TETRA'S MATH

数学と数学教育

すす竹のお箸とバルサ材角棒の多面体たち

 以前、多面体のことでメールをいただいていた方から、ブログ開設のご案内が届きました!

「多面体」
http://luckylife.sakura.ne.jp/polyhedron/

 すす竹やバルサ材などの角棒を使って、稜線で構成された多面体を製作しておられます。地に足がついた感じの、落ち着いたオトナの多面体です。

 不器用な私としては、頂点のところの角度を正確に切り出す作業を想像するだけで、頭がくらくらしそうです。逆にいえば、それがこの多面体製作の醍醐味なのかもしれませんねぇ!

 右サイドに川村みゆきさんの『多面体の折り紙』と佐藤郁郎さん、中川宏さんの『多面体木工』の書影が見えます。川村みゆきさんは“面”によって、中川宏さんは切り出す“カタマリ”として多面体をとらえ表現されているわけですが、坂井さんはこれに対して稜線つまり“辺”によって多面体を表現しておられます。しかも、針金や竹ひごやストローなどではなく、角材、つまり太さのある辺です。

 そうなると思い出すのが榎本和子さん。ちなみに私の手元にあるカタログでは、大岡信さんの文章の中で遠山啓の名前がちろっと出てきます。

 あのとき出品されていた榎本和子さんの立体作品は、カタマリとしての表現が「御影石」と「クリスタル・グラス」、固定された辺としての表現が「鉄の棒」、固定されていない辺としての表現(「トポロジックな8面体」と名づけられている)がプラスチック管または透明塩ビ管と紐と球、そして入れ子構造モデルが塩ビやアクリルで作られていました。

 私は、この展覧会を観に行ったころはまだ「質料」という言葉を知らなかったし、知ったあととなってもそれほど意識はしていなかったのですが、さすがにこの言葉が気になるようになってきたきょうこのごろです。ただ、「質料」という言葉のままでは考えられない感覚がまだあって、かといって郡司さんのようにマテリアルと言うのもちょっと違う感じがするし、なんなんでしょうね、単純に、材料、素材でいいのかな。

 そういえばだいぶ前に、娘が「テレビで見た」といって面白いテスト(?)をしてくれましたっけ。私なりに翻訳するとこんな感じ→「木目調の円柱があり、ペンキがぬられた円柱Aと、木目調の円錐Bがあります。木目調の円柱の仲間は、AとBのどちらでしょうか?」 私はBと答えました。オチはなにかというと、この質問にAと答えた人は西洋的発想、Bと答えた人は東洋的発想なのだそうです。つまり、形を意識するのが西洋的、材質を意識するのが東洋的ということらしい。なるほど、ありそうなテストだ。

 などなど、おしゃべりはつきませんが、ともかくも多面体ファンのみなさま、坂井さんのブログをお楽しみくださいませ。

 

 

〔2018年4月12日〕

 記事の一部を整理しました。

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鳴川肇「オーサグラフ」/球形と人間の関わり

 オーサグラフのプレゼン映像の後半では、ミラノのガレリアの写真も紹介されており、天井のドームや床のモザイク模様を含めて1つの画面におさまっています。従来の写真では、たとえば円筒形のパノラマ写真で表現したとしても、真上や真下を1つの画面に入れることはできません。しかし、オーサグラフを利用すると、全方向を示す写真を1つの画面上に表現することができるというわけです。しかも、地図と同様にその写真をシームレスにつなげられるので、そこで動く人の軌跡を表示することもできるのでしょう。

 地図は、地表=球の外側を写し取ったものですが、ミラノのガレリアの写真は内側を写し取ったものといえます。しかし、ミラノのガレリア自体は球体ではないわけで、それはいわば建物の内部にいる人が、自分を取り囲む世界を球体の内側(全方向の世界)とみなして認識するようなものだと思いました。ミラノのガレリアの場合は、天井や床の特徴から、地図と同様に、ゆがみの少なさを表現するよい例になったのだと思います。

 また、説明の中には取り入れられていませんでしたが、プレゼン画像の中に眼球の断面図が入っていたのも興味深かったです。長方形の表面に映し出された世界から視覚的情報を得ているとしても()、それを取り入れる私たちの器官は区切りのない曲面で構成されている(なお、鳴川さんがおっしゃったことではなく、私の連想です)。

 鳴川さんはプレゼンの後半で、スフィア(sphere)という言葉を使って、「環境を示す言葉は球体モデルで表現することができる」という話をされていました。このスフィアという言葉が、私のオーサグラフ体験にぐんと奥行きをもたせることになったのです。

 スフィアというのは、アトモスフィア(雰囲気)やバイオスフィア(生命圏)のスフィアであり、球面を表す言葉です。アトモスフィアはそもそも大気の層のようなものを表現する言葉なのかもしれません。

 鳴川さんが、球面という意味でスフィアという言葉を使われているのを認識しつつ(したから)、私は瞬間的にソフィア(sophia)という言葉を思い出していました。

 若い頃、“球形”にはそれなりに思い入れがあったことを前回のエントリに書きましたが、それとは別に球形(たま)についての思い出があります。中学生か高校生の頃、父と「理」という漢字について語ったときのこと。父が言うには、「理」という文字には「たまをみがく」という意味があるらしいのです。どこからそういう話を仕入れてきたかは不明。

 それから何年かたって、大学の一般教養の哲学の授業中に、「理」の文字の意味についての話がありました。「たまをみがいて、そのたまの中から浮き上がってくるすじ道のことである」と。なるほどそれが真理や道理や理屈の理というわけか(父は前半だけ正解だったわけですが、その前半だけの意味をもつ「理」の文字がいまの私のお気に入りです)。

 哲学の先生は確かフィロソフィアの話から初めて「理」の話ををされたと思うのですが、フィロソフィアからどう「理」にもっていったかを覚えていません。中国哲学をからめたという記憶もないのですが、漢字の意味なので、少しはからんでいたのかも。そんなこんなで、私の中では「ソフィア」という言葉がほとんどイコール「理」になっていました。

 ちなみにフィロソフィア(philosophia)のソフィアは「智慧」のことであり、スフィアもソフィアももとは(たぶん)ギリシャ語で音感は似ていますが、語源は異なるのだと思います。本来、別の言葉なのでしょう。しかし、スフィアという語感と球体のイメージから、スフィア→ソフィアという発想を起こしてしまった私。

 そんな思い出・思い入れのある球面世界が、大好きなテトラを介して無限平面になろうとは…! しかも、できあがったものを見ると、あっても不思議ではないしどうしていままでなかったのだろう?と思えてきます。素晴らしい発明って、大抵そうですよね。ただし具体的にどういう写像を使ったのかをまだ私は知らないので、プレゼンのアニメーションで納得したレベルでの「あっても不思議ではない」ということです。

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球形と正四面体に対する個人的な感覚

 「鳴川肇「オーサグラフ」/球形と人間との関わり」というエントリを書いていたらえらく長文になってしまったので、その一部を先に取り出して書いちゃうことにしました。

 

 子どもの頃〜若い頃、“球形”にはそれなりに思い入れがあった私。確か、ガスタンクが球形をしている理由をきいて感動したのが始まりだったと思います。当時はまだ圧力のことは知らず、同じ容量で表面積を最小にするという認識の仕方だったと思います。本当にそうかどうかは確かめることもしなかったけれど、形と機能(はたらき)の関わりに触れた最初の経験でした。また、立体がその内側に何を秘め、外界とどのように関わろうとしているか、ということも考えるようになったかと思います。たとえばダイヤモンドのブリリアンカットの光の反射率の話も面白いと思いました。

 というわけで、私にとっての球形は閉じたものであり、その静謐な悲しさと強さが魅力でした。

 ところが大学生時代に、シュタイナー関連の文献だったか(記憶違いかも)、1点に無限の力がはたらくと球になるというような記述を読んだときに、目から鱗が落ちるのを感じました。なるほど、そういう見方もあるか。それは気づかなかった。この場合の無限は、1点から出る矢印(半径)の数としての無限であり、半径の長さの無限ではありません。つまり、1点から同じ大きさの力が無限に発せられると、その表面が球面になる。とたんに球形がにぎやかでポジティブで開かれたものに感じられました。

 正四面体を好きになったのは、もう少し大人になってからです。きっかけはテトラポッドでしたが、そのうち正四面体に関わるもの全般が好きになりました。なぜ正四面体は美しいのか。どうして自分は正四面体を美しいと感じるのか。展開図のことは考えておらず、立体そのものを美しいと思っていました。正四面体もやはり閉じており、静謐な強さがあります。そして頑なさと一途さがあり、透明感があります。なにしろとんがっている。若くて痛い。

 しばらくこだわってみて思ったことは、正四面体の対称性のバランスがミソなのかもな〜ということでした。正四面体の対称性は高いのか?低いのか?と問われた場合、答えに困ります。数多ある立体を考えれば対称性はけして低くないというか、対称性はあります。しかし、球にくらべると圧倒的に低い(というか球が高すぎる)。

 その微妙なバランスが、正四面体の美しさなのかもしれないな…と思うようになりました。でも、テトラポッドは大好きでも、切頂四面体にはあまり興味がわかないので、ほかにもいろいろと要素はあるのでしょう。

 とにもかくにも、そんな正四面体が球と無限平面との仲介役になるとは思っていなかったので、オーサグラフにびっくりしてしまったわけなのでした。

 なお、オーサグラフのきっかけは、「小梅ちゃん」のテトラパックだったことが判明しました!(それを知ったサイトはリンク切れになりました)


(つづく)

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鳴川肇「オーサグラフ」/時系列と無限

 オーサグラフは正四面体を介在させて地表を平面展開したものであり、正四面体の展開図は平面を埋め尽くすことができるので、地図そのものをいくらでもどの方向にでも連続させていくことができます。また、連続させた地図のうちの1つ、地球1個分を、いろいろな形で取り出すこともできます。長方形型、平行四辺形型、正三角形型というように。

 連続させられるということは、時系列にそくしたなんらかのデータを1枚の画像に納めることができるということであり、その一例がICCで展示されているISSの軌跡だと思います。

 また、HIVEのプレゼン映像では、開始後31分後くらいで海流図の話が出されていました。 縦方向に月単位、横方向に年単位のデータを配したオーサグラフで、時系列にそくした海流の様子を一望できるのです。これすごいなぁ〜〜

 そうしてふと思い出す、中学数学の図形問題。直方体や円錐の表面を通る最短距離を、展開図を使って求める問題があります。三平方の定理の応用などでよく見かけます。たとえば、円柱の母線ABの点Aから、側面を1周して点Bまでいく場合の最短距離は、側面の展開図である長方形の対角線の長さと考えることができます。また、円柱を2周、3周する場合は、展開図をつなげて考えることができます。説明のために円柱を使いましたが、実際には直方体や円錐などの問題が多いかと思います。

 考えてみれば1周めも2周めも3周めも、通るのは同じ側面上です。しかし、展開図上で考える場合、切り開くことによって、1周めの終わりの点と2周めの始まりの点が分断されます。なので、それをつなげて連続させれば、同じ側面上にある経路を分断することなく、1つの経路として表現できるということになります。

 同じ経路を行き来する場合を考えると、話がもっとわかりやすくなります。母線AB上をAから側面を1周してBまで最短距離で行ったあと、BからAに同じ経路でもどったとき、立体の表面上に現れる道筋は1つですが、連続した2つの展開図では別の線分として表現されます。この経路を何度か往復した場合も、同じことがいえます。

 さて、私はICCの展示をみたとき、「ある地点を出発して、また同じ地点に到着(通過)したとき、それはまったく同じ地点であるか?」というようなことを感じたと書きました()。その、同じ・同じではない、という観点は、素直に考えると時の流れを意識したものだと思います。

 東京を出発して世界一周旅行をして帰ってくる間に、東京で大地震があったかもしれないし、首相が変わったかもしれない。行く前にはつぼみだったアサガオの花が、帰ってくるころにはもう枯れているかもしれない。そういう時の流れが1つの平面上に並列しており、それを一望できることの不思議。

 また、だれかが世界中を旅行している間、私はずっと東京にいたとしたら、その人の旅行の経路を表すシームレスなオーサグラフの中で、私の位置はいくつかの「点」として示されるのだろうか? 考えてみれば、東京を出発した次の瞬間にもう東京は別の東京になっているわけなのですが、その変化はオーサグラフには示されません。

 シームレスでつながるオーサグラフの威力は、地球規模で動く「何か」を表現するときにいちばん発揮されるのでしょう。なるほどISSの軌跡や海流というのはわかりやすいです。いまは世界地図を考えていますが、オーサグラフの原理がさまざまなものに応用できることを考えると、スケールもいろいろに変えることができるように思います。

 さらに思うことは、オーサグラフによる世界地図の連続・繰り返しの作業はいくらでも続けることができるけれど、現実には限りがあり、目的・用途に応じて必要なスパンで区切るのが実際の作業になるということ。つまり、オーサグラフは、原理的には時の流れを無限に表現することが可能であるけれど、それは原理的な話であり、現実として無限につなげることは不可能。

 どこまでいっても行き止まりがないということを、球体はそのままで表現できる。しかし、時系列表現をするために連続させたオーサグラフは、どこまでいっても行き止まりがないことは、約束されているが現実には示せない。同じ曲面上をぐるぐるまわっているだけなのに、永遠にどこかに向かっているように見える。まるで、球体上には存在しないはずの、地の果てがあるかのように。

 少々こじつけではありますが(そして意味が違うけど)、空間的無限と時間的無限のことなども思い出しつつ()、シームレスにつながるオーサグラフの不思議な“世界”について、想いをめぐらせています。

(つづく)

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鳴川肇「オーサグラフ」/静止画としての長方形の可能性

 そんなこんなで、ICCでそれなりに面白い体験はできたものの、「もっとオーサグラフの説明をききたいなぁ」という気持ちを抱えて帰ってきた私は、自宅にもどるとさらに検索を続け、HIVEのプレゼン映像にたどりつきました。

 これを視聴したときの感動は、ICCで実物の展示を見たときより、はるかに大きかったです。なんというわかりやすさ、面白さ! うまいプレゼンだなぁ〜〜と思いました。

 どこに面白さを感じたのかを、大きくテーマとして分けてみると、自分にとっては「長方形」「時系列」「人間と球体の関係性」という3つのポイントがあげられそうです。

 まずその1つ、「長方形」について。

 私はこのたびダイマキシオン・マップというものの存在を初めて知りました。少し調べてみて、これをいままで知らなかったなんて!と自分で思いました。不覚。テトラ愛好家という肩書き(?)を含め、いろんなものを返上したい気分。これはバックミンスター・フラーの発明で、いわゆるフラーレンの(命名のもとになった)フラーさんなのですね。ちなみに、検索途中で松岡正剛さんの『宇宙船地球号操縦マニュアル』にたどりつき、なんだかえらいことになってきちゃったな……とは思っていたのです。

 さて、あまり話を広げると帰ってこれなくなるのでまずはオーサグラフだ。そんなこんなで、球面を長方形におさめる投影法の話においては、メルカトル図法とダイマキシオン・マップの対比がとてもわかりやすいと思いました。長方形におさめながらも、面積や形に歪みがほとんどないオーサグラフは、メルカトル図法とダイマキシオン・マップのいいとこどりをした地図ということになります。

 地図の投影法の種類については、確か中学生くらいのころ何種類か名前と特徴を覚えさせられた記憶があります。メルカトルのほか、モンテカルロ……じゃなかったモルワイデ?グード?正積なんとか心射なんとか等。それぞれに利点と欠点があり、あちらをたてればこちらが立たず……という感じで、結局、目的に応じて投影法の異なる地図を使うのがよろしいしそれしかない、という結論だったのではなかろうか。また、理科として地球を考えたいのなら、球体として地球儀で考えるしかないのかもしれない。

 しかし、メルカトル図法のいいところ=余白がない長方形、の可能性について思いを馳せられたのが、素朴ながら新鮮な体験だったのです。

 たとえばプレゼンの中で、ハイビジョンの1:√3の比率の話が出ていました。これだけ技術が進んで情報化社会になったとしても、私たちは結局、視覚的情報をテレビやパソコン(あるいは携帯電話)の画面という「長方形」の世界でとらえているのではなかろうか。

 同じ長方形の画面上だとしても、立体をぐるぐるまわして視点を変えることにより、立体的に見せることはできます。あるいは、立体視というものもあるかもしれません。でも、基本は、長方形の表面に映し出された世界なのではなかろうか。

 ちなみに、プレゼンでは「テトラパック」という言葉も1回だけ使われていました。テトラパックを開くように、正四面体は長方形に開けるという話の中で。

 しかし、牛乳の三角パックは確かに長方形型に開けるのですが、むしろ話は逆で、長方形型のものを筒型にしたあと、上下を糊付けしていけば三角パックができるという、「平面→立体」の流れがミソだと思うのです。(そう考えると、パットラスはつくづく面白いなぁ!)

 一方、オーサグラフは、その逆をいったのが面白い。球面を平面に投影するために、展開図が平面充填できる正多面体である正四面体を選び、これを介在させるという妙(どういう経緯でオーサグラフが発明されたのかはわからないですが)。

 正四面体というのは、頂点が4つしかないので、頂点が多い正多面体や準正多面体に比べると、「球から遠い」という印象があります。でも、鳴川さんの説明をきいていると、やってできないことはないし、どうしていままでこの考え方はなかったのだろう!?と思えてきます。三角形の分割は96個だそうですが、正四面体なので4の倍数であり、各面が三角形なので3の倍数であることを考えると、12の倍数であることは納得できます。

 さらに、長方形から情報摂取をすることについて考えると、いまのご時勢、静止画よりも動画のほうが圧倒的に情報が多く、何を伝えるにも有効なはずです。立体をぐるぐるまわすのしかり。なによりも鳴川肇さんのプレゼンそのものが、アニメーションの力を物語っています。

 しかし、オーサグラフは、静止画としての地図の可能性を高めたところが、とても面白いと思いました。

(つづく)

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鳴川肇「オーサグラフ」/ICCで感じたこと

 ICCに行く前に、ある程度「オーサグラフ」のことは調べてありました。と言っても、ICCの該当ページと検索で見つけたwebページの感想をいくつか読んだということであり、「オーサグラフ」詳しい説明は知らないままでした。地表を三角形に分割するというのはどこかで読んでいましたが、この段階では小さな正三角形に分割しているのかと思っていました。また、世界地図の中にあるつなぎめ(折れ線)から、それがテトラ型になることは懐かしさとともに認識できましたし、こりゃヒトゴトじゃないぞ!という予感はしていました。

 そしていざICCへ。

 オープンスペースでは「ミッションG:地球を知覚せよ!」というテーマのもとで展示されている作品があり、そのうちの1つが鳴川肇さんの「オーサグラフ」です。受付で簡単な3つ折のパンフレットを受け取り、それを見ながらまわっていきました。

 しかし、娘と一緒だったので、すべてをじっくりまわることはできませんでした。娘が興味を示したのはただ1つの展示だけだったので。娘がその1つに興味をもったのはなぜかということを含め、私も久しぶりにICCを訪れて、いろいろ思うことがありましたので、そのあたりについては後日書きたいと思っています。

 さて、「オーサグラフ」のエリアでは、透明な球(一部)の中に、曲面をもつ正四面体が内接している立体が展示されていました。よく見ると細長い三角形を確認することができます。平面で構成されているように見えたと書きましたが、実は正確に言うとそれも違っていて、かといって曲面をもつ正四面体にも見えず、正四面体そのものでもないし、正四面体を基調としながらも形容しがたい形をしているように感じられました。あの形を言葉でなんと表現すればいいのだろう?と考えたとき、「正四面体の各面が、なだらかな凸型になっている立体」という言葉しか思い浮かばず、細長い三角形が平面のように感じられたので、「凸型多面体」という表現をとってしまったわけなのです。

 また、壁面には、「オーサグラフ」による世界地図のほか、地球をまわっているISS(国際宇宙ステーション)の軌跡を1本の線でリアルタイムに描いていく展示がありました。

 最初私が思ったのは、「オーサグラフの原理についてもう少し説明がほしい」ということでした。説明が足りない、と。

 しかし、別の展示を見てもう一度もどってきたりして、2〜3度眺めるうちに、次のようなことを感じとれるようになった気がしました。

 まず、地図そのものについて。

 オーサグラフの仕組みは知っていたので、脱中心的な世界の見方ができることはわかっていたのですが、ICCの該当ページの地図は色分けもされており、ふだん見る地図とは“少しだけ”違うもの、という印象があったのです。

 ところが、視点をぐんと変え、そして色を消し、連続させていくと、図形として別のものに見えてくるのです。たとえば、大西洋を中心とした世界地図や南北を逆さにした世界地図などを見たとしても、おそらく私は「ふだん見慣れている太平洋を中央に配したメルカトル図法の世界地図」または「地球儀で見慣れた北が上の世界」をもとにして、それを組み替えて認識するのではないかと思ったのです。だから、たとえば南が上の日本地図を見たときには、「日本が逆さまになっている」と感じるだろうな、と。

 しかし、オーサグラフの場合、それが別のものに見えてくる感覚になるのです。世界地図が、地形がいったんほどける。それは、繰り返しの妙からくるものかもしれません。

 さらに、ISSの軌跡をながめながら、ふと、次のようなことを思いました。

 ある地点から、別の地点を通ってもとの地点にもどってきたとき、そのもどってきた地点は出発した地点と同じ地点であるのか?、と。

 たとえば、東京から太平洋をわたってブエノスアイレスを通って大西洋をわたってぐるりと東京にもどってきた場合、地球を1周しているということは地球儀を使ったほうがわかりやすいです。「1周してもとにもどってきたね」と。

 しかし、出発した「東京」と、到着した「東京」は、果たして同じ「東京」であるか?

 一般的に考えるならば、3次元のほうが2次元より「次元が上」であり、情報は多いはず。しかし、3次元から2次元に落とし連続させたことで、そこに時間の情報を取り入れることができる。

 こんな“世界”があったなんて……!

 気になるのは、「球面→曲面のある正四面体の表面→正四面体の表面」という2段階の「写像」でどのような方法をとったのかということとですが、それを考える前に、まだまだ感じ取りたいことがあるように思いました。

(つづく)

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鳴川肇「オーサグラフ」ってなんだ!?

 先日、ある方から、鳴川肇さんの「オーサグラフ」のことをきき、冬休みに娘と一緒にICC(NTTインターコミュニケーションセンター)に行ってきました。> 《オーサグラフ:ISSロングターム・トラッキング》鳴川肇

 オーサグラフというのは、新しい発想で作られた、「大陸の面積や形をできるだけゆがませずに世界地図を描く方法」です。球面を細長い三角形に分割投影し、それを正四面体を基調とした凸型多面体に投影して(>下に追記あり)、さらに正四面体に投影、そして正四面体の展開図が平面充填できることを利用して、さまざまな視点で展開・連続していくというものです。

 昨年の5月から展示されているようですが、これまでオーサグラフのことを知らなかったなんて、テトラマニアの肩書き(肩書きだったのか!?)を返上しなくてはいけません私。パットラスのときにも思ったのですが、どうしていままでなかったのでしょうか!?これ。まだまだ私の知らない正四面体の可能性というものがあるのかもしれません。

 行く前に、ある程度のことは検索して調べておいたのですが、展示を見ていくつか感じることを感じ取って帰ってきて、さらにうちにかえって検索を続け、昨年5月のシンポジウムの動画のURLを知ることができました。鳴川肇さんの説明は、スタートから18分後〜37分後くらいです。正四面体に展開していく様子は24分後あたりかと思います。(同時通訳でききにくかったので、私はバランスを調整して日本語だけにしてききました。)

HIVEオープン・サロン
「オープン・スペース2009」出品作家によるイヴェント
シンポジウム「ミッション G」


 
 うわ〜〜 すごい〜〜〜 感動〜〜〜!!

 オーサグラフのことを私に教えてくださった方に、とにかく感謝感謝です!!

 感動のあまりきょうは動画URLのリンクがやっとだわ…

 

 

〔追記〕  鳴川さんはシンポジウムでの説明で「曲面をもつ正四面体に投影」とおっしゃっていますね。私はICCでみたときに平面で構成されているような印象をもったので「正四面体を基調とした凸型多面体」と書いてしまったのですが、あの段階ではまだ曲面のようです。失礼しました〜〜!!

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『多面体木工』05を編集中

【2018年3月12日:連絡用に一時的に公開】


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 なお、『多面体木工』は「特定非営利活動法人 科学協力学際センター」の協力を得て出版されたものであり、寄贈限定版発行なのだそうです。基本的に非売品で、本屋さんには売っていないと思われます。

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『多面体木工』04

 『多面体木工』の本は、2006年8月3〜5日に岩手県花巻市で行われた数学教育協議会の全国研究大会で手に入れることができました。また、実物の多面体6個セットも(会場に3セットしかない貴重なものだったのですが)わけていただくことができました。

 6個セットのうち目をひいたのは、正多角形ではない六角形を含む不思議な多面体でした。正多面体ではないし、準正多面体でもなさそうだ。誤差というにはあまりにも辺の長さが違いすぎるし、いったいこれはなんだろう・・・? 6個入りの多面体は容器に入っていて、全体をサランラップで覆った状態で持って帰ってきたので、実際にその多面体を手にとることなく、容器の外から首を傾げつつ眺めていました。これが多面体木工の出発点となる18面体であることを知ったのは、うちに帰って本を読んでからです。

 いま、その18面体は私の手のひらの上にあります。「切稜」の意味がよくわかる、不思議なバランスと表情をもった、なんとも愛嬌のある多面体です。



 木目の楽しさも、木工ならではだと思いました。それぞれの立体の表面の筋をぐるりと追っていくのも楽しいです。完全な等間隔ではないところがまた趣があります。
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『多面体木工』03

『多面体木工』

 この本では、木工の方法−−<切稜>と<切頂>の組み合わせ−−により、立方体から正多面体・準正多面体をつくりだす方法が示してあります。<切頂>というのはよくきく方法ですが、なるほど<切稜>というのはあまりきかない変形・加工の仕方です。そしてこれが、多面体木工の最も大きな特徴なのだと思われます。

 本を読み進めながら、ああ、そうだ、面取りだ、と思い立ちました。料理をするときに、煮崩れをふせぐために大根やにんじんなどの角を取る、あの面取りです。考えてみればこの“面取り”、面を取るわけではなくむしろ面が増えるので、どちからというと“辺取り”のほうがしっくりくるかも・・・などと思ってみたり。(辺も増えるのだけれど)

 多面体の模型を作るには、工作用紙で展開図から作ったり、ユニット折り紙で作ったり、あるいは模型キットを使ったり、といろいろな方法があるのでしょうが、ほとんどの場合、「辺」か「面」だけの構成になると思います。また、中身がつまった塊としての多面体をつくる場合、型をつくって流し込む、というのが一般な方法なのではないかと想像していますが、そのためにはそれなりの施設と技術が必要で、素人にはなかなか大変な作業でしょう。しかし、この多面体木工の方法を使えば、個人でも比較的簡単に塊としての多面体が作れそうです。後半では、木材のみならず、お花を活けるオアシスを使った方法や発泡スチロールを使った高校生の実践の話も載っていて、とても楽しいです。
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