TETRA'S MATH

数学と数学教育

久しぶりに思い出した牛乳の三角パックのことと、最近知ったペンタドロンの話

 きのうのエントリのなかで、むかしのホームページTetra’sのなかの記事をいくつかリンクしたので、 久しぶりに牛乳の三角パックのことなどを思い出しています。いやぁ、あれは第2の青春だったなぁ・・・なんか腹立てながらも楽しそうだな、当時の私・・・(^^; 

 牛乳の三角パックにこだわることになった経緯は、「世の中ってけっこういい加減なんだなー」ということを痛感したできごとでした。大学がからんでいても、国立の機関がからんでいても、自分のところの製品が扱われている当の企業がからんでも、みんな間違い(?)に気づかない。あるいは、気づいていても、別にどうでもよかったのかもしれない。どうして「本物の」三角パックで考察しないんだろう、たくさんの人が関わっているのに、なぜ、だれも違和感を感じないのだろう・・・・・・私にはそれが不思議でしかたなかったのです。私なりに小さなアクションも起こしたのすが(って手紙書いただけだけど)、素人の与太話で流されたのでしょうねぇ・・・

 そこにある間違いは数学的なものではないから、ある意味彼らにとって「間違い」ではなく、そして、大した問題ではないのかもしれません。でも、それが「間違い」ですらないのなら、そこには何もないでしょう。何がイヤって、「こんなところに数学が!」という、その能天気さ・おめでたさが耐えらなかった。それは、ものを作る人に対しても、数学に対しても、大変失礼なことだと思う。また、私ひとりだけ立体感覚が異常なのだろうか??という不安もありました。

・・・って、書いているとまただんだん腹が立ってきちゃうので、話題変更〜

 そうそう! 上記の記事URLを雑誌にとりあげてくださった方がいらしたのですよ! 武田徹さん。『Goods Press』2000年10月号で。「産業の礎(いしずえ)を行く 日本文化と経済を支える素材の世界」というシリーズの「紙編」において。うれしかった。このときの『Goods Press』はいまでも保管しています。

 さて、話は現在にうつり。

 紙といえば、わが家は現在、新聞をとっていません。世の中の出来事を知る手段は、朝のテレビかたまに読むネットのニュース。何しろほとんど読まないうちに「新聞紙」と化していき、たまっていくからです。ところが、小学校生活でたま〜に「新聞紙」が必要になります。お習字があるときなど。そういうときにはコンビニに買いに行くのです、新聞“紙”を。

 最近でいえば4月30日の朝日新聞を買いました。せっかくなのでたまには読んでみようと読んでいたら、月・木掲載の「科学」のコーナーで、「立体の「もと」大発見」という記事を発見。「平行多面体は元素数1である」という見出しもついています。 あらまあ、秋山仁さんのほか、佐藤郁郎さんと中川宏さんもお名前が出てくるじゃないですか。

これでございます↓
http://www.asahi.com/science/intro/
TKY201204290189.html


こっちのほうが先まで読めるし、正多面体の元素も見られる↓
https://aspara.asahi.com/blog/science/
entry/QNWgQ5kgcZ

(あ、正多面体の元素のうちαは持ってるかも・・・)

ペンタドロンについてはIkuro's Home Pageに記事あり↓
http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/
koramu/1662_g7.htm

http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/
koramu/1033_p.htm


 空間充填、なつかしいです。でも最終的に私にとっては、テトラポッドの“隙間”のほうが魅力的だったんだよなぁ・・・

 とにもかくにも、1年に数回しか買わない新聞でこういう記事に出会うのが自分でも可笑しかったです。次に新聞“紙”を買うときには、どんな話題に出会うのだろう? 楽しみだ(^^)
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すす竹のお箸とバルサ材角棒の多面体たち

 以前、多面体のことでメールをいただいていた方から、ブログ開設のご案内が届きました!

「多面体」
http://luckylife.sakura.ne.jp/polyhedron/

 すす竹やバルサ材などの角棒を使って、稜線で構成された多面体を製作しておられます。地に足がついた感じの、落ち着いたオトナの多面体です。(^^)

 不器用な私としては、頂点のところの角度を正確に切り出す作業を想像するだけで、頭がくらくらしそうです(^^;。逆にいえば、それがこの多面体製作の醍醐味なのかもしれませんねぇ!

 右サイドに川村みゆきさんの『多面体の折り紙』と佐藤郁郎さん、中川宏さんの『多面体木工』の書影が見えます。なおこのブログ TETRA’S MATH の最初のエントリは、『多面体木工』に関する話題でした>0102030405。川村みゆきさんは“面”によって、中川宏さんは切り出す“カタマリ”として多面体をとらえ表現されているわけですが、坂井さんはこれに対して稜線つまり“辺”によって多面体を表現しておられます。しかも、針金や竹ひごやストローなどではなく、角材、つまり太さのある辺です。

 そうなると思い出すのが榎本和子さん。この方のデューラーの八面体についての作品の写真集があればいいのになぁ、と思いつつ検索していたら、こんなサイトを発見しました。→佐谷和彦の仕事場カタログリスト5

 ちなみに私の手元にあるカタログでは、大岡信さんの文章の中で遠山啓の名前がちろっと出てきます。

 あのとき出品されていた榎本和子さんの立体作品は、カタマリとしての表現が「御影石」と「クリスタル・グラス」、固定された辺としての表現が「鉄の棒」、固定されていない辺としての表現(「トポロジックな8面体」と名づけられている)がプラスチック管または透明塩ビ管と紐と球、そして入れ子構造モデルが塩ビやアクリルで作られていました。

 なお、この入れ子構造に実は微細なズレがあったことについて、Ikuro's Home Pageに関連記事があります。>■n角の穴をあけるドリル(その45)
(みやじ先生、びっくりしましたよ〜〜 お大事になさってください〜〜!!)

 私は、この展覧会を観に行ったころはまだ「質料」という言葉を知らなかったし、知ったあととなってもそれほど意識はしていなかったのですが、さすがにこの言葉が気になるようになってきたきょうこのごろです。ただ、「質料」という言葉のままでは考えられない感覚がまだあって、かといって郡司さんのようにマテリアルと言うのもちょっと違う感じがするし、なんなんでしょうね、単純に、材料、素材でいいのかな。

 テトラパックの紙消波ブロックのコンクリート黒田俊郎先生の砂マギーニャ先生の糸松崎雅夫先生の糸内村光弘の紙牛腸茂雄の水、・・・

 そういえばだいぶ前に、娘が「テレビで見た」といって面白いテスト(?)をしてくれましたっけ。私なりに翻訳するとこんな感じ→「木目調の円柱があり、ペンキがぬられた円柱Aと、木目調の円錐Bがあります。木目調の円柱の仲間は、AとBのどちらでしょうか?」 私はBと答えました。オチはなにかというと、この質問にAと答えた人は西洋的発想、Bと答えた人は東洋的発想なのだそうです。つまり、形を意識するのが西洋的、材質を意識するのが東洋的ということらしい。なるほど、ありそうなテストだ。

 などなど、おしゃべりはつきませんが、ともかくも多面体ファンのみなさま、坂井さんのブログをお楽しみくださいませ。

 あ!そうだ、パットラスの記事も書かなきゃ・・・ そのためには教科書センターに行かなきゃ!(^_-)

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「曲線織り」や「花紋折り」のサイト◆ゆうゆう亭◆のご案内

 このブログでも「曲線織り」をご紹介させていただいている、松崎雅夫先生のホームページができました!!

        ◆ ゆうゆう亭 ◆

 曲線織りのほか、Pov-Rayで作った多面体、鏡映多面体、花紋折りなどの画像が掲載されています。

 「花紋折り」は私も一時はまっていて、web上に「たとう紙」の紹介の記事を書いた覚えがあるのですが、昔のブログかホームページに書いたものだったらしく、見つけられず…でございます。最初の一歩がちょっと違うだけで、まったく違う模様になるのがとても面白かった記憶があります。また、使う紙の質や色の組み合わせでもできあがりがまったく違ってくると思います。

 私がチャレンジしたのは「四角形花紋折り」だけですが、プロセスが単純なのに、きれいに折るのが難しかったです。何しろ基本的に折り紙は苦手(>_<)。配色のセンスもイマイチで、最終的には「半透明の紙で折るシンプルな四角形花紋折り」が(自分としては)いちばんしっくりくるなぁと思った覚えがあります。かろうじて画像が残っていました。↓

     


 松崎先生はなんでもきれいに作っちゃうなぁ〜〜 立体花紋もとてもきれいに仕上がっています。

 現在は画像掲載中心とのことですが、これから少しずつ、製作方法についての説明が加わっていくのでしょう。

 「◆ ゆうゆう亭 ◆」はその名前から想像するに、ゆったりと散歩する心で味わう、いわば“画像浴”のサイトなのかもしれません。だから、現れた形を見えるままに楽しむことが大事なのかもしれない。でも、数理的な背景も是非びしばし書いていただきたいと思う私なのでした。GRAPESの新たな活用方法も教えていただきたいな!(^^)
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「曲線織り」05

 松崎先生とメールをやりとりさせていただきながら、私はいま何を考えるにしても剰余との関連性で考えてしまうのだなぁ、としみじみ感じています。人間の思考というのは面白いものです。でも、もともと2進法の剰余グラフとカージオイドの結びつきから「曲線織り」に興味をもったので、これもまた自然な流れなのかもしれません。

 かつて剰余グラフに出会ったばかりのころ、興味はあるけれどなかなか「その先」や「広がり」が見えてこなくて、煮詰まってしまいました。逆にいうと「その先」や「広がり」が知りたいと思えるジャンルでした。Tetraをはじめとする図形の話であれば、形そのものの魅力でだいたい満足するのですが、剰余グラフについてはその先が知りたいと思うのです。マギーニャ先生の資料にはかなり詳しく書いてあるものの、数式や記号が私にはあまりにも難しく、どうにも手がつけられずにいました。そして、インターネットでこれほど情報がひっかかってこない話題というのも珍しいと思っていました。私の検索の仕方が下手なのでしょう。あるいは、「その先」や「広がり」があまりないジャンルなのか。

 それが、ひょんなことで最近また剰余グラフのことを考えるようになり、松崎先生の「曲線織り」に出会って、本当にびっくりしました。そして、いままで自分の手元で読み込めないままただ保存するだけだったマギーニャ先生の資料を松崎先生に見ていただいたり、松崎先生作の驚くほどシンプルな剰余グラフを描くためのソフトをいただいたり、いろいろ勉強させていただいています。

 また、松崎先生からは次の書籍のご紹介をいただきました。

Curve Stitching: Art of Sewing Beautiful Mathematical Designs

 私もさっそく注文して、9月下旬に届く予定です。松崎先生は「曲線織り」に取り掛かり初めたあとにこの本に出会ったそうで、自分の実践と重なる部分があってびっくりした、とおっしゃっていました。そういうことってあるよなぁ、としみじみ思った私です。

 実は私も、この本のことを知る少し前に、剰余グラフを刺繍で作ってみようかな、とぼんやり考えていました。釘と糸は大変そうだけれど、布と糸なら自分にでもできるんじゃないか、と。直線を糸で表現したいと思う気持ちはみな同じなのかもしれません。

 というわけで、簡単な剰余グラフ(p=37、k=2)を作ってみました。裏で調整できる半面、すぐに折り返すのではなくいったん別の数字にうつって縫っていかなくてはいけないので、それなりの計画性が必要なのですが、今回は適当に縫ってしまいました。やってみてわかったこの妙な楽しさ!




 「曲線織り」についてはまだ考え始めたばかりで、紹介というにはあまりにも貧弱な内容になってしまいましたが、これからまた少しずつ考えていって、後日あらためてレポートをしたいと思っています。

 松崎先生の「曲線織り」はしもまっち先生のこちらのページで見られます!

 あなたと夜と数学と
 >2006AMI花巻大会ホームページ松崎雅夫先生の世界
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「曲線織り」04

【包絡線タイプ】

 松崎先生の「曲線織り」の包絡線タイプには様々な種類がありますが、その中の肢辺分割型(等間隔)から、8肢形を見ていきたいと思います。このアメーバの形を先生はオクタロイドと命名されたそうです。

 基本的には「直線群が描く曲線・02」の緑バージョンと同じ考え方ですが、中央からのびている軸が4本ではなく8本になっています。私は4肢形をx軸上、y軸上の座標を設定して描きましたが、松崎先生からいただいた8肢形のソフト(GRAPES6.49対応)では、「回転」という関数定義を用いて8本の軸を設定し、ベクトルで示された各軸の点を動かすことで線分群を描くようになっています。



 松崎先生が「曲線織り」を作られるときには、このようにまずパソコンでシミュレーションをしてから配置図を作り、実際に釘を打ち込んで糸を張っていかれるのだそうです。

 そして、実物がこちらです。
(松崎先生の許可を得て掲載させていただきました。)



 8肢ともなると、外側のほうはゴムひもをひきのばしたような表情が出ていて面白いです。かわいいです。

 そのほかの作品は しもまっち先生のこちらのページで見られます!

 あなたと夜と数学と
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(つづく)
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「曲線織り」03

【頂点連結タイプ】

 「曲線織り」のうちの【頂点連結タイプ】は、正多角形の頂点どうしをすべて連結させたものです。頂点の数が多くなると弦がたくさん張られるので同心円がたくさん描かれますが、この作品の魅力は円という曲線が浮かびあがってくることよりも、むしろ「一筆書き」にあるように思います。

 たとえば、Tetra's BLOG の星型正多角形・1で示したように、正5角形、正7角形、正17角形など、頂点の数が素数の場合は、一筆書きでかけることも不思議ではありません。正7角形であれば、正7角形・正7/2角形・正7/3角形を順に描いていけばよいので。

 しかし、松崎先生の「曲線織り」は、正21角形など、頂点の数が合成数(奇数のみ)であるものについても一筆書きで描かれています。そして、正7角形や正17角形も、星型正多角形を描く方法とは別の方法で糸が結ばれています。

 そのしくみについて、正21角形を例にして考えてみます。まず、円周を21等分して1から21まで番号をつけ、次のように頂点を結んでいきます。

 1→2→4→7→11→16→・・・

 1からはじめて1つ目、2つ目、3つ目、・・・・と線を結んでいくわけですが、16のあとは 16+6=22 で 22という番号はないので、22−21=1の点と結びます。そのあと続けていくと、次のようになります。

 1→2→4→7→11→16→1(22)→8(29)→16(37)→4(46)→14(56)

 
(図の中の番号が一部まちがっていました。スミマセン。後日訂正します。)


 このあとは 14(56)→4(67) と続けたいところですが、これは1つまえの 4→14 と同じ線分になるので、14(56)でストップです。これは何をしているかというと、正21角形の対角線の長さとして考えられる弦のすべて(10通り)を、折れ線として続けて描いていることになります。このときにひかれる弦の長さはすべて異なるので、同じ頂点を通ることはあっても、弦が重なることはありません。したがって、一筆書きになっています。

 ことあと、また同じように作業を続けていきます。

 14(56)→15(57)→17(59)→20(62)→3(66)→8(71)→14(77)→21(84)→8(92)→17(101)→6(111)

 これを全部で21回繰り返すと、正21角形の辺とすべての対角線を描くことができます。

 というのが、松崎先生からいただいた頂点連結表をもとにして私が考えたことなのですが、実は、松崎先生の発想は、これとはまったく別のところにあるのだそうです! (ヒントをいただいたもののそれがなんであるのかまだ解明しておらず。今後の宿題です。)

 なお、一筆書きではないけれど、「曲線織り」には正18角形の作品もあるそうです。正18角形については、GRAPESの作者である友田勝久先生のこちらのページが面白いので、リンクさせていただきます。

VISUAL数学を目指して正18角形の対角線

〔「正多角形の対角線と一筆書き」の関連ページ〕

西三数学サークル正n角形の一筆書き
中学 数学の森一筆書き


 松崎先生の「曲線織り」はしもまっち先生のこちらのページで見られます!

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(つづく)
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「曲線織り」02

 松崎先生の「曲線織り」は、次のように分類されています。

――――――――――――――――――――

【1.頂点連結タイプ】
 (1)正多角形頂点連結型
 (2)多角星型

【2.包絡線タイプ】
 (1)フレイム型
 (2)肢辺分割型 (等間隔・非等間隔〕
 (3)円周分割型
 (4)肢&円等分割型

【3.螺旋タイプ】

――――――――――――――――――――

 【2.包絡線タイプ】というのは、「直線群が描く曲線020304」で示したような方法をもとにした作品で、【3.螺旋タイプ】は「直線群が描く曲線05」で示した正方形のつくる渦巻き曲線を織ったものです。

〔包絡線についての参考サイト〕
 物理のかぎしっぽ包絡線
 数学のいずみ包絡線のつくる曲線群包絡線としての2次曲線
 DOZONO Home Page2次関数の包絡線 

 松崎先生の「曲線織り」は直線群によって生成される曲線を表現した作品なので「包絡線」というのが主要素ですが、もう1つの大切なキーワードとして「一筆書き」というこだわりがあります。つまり、1本の糸で作られる直線(線分)群による曲線というのが、松崎先生の「曲線織り」なのだと思います。

 何かを作るときには、1つの約束事・制約を決めることで、かえって広がりが出てくるということがあると思います。先生が「曲線織り」に課された「原則として1本の糸で始点と終点が一致する織り方」という条件は、まさに広がりを与える制約ではないかと感じています。(なお、先生の「曲線織り」には一筆書きではない作品もあります。また、カージオイドなどは、本来であれば一筆書きでかけるところで糸を二重に張ってある箇所もあります。) 途中で糸の色を変えていくのもきれいだろうけれど、あえて1本釣りならぬ1本織りの単色仕上げ!という潔さが魅力です。そして、カージオイドについては「剰余グラフと原始根」に直結する話で、大変にそそられるのでありました。

 松崎先生の「曲線織り」はしもまっち先生のこちらのページで見られます!

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(つづく)
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「曲線織り」01

 2006年数学教育協議会の全国研究大会の教具展において、松崎雅夫先生の「曲線織り」に出会いました。「曲線織り」のことを知ったのは、大会に行く直前です。なにげなくAMI in IWATE 2006年の掲示板を開いてみたら、釘と糸で作られているという「2進法の剰余グラフ」が目に飛び込んできてびっくりしたのです。興奮ぎみにコメントをつけると、作者の松崎先生がすぐにお返事をくださいました。私が「2進法の剰余グラフ」と思った画像は、「カージオイド」を釘と糸でつくったものなのだそうです。

 釘と糸ときいて思い出すのはマギーニャ先生のことです()。マギーニャ先生は“割算法則にみる数学の美”を剰余グラフで表現・研究されましたが、実は、最初から剰余グラフが曲線を描くとは思っておられなかったようです。中学校の授業で、分数の小数展開であらわれる循環節の理解を深めるために簡単なグラフを描かせ、「もっと大きい数でやってみたら面白いかもね」と自由宿題を出されたところ、ある生徒が(わる数・約100)のグラフを持ってきて、先生を驚かせたのだそうです。
奇妙な、ランダム直線群しか予想していなかったので、直線の描いていく曲線をみてびっくりした。もっと正確な図で実験をしたかったから、上智大学の電子計算機室の協力を得て、さまざまな例をXYプロッタに描かせた。

 手元の資料によると、マギーニャ先生が剰余グラフに力を入れるようになったのは1980年くらいですから、今から25年くらい前のことになります。パソコンが学校にやってくる、まだずっと前の話。

 一方、松崎先生は「一筆書き」と「包絡線」にこだわって、数学Cの諸曲線の表現を模索しておられるのだそうです。数学Cというのは私の世代(ちなみに昭和39年生まれ)には馴染みが薄いですが、1992年の指導要領改訂のときに高校数学に加わった科目で、「行列と連立1次方程式」「いろいろな曲線」「数値計算」「統計処理」などで構成されています。全体としてコンピュータの活用を目的にしている科目なのだと思います。

 数学Cのなかの「いろいろな曲線」では、2次曲線(放物線、楕円、双曲線)のほか、媒介変数表示や極方程式を学ぶための題材として、サイクロイドやリサジュー曲線、正葉曲線、カージオイドなどが取り上げられており(「GRAPES・02」をごらんください)、BASICのプログラムも示されています。コンピュータで曲線を描くことが目的だと思うので、「こんな式でこんなグラフができますよ」といった程度のことだけが教科書に書かれてあります。

 その“コンピュータを活用することを目的とした題材”としての曲線を、釘と糸で織り上げるという松崎先生の試みに、なにかとても惹かれるものを感じるのでした。

 なお、これから私が書くことは私自身の解釈であり、松崎先生の考察そのものではありません。間違いや勘違いがあったときには随時、訂正させていただきたいと思っております。

 松崎先生の「曲線織り」はしもまっち先生のこちらのページで見られます!

 あなたと夜と数学と
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(つづく)
 
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直線群が描く曲線・05

 正方形の各辺の中点を順に結んで、ひとまわり小さい正方形を作ります。

      

 ひとまわり小さい正方形の各辺の中点を順に結んで、さらにひとまわり小さい正方形を作ります。

      
  
 この作業を続けると、下図のようになります。
 
      


 次は、辺の長さを3:1に分けるような点をとり、正方形を作ると……

   

 今度は、辺の長さを9:1に分けるような点をとり、正方形をどんどん作ってみると、渦巻きのような曲線が浮かび上がってきます。

   

 これもまた、「直線群が描く曲線」です。
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直線群が描く曲線・04

 直線群が描く曲線・03では、同じ長さの弦をたくさん描くことで円を形づくりましたが、今度は弦の長さを変えていきます。

 たとえば、円周を97等分して、1から97までの番号をつけ、1と6、2と12、3と18、4と24、……というふうに、番号の数字が1:6となるように点を結んでいきます。(97を超えてしまった場合、たとえば 17×6=102 という番号はないので、17と102−97=5を結びます。なお、下の図では番号を省略してあります。)



 線分をふやしていくと、カージオイドをひきのばしたような形ができます。



 さらに線分をかいていくと、もうひとつへこみ部分ができます。



 最終的にはへこみ部分が5つできて、梅の花のような模様になります。


     
 なお、これは1÷97を6進法で計算したときの剰余グラフ(p=97、k=6)です。

 ちなみに、1÷197を6進法で計算したときの剰余グラフ(p=197、k=6)も梅の花のような模様になります。(先ほどより線の密度が増しています)



             
(つづく)



      
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