきました。じゃあ、無理数の場合はどうなるんだろう?という疑問がわいてきます。せっかく連続量で考えているんだから、無理数の場合も考えたくなるというもの。

 そしてハタと気づいたこと。そうだ、連分数だ。連分数のことを考えなくちゃ。

 まずは有理数を(正則)連分数で表すことを互除法を使って考えてみることにしました。



 a を b でわったときのあまり(黄色部分)を c とすると、上記のような式ができるので、両辺を b でわってみると、
 

 今度は b を c でわるのだから、c/b を変形して、
 


 そして b を c でわります。

 あまり(緑部分)を d とすると、上記のような式ができるので、両辺を c でわって、
 

 これを,紡綟して、
 

 d/c を変形して、
 ・・・


 最後に、c を d でわります。
 
 これを△紡綟して、
 

 半端な部分がなくなるので右辺から文字が消えました。ここで終わりです。

 正則連分数の形にするには、計算途中で分数が出てきたときに、分母と分子をそれぞれ分子でわって、分子が1になるようにすればよいわけですが、そうすることで分母と分子が入れ替わった分数が現れてきます。この「分子と分母を入れ替える」というのが、まさに「はかる側」と「はかられる側」の逆転を示していて、互除法の性質をよくあらわしているなぁ、と思うのでした。

 なお、途中で出てきたその時々の「単位」のいくつ分かを表す数値が、連分数のなかにどう残っていくのかを枠の色で表してみると、次のようになります。


(つづく)
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分数と互除法・02

 分数について、2段階で終わるもの(○+1/○の形になるもの)はわかりました。じゃあ、2段階で終わらないものはどうなるのだろう?



 a は b の2つ分で、c だけあまりました。



 b は c の2つ分で、d だけあまりました。



 今度は、c を d ではかると、ちょうど2つ分になりました。



 つまり、b は d の 2×2+1=5(つ分)だから、c=2/5b

 したがって、a=(2+2/5)b

 これでいいのかな……?

 
 けっきょく互除法というのは、2つの棒のそれぞれの長さを“いくつ分”としてちょうどはかりきることのできる共通の「単位」をさがす作業であり、この「単位」というのはまさに(整数でいうところの)最大公約数なのだなぁ、と思いました。なるほど、G.C.M.(Greatest Common Measure)「最大共通尺度」の意味もよくわかります。

 そして、上記の例でいえば d が「単位」になり、a は d の 5×2+2=12(こ分)、b は d の5こ分で、12:5 → 12/5
 ということは、互除法で得られる分数は、比の分数、関係としての分数ということになりそうです。

 互除法から生まれる分数の場合、a を b ではかったかと思えば、今度は a の一部 c で b をはかり、そのあまり d でまた c をはかる…というように、a も b も立場は同じで、どちらが主導権をもっているというわけではなく、お互いに「はかる」「はかられる」の立場を変えながら、最終的には、a と b を共通にはかれる単位をさがしています。だから、a は b の 12/5 だし、b は a の 5/12 というふうに、ひっくりかえしてみても違和感がありません。1958年の指導要領のことが思い出されます()。

 と考えると、量分数(分割分数)は、小数に近いということなのかな?

 森毅著『数の現象学』によれば、中国分数は小数的であり、等分割によって得られた新しい「小単位」でモノサシの刻みをつくっていくという発想のもとにあるようです。このような分数のよさは加減との相性のよさにある、とも書かれています。

 さて、では日本はといえば、中国と同じく小数文化圏なのだから、分割分数が発展していてよさそうなものですが、江戸時代までは存在していなかったようです。でも、小数があるのだから、わざわざ分割分数を使う必要もなく、小数でつっきったのかもしれません。というわけで、日本は完全な小数文化圏ということになるのでしょう。(

 『量とはなにか−機戮砲いての「分数が生まれるまで」は「連続量から分数が生まれることを論理的に示したもの」とされていますが、互除法ときくとやはり整数のことを思い出します。実際、棒の長さをおはじきの個数にかえても、分数の場合はそのまま素直に話が成り立ちます。これに比べて小数のほうはおはじきの個数では同じ作業ができないというか考えにくいので、小数は連続量向きだなぁ、とも思えてきます。(あるいは、分離量でも対応できる小数的分数が、中国分数と考えることもできそうです。)

 がしかし、分数、小数の発生の仕組みをともに連続量で考えることで、分数と小数の起源の違い(「はかる側」と「はかられる側」の関係)がより明確になるなぁ、と思いました。この場合、棒の長さが「未測量」であることがミソなのでしょう。たとえば12個のおはじきと5個のおはじき(あるいは24個のおはじきと10個のおはじき)のように、最初から個数がわかっているものの関係・比を表すのではなく、長さが数値では表されていない「同種の2つの量の比較」から分数が生まれてくる様子を示しているところに意味があるのだと思いました。
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分数と互除法・01

 遠山啓の『量とはなにか−機戮法◆嵎数が生まれてくるまで」という項目があります。分数の発生の歴史を述べるものではなく、連続量から分数や小数がどうやってでてくるかを論理的に示したものです。ちょっと面白いので、自分で図をかいて考えてみました。



 たとえば、ある長さの棒a(赤)を、ほかの単位の長さの棒b(青)ではかる手順を考えます。



 aはbの2つ分より長く、3つ分より短くて、黄色い枠が半端な部分として残りました。



 そこで今度は、bを黄色い枠ではかってみたら、ちょうど5つ分になりました。

 つまり、黄色い枠はbの5分の1です。

 したがって、a=(2+1/5)bとなります。



 これに対して小数の考え方は、bでちょうどはかれなかったので、bを10等分した長さ(水色の枠)をつくろうというものです。



 aの半端部分を水色の枠ではかると、2つ分になりました。
 
 よって a=2.2b となります。

 小数の場合、あくまでもbをモノサシとして考えていこう、という態度で通しています。

(つづく)
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